《特撮の神様・円谷英二》生誕120年/記念特別イベント・オフィシャルレポート!失われた幻の映画『かぐや姫』85年ぶりの奇跡の凱旋上映決定!8/17より「生誕 120 年 円谷英二展」開催!

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特撮の神様・円谷英二生誕120年/ウルトラマン55周年
円谷英二・失われた幻の映画『かぐや姫』85年ぶりの奇跡の凱旋上映決定!!



『ウルトラマン』や『ゴジラ』といった数々の世界的作品を世に送り出し、日本初の「特技監督」として世界中のファンの心をつかんできた“特撮の神様”円谷英二は、今年2021年7月7日に生誕120年。また、日本特撮テレビシリーズの金字塔「ウルトラマン」も、世代を超えて愛され続け、1966年の誕生から今年で55年という記念すべき年を迎えた。この記念すべき年に、主催:国立映画アーカイブ・須賀川市、特別協力:円谷プロダクションにより、8月17日(火)より「生誕120年 円谷英二展」の開催が決定。

また、円谷英二が特撮に足を踏み入れる以前、本編カメラマンとして活躍していた頃の作品で、長い間失われていた幻のフィルム『かぐや姫』の短縮版(1936)が、なんとイギリスで発掘され、凱旋および上映が実現する。












円谷英二 生誕120年記念特別イベント・オフィシャルレポート
「生誕120年 円谷英二展」と映画『かぐや姫』凱旋上映の企画発表



そしてこの度、円谷英二の誕生日である7月7日(水)に、「生誕120年 円谷英二展」と映画『かぐや姫』凱旋上映の企画発表のため、国立映画アーカイブ長瀬記念ホールOZUにて記者会見が開催された。

会見では国立映画アーカイブ館長・岡島尚志氏、展示・資料室長主任研究員・岡田秀則氏、映画室長主任研究員・大傍正規氏より『かぐや姫』発見、上映までの経緯が語られ(※詳細は記事後半に掲載した「イベント配布資料」をご参照ください)、円谷プロダクション代表取締役会長兼CEO塚越隆行氏より円谷英二生誕120年、そしてウルトラマン55周年についての想いが語られた。


©円谷
©円谷



岡島は「このイベントは日本における特撮技術の創始者・円谷英二の生誕120周年をお祝いするものでございます。また、この度の映画『かぐや姫』の発見は国際的な連携が良い形で実った一例と言えると考えております。長年の収集事業の成果が活かされた展覧会で展示される数々の怪獣映画、SF映画のポスターなども、私共の地道なアーカイブ活動の成果であり、円谷英二という巨人の業績を雄弁に語ってくれるものとなっているかと思います。」と、関係者への感謝を語るとともに、展覧会への自信を見せた。

塚越は「円谷プロダクションの創業者である円谷英二の生誕120周年の年に、円谷英二展を開催し、かぐや姫を上映できることを大変嬉しく思います。また今年はウルトラマンの誕生から55年目という年でもありますので、このタイミングで皆さまにお届け出来る意味を感じております。この企画が沢山の皆さんに円谷英二監督の偉業を知って頂く機会になれたらと思います。また『かぐや姫』は後に“特撮の神様”と呼ばれる円谷英二監督の若き日の作品という事で、随所に後の特撮作品に繋がってくる創意が観られます。こちらの作品も多くの方に観て頂ければと思います」と挨拶。
また同日午前中に福島県須賀川市で同士出身の1964年東京五輪でマラソン銅メダルに輝いた円谷幸吉選手(1940~68年)と円谷英二監督に名誉市民の称号を授与する授賞式が実施されたことについても語った。



特別ゲストとして円谷英二監督の三男である円谷粲(あきら)氏(中央)が登壇。左は国立映画アーカイブ館長・岡島尚志氏、右は円谷プロダクション代表取締役会長兼CEO塚越隆行氏。




更に特別ゲストとして円谷英二監督の三男である円谷粲(あきら)氏が登壇し、「120年経っても円谷英二が忘れられずに、残した功績を祝ってくれるということを、大変有難く思います。感謝に堪えません。120年も生きた実績があるというのは大したものだなと思います。この年になると(父・英二)から何を言われたか思い出せませんが、こうした展覧会などを通して、再度インプットしつつ、新しい人達が何か得られることを出来ればと思います」と挨拶の言葉を述べ、後にマスコミによる質疑応答が行われ、会見は終了した。




【7月7日(水)開催: 円谷英二 生誕120年記念特別イベント 概要】

■登壇者(敬称略):岡島尚志(国立映画アーカイブ館長)、岡田秀則(同展示・資料室長 主任研究員)、大傍正規(同映画室長 主任研究員)、塚越隆行(円谷プロダクション代表取締役会長CEO)、円谷粲(円谷英二の三男) 

■場所:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU (東京都中央区京橋3-7-6)







若き円谷英二撮影の幻の映画がイギリスから帰還
映画『かぐや姫』の発見について。



※イベントで配布された資料より


本日はご来館いただきありがとうございます。
イギリスで発見された、J.O.スタヂオ製作によるトーキー音楽映画『かぐや姫』(国内公開 1935 年、監督:田中喜次、撮影:円谷英二)の海外向け短縮版(1936 年作成)が、85 年の時を経て日本へ里帰りを果たしました。
長らく失われていた『かぐや姫』は、「ゴジラ」「ウルトラマン」シリーズを生み出した、今年生誕120 年を迎える“特撮の父”円谷英二が撮影を手がけた初期作品です。
円谷の若き日の功績を伝える本作を、どうぞごゆっくりご鑑賞ください。
また、国立映画アーカイブは 2021 年 8 月 17 日(火)から展覧会「生誕 120 年 円谷英二展」を開催します。
ぜひこちらも足をお運びいただきますようお願い申し上げます。







日本からイギリスへフィルムが渡った経緯


1 ロンドン日本協会(ジャパン・ソサエティ)が 1936 年に英国人や現地邦人向けの上映会を企画し、在英日本大使館に「日本の可憐な伝説、童話を題材にした映画がほしい」と依頼する。

2 同大使館から相談を受けた外務省が、外郭団体の国際映画協会に作品選定を委嘱し、『かぐや姫』が輸出フィルムとして確定する。

3 国際映画協会の監修により、冒頭に英語字幕による解説を付した短縮版が作成された。

発見の経緯2015 年 5 月、ロンドン在住の映画史研究家ロジャー・メイシー(Roger Macy)氏から 、英国映画協会(British Film Institute、BFI)に本作の可燃性ポジフィルムが現存しているという情報が寄せられる。

同年 10 月、当館研究員が BFI の保存センターで現物調査を実施。その結果、当時日本映画を通じて文化振興を行っていた国際映画協会の監修により、1936 年 11 月に作成された『かぐや姫』[短縮版]であることが明らかになる。

その後、およそ6年にわたる BFI との収集交渉を経て、『かぐや姫』[短縮版]を不燃化したフィルムの里帰りが実現した。







【『かぐや姫』作品情報】


●製作・配給:J.O.スタヂオ ●オリジナル版公開:1935年11月11日(京都宝塚劇場)、11月21日(日本劇場)
●オリジナル版上映時間:75分(9巻、2051m) 
1936年に国際映画協会の監修により英国への輸出向けに再編集された短縮版の上映時間:33分(3巻、908m)。
※今回、冒頭の英語字幕による解説には日本語字幕を付しました。
●脚色:J.O.企画部 ●監督:田中喜次 ●撮影:円谷英二 ●録音:万宝圭介
●考証並美術監督:松岡映丘 ●作曲並音楽監督:宮城道雄 ●台詞並演技監督:青柳信雄 ●主題歌作詩:西條八十
●ミニチュア制作・撮影:政岡憲三 ●アニメーション用の牛及び牛飼い人形(石膏像)制作:浅野孟府
●出演:北澤かず子(かぐや姫)、藤山一郎(造麿)、徳山璉(太麿)、汐見洋(竹取翁)、東日出子(竹取嫗)、横尾泥海男(宰相阿部)、藤輪欣司(細身)、下田猛、上田吉二郎
●演奏:宮城合奏団、ビクター管弦楽団・混声合唱団 ●舞踊:高田せい子按舞、高田舞踊団総出演
●主題歌:ビクターレコード第53604番(A愛の歌:藤山一郎、渡邉はま子、Bかぐや姫:徳山璉、ビクター合唱団)




【解説】

J・O が「百万人の合唱」に次いでの第二回作品で、竹取物語に取材した新日本音楽映画と銘打たれている。かぐや姫には文化学院学生北澤かず子、それにビクター専属歌手藤山一郎、徳山璉、創作座の藤輪欣司、笑いの王国の横尾泥海男、旧帝劇幹部女優東日出子、新劇の汐見洋、等々を配している。アール・シー・エー・ハイフィデリティ―使用のオールトーキーである。




【略筋】

竹取翁夫婦は竹藪の中でひろったお姫様かぐや姫を一子造麿と兄弟のように大事に育てた。やがて姫は美しく成人して、都中から求婚者が降るほどあったが、竹取翁夫婦は造麿に娶合わせようと思っていました。ところが、時の宰相阿部の御主人の二人の息子、太麿、細身が同時に求婚して来たために、お姫様は小さい胸をいためた末に、造麿、太麿、細身の三人に世の宝中の宝といわれる宝物を唐天竺までも探しあててきた人を婿にすると申し出ました。細身が奸智にたけた男で、工匠達を欺して天竺の王の枝の偽物をこしらえて、まんまと姫を手に入れようとしました。造麿は宝探しの船旅で遭難して筑紫の浜に打ち上げられ、そこで図らずも宰相に怨みをいだく陰陽師に会い、一部始終を物語ります。そこで陰陽師は、天女の如く美しいかぐや姫が月を恋う評判と中秋十五日の月蝕とを利用してかぐや姫昇天説を都中に流布しました。これにひっかかった宰相たちが中天を仰いで昇天昇天と騒いでいる間に、お姫様は、翁夫婦、造麿と共々に都落ちして更に幸福な生活に入りましたとさ。

※「キネマ旬報」第 556 号、1935 年 10 月 21 日号より(漢字及び仮名遣いは改めた)







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