闇バイトVSヒグマ!
主演・鈴木福 × 内藤瑛亮監督

絶賛公開中の『ヒグマ‼』を
より深く楽しむための内藤瑛亮監督インタビュー!【前編】
目次
【1】「もう少し毒を薄めたつもりだったんですけど」
【2】「闇バイトがどうやったらクマに襲われるんだろうかと悩みました」
【3】「この映画を作る意義はあるなと思っています」

【1】「もう少し毒を薄めたつもりだったんですけど」(内藤監督)
ーー映画『ヒグマ!!』大変面白かったです。冗談抜きで、クマ騒動の今こそ、見るべき作品でした。(※クマ騒動に関してはインタビュー後半で触れます)。
まず、監督としてはどういう形でこの映画の企画を始められたんですか。
内藤瑛亮監督: 最初はプロデューサーから「闇バイトがヒグマに襲われる映画を作ってほしい」っていうオーダーがあったんです。自分発信(の企画)ではなかったんですね。
ーーてっきり内藤監督の発案と思ったのですが、依頼された企画だったんですね。
内藤監督: そうです。「娯楽映画にしたい」って感じだったので、僕自身「ウェルメイドな娯楽映画」を目指したんですけど、出来上がってみて、思ったよりヘンテコな映画になったなって(笑)。もう少し自分の毒気を抑えたかったんですけど、結構出ちゃったような。
ーー本当はもっと毒気を抑えたかったんですか(笑)。
内藤監督: あれでも抑えています。抑えて作ろうと思ったんですけど、滲み出ちゃった。
ーー結果的に内藤監督らしいというか。最初のイメージはもっと違っていたんですか。
内藤監督: はい。もう少し毒を薄めたつもりだったんですけど、改めて見ると、所々毒がだいぶ強めな舌触りになってるかなと感じます。例えば、クライマックスの大騒ぎしている所とか。あんなになるとは想定していなかった。○○○○○さんの生首を蹴飛ばすとかも実は台本にはなかったんです。いろいろ足されていますね。
ーー追加のアイデアは現場で思いついて撮ったんですか?
内藤監督: そうですね、「もう蹴っちゃいましょうか」って。蹴られて仕方がないようなことを○○○○○さんはしていたので。

【2】「闇バイトがどうやったらクマに襲われるんだろうかと悩みました」(内藤監督)

ーーこの手のクマのパニック・ホラー映画って、目玉のクマのシーンは怖くて面白いんだけど、ドラマ・パートはつまらないことが多いじゃないですか。でも、この『ヒグマ!!』はドラマ・パートもすごく面白いですね。
内藤監督: 予算規模的に、全編ずっとクマを登場させられるわけではないんですよね。
最初の企画段階では、クマの登場シーンがもうちょっと多かったんですけど、いろいろ検討して、ここも削んなきゃ、あっちも削んなきゃってなって。気が付いたら、こんなに削っちゃうと寂しくなるかな?と心配したんですけど。でも思えば『JAWS/ジョーズ』(以下『ジョーズ』)でも、サメが出てくる場面ってけっこう限定的で、サメが映っているのは4分程度で、それでも面白いのは三人の男のドラマがあるからですよね。
内藤監督: 『ジョーズ』以降、亜流のモンスター映画が多くつくられましたけど、ドラマパートが弱いと退屈な待ち時間になってしまうし、モンスターパートの緊張感も弱まるし、映画として突き抜けない。だからそこをきっちり作って、しっかりサスペンスを組み立てれば絶対、100分弱楽しめるはずだと。今回は闇バイトっていう現代社会の闇を象徴するファクターがあるので、クライムサスペンスとして展開していって、30分経った所でついにヒグマが登場!となって、そこでクマと絡みながらも、彼らのクライムストーリーが同時並行していく……っていう風に作れば、最後まで緊張感が途切れず見せられるかなと思いました。
ーー意外や、闇バイトとヒグマの話がうまくかみ合って、ぐいぐい引き込まれました。
内藤監督: 最初、(脚本段階で)闇バイトがどうやったらクマに襲われるんだろうかと悩みました。闇バイトの所業で死体を山の中に埋めて、その死体をクマが食べてしまい、人間の味を覚えたため、彼らがヒグマに襲われるっていう、すごい因果応報的な関係性が作れるなと考えました。なんか闇バイトって、指示役とか上の組織からしたら完全な使い捨ての存在で、食い物にされるものじゃないですか。それが文字通りヒグマに食い物にされるっていう(笑)、なんか皮肉も効いていて、良いんじゃないかなと。

【3】「この映画を作る意義はあるなと思っています」(内藤監督)

ーー全国でクマ被害が多発する中でも、いや、クマ被害が多発する今だからこそ見るべき映画と思いました。クマに襲われる描写も衝撃的ですが、単なるスプラッターとも違っていて、シーンごとに、うまく工夫されていました。
内藤監督: 肉体損壊とかスプラッター描写が目的化しちゃうとすごく寒いというか。だったら別にやんなくてもいいんだけど、物語の展開上、「こうやられたら、当然そうなるよね」という流れの損傷はきっちり見せたいんです。「クマに襲われたんだから、肉体損壊は必然的にこうなるべき」ってスタンスでした。
ーークマの描写、特に人を襲う描写はリサーチされたんですか。
内藤監督: 企画当初の2023年の時点でも、ヒグマの獣害のニュースは増えていましたから、いろいろ事例をまとめた文献や資料を読みました。すると、ヒグマが(人間の)頭部に一撃を食らわせるというものが多くて、皮膚をえぐられるのはもちろん、眼球がポロッと取れたりとか、気が付くと耳や前歯がなくなっていたりとか、とにかくその一撃が強烈。傷つけられた本人も、あまりの痛みに肉体が激しく損壊したことに気づかない場合もあって。あと、クマが死体を集めて土饅頭(※)にするとか。もはや人間を食べるわけじゃなくて、殺すことに執着してしまうクマもいるみたいですね。そうした事例や、現実にある問題を参考にしながら、脚本に取り入れていきました。
(※土を饅頭のように丸く盛る墳墓)
ーーリアリティの追求とエンタメ性との両立は、映画監督が抱える大きな課題だと思います。内藤監督も初期の頃から、社会的なテーマに裏打ちされたドラマをスリリングに見せる手法が時に賛否を巻き起こしますが、今回の作品ではどのように考えていますか。
内藤監督: 現実とフィクションの距離感というのは、常に我々が悩むところではあります。かといって現実に全然起こりようもない、あまりにも架空な話、つまり現実と距離が離れすぎてしまうと、物語って強度が弱くなってしまうと思うんですよね。だからファンタジーであっても、何かしら現実と直結する部分が必要で。決して現実では起きてほしくないような暴力だったり、災害だったり、病気だったりをフィクションとして体感することで、現実では解消できない感情が浄化される。だからこそヒグマだったり闇バイトっていう問題が賑わっている社会で、この映画を作る意義はあるなと思っています。
ーーあえてフィクションの形で伝えるものがあると。
内藤監督: フィクションだからこそ、ある程度、現実と切り離して、ヒグマの恐ろしさ、闇バイトの怖さを体感して、震えたり、苦しんだり、泣いたり、笑ったり、喜んだりすることができるんです。その一方で、フィクションを通じて、現実の問題の背景に触れたりしながら、自分たちはこう生きていくべきなんじゃないかっていうところまで、考えを巡らせてもらえれば。
『ヒグマ‼』をより深く楽しむための内藤瑛亮監督インタビュー!【後編】へ続く。
■「まさかのG指定の理由」
■狂気の撮影秘話。
■「限られた予算とスケジュールの中で、
いかにして造形物に生命を宿らせるか?」
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※非売品につき転売目的のご応募は禁止とさせていただきます。
〇当選のキャンセルが発生した場合は再度抽選を行う場合があります。
〇抽選結果や抽選経過に関して個別のお問い合わせには応じられませんので、あらかじめご了承ください。
作品解説

本作、唯一無二の作品を創り上げたのは、内藤瑛亮監督。
エンタメ性と鋭い社会性が両立する作家性を持つ内藤監督が、<闇バイトVSヒグマ>という前代未聞なシチュエーションにてオリジナル脚本で挑み、かつてない映画体験となる世界へ誘う。

内藤監督が描くオリジナルな世界をダイナミックに捉えたのは撮影、伊集守忠(『ベイビーわるきゅーれ』)。想像を超える大迫力シーンを観客に届ける。
規格外の最強ヒグマをデザインしたのは、特殊造形・メイクアーティストの百武朋(『ゴールデンカムイ』)。
圧倒的な存在感を放つヒグマは、百武も「クマの集大成」と語るほどの完成度の高さとなり、本作のスリルを更に強固なものに。そして、現実には見ることのできないスクリーン効果を生み出すVFXスーパーバイザーには、オダイッセイ(『地面師たち』)が参戦。ヒグマのリアルさを追求し、綿密に創り上げていき、観客たちに生存闘争を体感させる仕上がりとなっている。

強力なスタッフ陣が創り上げた世界に生きる、本作の主演を務めるのは、1歳でデビューして以降、映画、ドラマと第一線で活躍をし続ける国民的俳優・鈴木福。
今作では、念願の内藤監督とのタッグで、俳優として新境地へ挑む。
主人公・小山内とバディを組む戦闘力の高い相棒・若林桜子役には、NHK 連続テレビ小説「ばけばけ」にも出演、映像界に欠かせない俳優として目覚ましい活躍をし続けている円井わん。
円井は、アクションシーンに初挑戦。
更に、謎のハンター神崎役に、宇梶剛士が出演、予測不能なストーリー展開となっている。







公開延期に関するコメント全文
監督・脚本:内藤瑛亮
熊による被害によって多くの方が傷つき、ご苦労を強いられていることに心を痛めております。一日も早く平穏な暮らしを取り戻されますよう祈っております。
『ヒグマ!!』の公開延期を受けて、フィクションと現実の距離感について改めて考えました。
フィクションは現実には起きて欲しくないことを描きます。ファンタジーであっても現実と繋がるような問題が描かれなければ、観客の心を動かすことはできません。
一方で現実との距離が近過ぎてしまうと、フィクションとして受け止められず、心を過剰に動揺させてしまいます。それは作り手の本意ではありません。現実と距離をとりつつ、しかし現実にある問題と繋がる物語を届けたいです。その案配は繊細で、『ヒグマ!!』が公開延期をせざるを得なかった事情は理解できます。楽しみにされていた方には申し訳ありませんでした。
僕たちはフィクションがなくても生きられます。映画を観なくても、演劇を観なくても、本を読まなくても、生活できます。
でもフィクションがない世界なんて淋し過ぎます。現実にある問題は正解がありません。何が正しくて、間違っているのか、常に頭を悩まされます。考え抜いて選んだ道が正しかったのか、教えてくれる人はいません。霧に包まれた道を恐る恐る歩き進むしかありません。時に息苦しく、心細くなります。
そうしたときに救いとなるのがフィクションです。フィクションは現実に起こりうる問題を掬い取り、物語を紡ぎます。観客は主人公を通じて苦しみ、悲しみ、笑って泣いて、絶望に打ちのめされ、希望を見いだし、社会が抱える病理に気づき、自分とは全く異なる立場の人の背景に思いを馳せ、自分だけが抱えていると思い込んでいた痛みが他の誰かも抱えていたと驚き、形容できない感情と出会い、フィクションにしか浄化できない鬱屈とした感情があることを知ります。フィクションがあるからこそ、僕らは正解のない現実とも向き合って生きていける。そう思っています。
既にヒグマ被害が増加傾向にあった2023年に『ヒグマ!!』という物語を生み出す決心をしたのは、僕たちに必要なフィクションだと確信したからです。ヒグマの恐ろしさを徹底的に描きながら、落ち込んでばかりいられないよと笑い飛ばす明るさがあり、突き抜けるような爽快感に満ちた結末を迎える映画を目指しました。
『ヒグマ!!』の再公開が決定しました。昨今の状況を鑑みると、この作品が完成したことも、公開できることも奇跡のように思います。一緒につくってくれたキャスト・スタッフ、再公開のために尽力してくれた方々、待ってくれていた観客の皆様には感謝しかありません。
2026年の冬に、映画館という暗闇で、同じ時代を生きる人々と、スクリーンで大暴れするヒグマを観る。
そこにはこの瞬間にしかない感動があるはずです。
見逃さないで下さい。
主演:鈴木福
はじめに、熊による被害に遭われた皆さま、
ご家族、そして不安な日々を過ごされている地域の方々へ、心よりお見舞い申し上げます。
『ヒグマ‼』は、社会問題となっている闇バイトの闇、
そして自然の脅威としてのヒグマの恐ろしさを描きながら、
エンターテイメントとしてもしっかり楽しんでいただける作品を目指して撮影に臨みました。
クマ被害のニュースが続く中で公開延期となりましたが、
こうして新しい公開日をお伝えできることに、胸を撫で下ろしています。
今、この現実に直面しているからこそ、多くの方に響く作品になると信じています。
ぜひ劇場で、現実と物語の境界線を体感してください!
この作品が、自然との向き合い方や命の重さ、
自己との向き合い方を、少しでも考えるきっかけとなれば幸いです。
2026 年 1 月 23 日(金)より絶賛公開中
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