『哭声/コクソン』のナ・ホンジンが原案・プロデュース!
祈りの先にあるのは、希望かそれとも絶望か。
祈祷師一族の因果を廻り、新たな恐怖がやってくる。
『チェイサー』(08)、『哭声/コクソン』(16)で、その名を轟かせた韓国映画界が誇る気鋭 ナ・ホンジンが原案・プロデュースし、『心霊写真』『愛しのゴースト』のバンジョン・ピサンタナクーンが監督を務める『女神の継承』がいよいよ本日7月29日(金)全国公開される。
この度、「cowai」では、バンジョン・ピサンタナクーン監督に緊急・単独インタビューを敢行。海外のみならず、日本でも評価が急上昇している本作の舞台裏を、貴重なメイキング写真と共に紹介する。
また、「女神の継承」特製オリジナル手ぬぐい(非売品)を抽選で3名様にプレゼント!(応募方法は記事の後半に掲載)
恐怖とエンターテイメントの完璧なる融合
『哭声/コクソン』のアナザー・バージョンとも言える衝撃作『女神の継承』
本作は、カンヌ国際映画祭に出品され、世界中の度肝を抜いた『哭声/コクソン』の続編として、ファン・ジョンミン(『ただ悪より救いたまえ』、『ベテラン』)が怪演した祈祷師・イルグァンの物語をナ・ホンジンが思いついたことから、企画がスタート。その構想はタイの祈祷師をモチーフに、本作へと受け継がれ、『哭声/コクソン』のアナザー・バージョンとも言える衝撃作が完成。タイ東北部イサーン地方を舞台にした本作は、観る者を社会の常識が通用しない戦慄の秘境へと招き入れていく…。
『女神の継承』予告編
『女神の継承』公開記念!
バンジョン・ピサンタナクーン監督・単独インタビュー!
――『女神の継承』とても面白かったです。重量級の見ごたえある傑作です。
バンジョン・ピサンタナクーン監督(以下、監督): ありがとうございます。
今回は、『哭声/コクソン』のナ・ホンジンさんと組んだこともあって、観客にとって、全く新しいタイプのホラーだと思ってもらえる作品を目指しました。
――具体的にどんな所が“新しい”のでしょうか。
監督: 例えば「祈祷師の世代継承」という内容、それから「フェイク・ドキュメンタリー」という点です。
フェイク・ドキュメンタリーはアメリカでは100本以上撮られているんですけど、アジアではまだまだ新しい分野だと思います。チャンレンジのしがいはあります。
――単にドキュメンタリーとしても、前半と後半では雰囲気が違っていて、構成にも新しさを感じます。
監督: 確かに撮り方にも工夫しています。前半は、美しい映像による丁寧な人生ドキュメンタリーをイメージして、後半になると、様々な事件が入り乱れて壮絶な物語へと変化します。そうした誰も作っていないような組み合わせで作品を撮りたかったんです。
あらゆるものに霊が宿る
――この作品には『哭声/コクソン』の祈祷師からヒントを得て、その続編的なイメージで作られたと聞いています。原案・プロデュースのナ・ホンジン監督とはどんな話をされましたか。
監督: 祈祷師というのは、すごく魅力的な題材だと思いました。だから、ぜひやってみたいと。ナ・ホンジンさんからは、最初の打ち合わせで、「祈祷師という、『哭声/コクソン』と同じテーマを、好きなように解釈して、タイのローカライズ映画として作ってかまわない」と言われました。
だから、祈祷師について徹底的にリサーチをしました。予告編を見るとわかるんですけど、タイのイサーン地方(東北部)には、「あらゆるものに霊が宿る」という言い伝えがあるんです。今までこういった霊にまつわる話を真正面から語った映画はなかったと思うので、とても面白いと感じました。
監督: 特にミンにとり憑いた霊に関して、私が取材を通して思いついた、いくつかのアイデアをナ・ホンジンさんに話したら「それは面白いね!」って乗ってくれて(笑)。ネタバレになるからはっきり言えませんが、かなりオリジナルなアイデアが詰め込まれていると思います。
――実際、祈祷のシーンはリアルで見ごたえがありますが、これはどこまでが事実で、どこからが監督のオリジナルというか創作、フィクションなんでしょうか?
監督: 実際に取材したもので、そのまま使っているのは30%ぐらいですね。それだけではやっぱりあまり面白くないし、意外とリアルに感じないんです。だから、どんどん付け加えて、膨らませています。例えば、生卵を使った祈祷のシーンとかもそうですね。
あとは、積み上げたアイデアを基に、シチュエーションごとに、プロダクションデザイナーと「どんなビジュアルにすれば、よりパワフルなシーンになるか」を話し合いました。
――クライマックスの祈祷シーンは、ハリウッドのホラー大作にも引けを取らない迫力がありました。
監督: 撮影はとても大変でしたが(笑)。限られた撮影日数と予算で、とにかくリアルに迫力あるように描かなきゃいけないので……自分にとっても初めてというか、これまでの普通のホラーとは全く違う撮り方でした。
たとえば、“霊が現れて、消えたり”とか、そういうシーンは一切ないんですよね。
一見何も起こらないんだけど、ぞっとするほど怖く見せるという演出の工夫に本当に苦労しました。
特に最後の工場でのシーンはかなり時間をかけました。
――撮影はどれくらい?
監督: 総撮影日数は28日間です。その内の8日間を工場内での撮影に費やしています。
――全体のおよそ三分の一の撮影日数を、クライマックスに使っているんですね。かなり力が入っていますね。そのかいあって、ホラーを見慣れている人でも手に汗握る、圧倒される映像が目白押しでした。
ーー今回の作品で監督は「新しさ」を目指していると仰いましたが、同時に『エクソシスト』とか『ヘレディタリー/継承』『パラノーマル・アクティビティ』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』などの過去のホラー映画のエッセンスが注がれていると思います。これらのホラー作品をどこまで意識されていますか。
監督: 今挙げられた映画、全部好きなんですけど(笑)、だからといってそれらの作品を意識して作ったわけじゃありません。むしろ過去のホラー作品を踏まえて、いかにその作品と違うものを、その先にあるものを目指したつもりです。
単にお化けが出てくるだけの安易なホラーではない
――では今回、影響を受けたり、意識された作品はありますか。
監督: 作っている最中、意識し続けたのは『ハニーランド 永遠の谷』という北マケドニアのドキュメンタリー映画です。残念ながらホラーではありません。オスカーにノミネートされて(オスカー史上初の長編ドキュメンタリー賞&国際映画賞にノミネート)、いくつか賞ももらっています(全米批評家賞ほか受賞)。
監督: 自然農法でハチミツ作りをしている年配の女性を長期間、独自の視点で取材した作品ですが、全く新しいタイプのドキュメンタリーだと思いました。一人の女性の人生をとらえた映像が極めてシネマティックで、美しくも感動的だったので、本当に何回も見て泣きました。
『女神の継承』でも、1人の女性の祈祷師の日常をとても丁寧に描いています。だから何度も言いますが、単にお化けが出てくるだけの安易なホラーではありません。でも、後半に関しては通常のドキュメンタリーの流れから逸脱していき、予想もつかない展開から、最後は観客に未知の衝撃を与えるという構成になっています。
――祈祷師を演じられた女優も非常にリアルなお芝居をしていたと思いますが、本物の祈祷師から指導を受けたりしたんでしょうか?
監督: いえ、実際の祈祷師には会わせていないです。
私が取材した動画を(彼女に)見せて、一緒に解釈して作り上げたものが、リアルに見えたということだと思います。
――美術や小道具、衣装もリアルに感じましたが、これらは本物なのでしょうか。それとも映画のために作られたものでしょうか?
監督: 美術や衣装も本物を使ったり、本物に似せた物が30%ぐらいあります。残りはイメージをかなり膨らませました。やはり、どうやったらパワフルな画になるかということを第一に考えて工夫しました。
久しぶりに真面目に、真剣に作ったホラー
――監督は恐怖の演出について、どう考えていますか。
監督: 今回は、どうやって怖がらせるかという意味で、自分にとって大きなチャレンジでした。
リアルなんだけどフィクション。ひとくくりにフェイク・ドキュメンタリーと言っても『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』みたいな作品とも違います。
どんなスタイルで、どうストーリーを語るのか。ドキュメンタリーでありながら、いかに面白く怖く見せられるかに、心血を注いだつもりです。
――ナ・ホンジン監督と組んだことも含めて、西洋のホラーとは全く違う、アジアならではの底知れぬ怖さが感じられました。
監督: 個人的には、『女神の継承』は「タイ映画らしくあれ」と思っていました。でも、ナ・ホンジンさんに言われたのは「これは“ワールド・シネマ”だ」と。世界に通用する映画だと言われました。「なるほど、そうなのか」と思い、そのこともあって、外国の観客だったらどういう風に見るのか、西洋、東洋問わず、その視点にも気をつけていましたが、作品そのものが演出と演技にかなりのパワーが必要で、とことんこだわり抜いた結果として、タイの人以外にも受け入れられたんじゃないかと思います。
――撮影中に、奇妙な現象や不可解な出来事、怖い体験などがありましたか?
監督: ないですね(笑)。
――監督自身は霊や精霊の存在を信じますか。また、現実の祈祷師についてどのように考えておりますか?
監督: そうですね。幽霊には遭ったことがないので、怖くはないです。でも別に信じてないっていう意味じゃなくて、「見たことがある」って人のことを「嘘をついている」とは思ってないし、「ああ本当に見たのかな」とは思いますね。
祈祷師については全く信じてません。人をだましていると思っています。
――『女神の継承』、監督から「ここを見てほしい」「ここが見どころ」があれば教えてください。
監督: 全部見逃してほしくないんですが(笑)。雰囲気作りをすごく心掛けたので、(その世界に)入り込んでいただいて、最後まで楽しんでもらえるかなと思います。
それから、先に鑑賞した観客の感想では、「CCTV(防犯カメラ)のシーンが面白かった」という声があって、個人的にも気に入っています。
――最後に、日本の映画ファンにメッセージを。
監督: 日本で上映される事に心からワクワクします。
日本で今まで公開された私の作品は『心霊写真』と『愛しのゴースト』、そして『女神の継承』になりますけど、今回は久しぶりに真面目に、真剣に作ったホラーです。そして、初めての試みに挑戦しており、とても面白く、リアルに怖い、ぜひ見ていただきたい作品です。日本の観客の感想がとても楽しみです。
――ありがとうございました。
『女神の継承』公開記念
特製オリジナル手ぬぐい(非売品)を抽選で3名様にプレゼント!(
<応募方法>
応募締め切りは2022年8月6日(土)
応募方法は、WEB映画マガジン「cowai」twitter公式アカウント(@cowai_movie)をフォローし、該当するプレゼント記事ツイート( https://twitter.com/cowai_movie/status/1552938301849751552 )をRTしてください(すでにフォローされている方は、ツイートのRTのみで結構です)。
<抽選結果>
締め切り後に抽選を行い、当選された方に「cowai」公式TwitterアカウントよりDMで通知、発送させていただきます。
(諸般の事情や、災害等やむを得ぬ事情で発送が遅れる場合があります)
皆様のご応募お待ちしています!
【応募の注意点】
〇当選後に住所の送付が可能な方のみご応募ください(日本国内のみ有効)。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
〇当選品は映画配給会社よりご提供いただいたプロモーション目的の非売品扱いとなります。このため、傷や汚れ等があっても交換はできませんので、ご了承ください。
※非売品につき転売目的のご応募は禁止とさせていただきます。
〇抽選結果や抽選経過に関して個別のお問い合わせには応じられませんので、あらかじめご了承ください。
『女神の継承』吹替版上映イベント開催決定!
日時:2022/8/11(祝・木)
場所:ヒューマントラストシネマ渋谷
住所:東京都東京都渋谷区渋谷1丁目23−16 ココチビル
※詳細は追って発表の予定です。
【『女神の継承』STORY】
タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族 美しき後継者を襲う不可解な現象の数々…
小さな村で暮らす若く美しい女性ミンが、原因不明の体調不良に見舞われ、まるで人格が変わったように凶暴な言動を繰り返す。
途方に暮れた母親は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。
もしやミンは一族の新たな後継者として選ばれて憑依され、その影響でもがき苦しんでいるのではないかー。
やがてニムはミンを救うために祈祷を行うが、彼女に取り憑いている何者かの正体は、ニムの想像をはるかに超えるほど強大な存在だった……。
■作品概要
女神の継承
原案・プロデュース:ナ・ホンジン『チェイサー』 『哭声/コクソン』
監督:バンジョン・ピサンタナクーン『心霊写真』『愛しのゴースト』
キャスト:サワニー・ウトーンマ、ナリルヤ・グルモンコルペチ、シラニ・ヤンキッティカン
2021年/タイ・韓国/タイ語/131分/カラー/1.78:1/5.1CH/原題:랑종/英題:THE MEDIUM /字幕翻訳:横井和子
配給:シンカ/提供:シンカ、エスピーオー/後援:タイ国政府観光庁/協力:OSOREZONE
レーティング:R18+
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公式HP https://synca.jp/megami
公式Twitter @megami_rangzong
7月29日(金)全国ロードショー
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