『ヌルボムガーデン』公開記念!ク・テジン監督単独インタビュー!「『女神の継承』などのプロデューサー時代に培った“得体のしれない恐怖”」

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『コンジアム』に続く【韓国最恐心霊スポット】
韓国に実存する<ある物件>。
此処へは、決して入ってはならない。


<韓国最恐心霊スポット>の都市伝説を題材に描き出す、容赦なき怒涛のホラー・エンタテイメント『ヌルボムガーデン』が、2025年1月24日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開される。

「cowai」では、映画の公開を記念して、『女神の継承』などのプロデューサーで活躍し、本作で監督デビューしたク・テジン監督の単独インタビューを敢行。撮影秘話やホラー作品へのこだわりなど、映画製作の舞台裏を紹介する。







『ヌルボムガーデン』公開記念!ク・テジン監督単独インタビュー
『女神の継承』などのプロデューサー時代に培った
“得体のしれない恐怖”に彩られたホラー・イメージ




――作品を拝見しましたが、ホラーとしても、エンタメ映画としてもとても面白く魅力的な作品だと思いました。まず、韓国の三大心霊スポットの一つを題材にした経緯から教えてください。

ク・テジン監督 三大心霊スポットの映画化というテーマは、もちろん興味を引くのですが、あくまで導入のきっかけであり、内容的には都市怪談、都市伝説をベースにして、いかにスリリングで見ごたえのある作品を生み出せるかを考えました。

ⓒ2024 BYUS ENT & JNC MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED



――確かに、本作は『コンジアム』のような、若者たちが自撮りカメラで心霊スポットに行って恐ろしい体験をするというフェイクドキュメンタリーをイメージしますし、実際に冒頭はそんな雰囲気もあるのですが、そこから予想もできない、意外な方向に物語が進んでいきます。

ク・テジン監督 フェイクドキュメンタリーは以前に、『女神の継承』という作品で私が(プロデューサーとして)携わっていますが、私自身はこの物語を、フェイクドキュメンタリーよりもミステリー形式のドラマで撮った方が面白くなると思いました。だから今回は、家族の物語としても深みを与え、幽霊も単に恐ろしいだけではなく、観客に共感してもらえるような存在として絡めるなど、これまでにないドラマ性の強いホラー・ミステリー作品にしたいと考えたのです。



――なるほど。確かに、あまり他にはないスタイルと思いますが、脚本作りで苦労した点や、こだわった点があれば教えてください。

ク・テジン監督 脚本を書く苦労もさることながら、ホラー映画を(監督として)手掛けること自体が初めてだったので、どのようにして観客を驚かせて、怖がってもらうか、その点についてとても悩みましたし、一番難しいところでした。

――撮影スタイルも、ライブ感のあるドキュメンタリー手法の『女神の継承』から一転して、今回は、かなり作り込んだ正攻法の映画演出のスタイルでした。やはりホラー・ミステリーに主眼を置いた作劇に合わせたためなのでしょうか。

ク・テジン監督 そうですね。家族、そして人間ドラマに主眼を置いたことに起因しているのですが、中でも、失踪した、物語の鍵を握る少女ヒョンジュに共感してもらいたい、彼女の感情を掘り下げたいという思いがありました。(主人公の)ソヒがクライマックスで“ヒョンジュの正体”と向き合うわけなんですけど、あの辺りはフェイクドキュメンタリーでは難しかったかなと思います。

――それはどのような理由からですか。

ク・テジン監督 フェイクドキュメンタリーは作劇の性質上、正義は正義、悪は悪として定義されやすく、観客にもそう思わせてしまう傾向があるからです。だから、わかりやすい結末を作るのは楽なんですが、この作品ではそうはしたくなかった。私にとって、ヒョンジュという少女は、善とも悪とも決めつけられないキャラクターで、ソヒが彼女とどう向き合うのか、ヒョンジュの気持ちに寄り添ってほしいと思いながらも、ソヒが複雑な物語にどんな決着をつけるのか、それはフェイクドキュメンタリーの形式ではなく、ミステリーを含めた人間ドラマとしてアプローチしたいと思いました。

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『哭声/コクソン』のナ・ホンジン監督の影響

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――韓国ではホラー映画の傑作がたくさん生まれてます。初監督作がホラー映画ということで、プレッシャーはあったんでしょうか?

ク・テジン監督 プレッシャーは常に抱えていますね。昔、ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』にも、私は企画段階で参加していて、残念ながら最後までは関わることはできなかったのですが、ナ・ホンジン監督の素晴らしい仕事ぶりを間近で見ることができました。また、『女神の継承』や『チェイサー』でもプロデューサーとして参加していたため、私自身が監督する時も、必ず良い作品を作らねばならないというプレッシャーは当然ありました。

――『哭声/コクソン』も、誰が敵で誰が味方かわからないというストーリーの面白さがありました。その点も含めて、今回の物語を作る上で、ナ・ホンジン監督の影響があったんでしょうか?

ク・テジン監督 ナ・ホンジン監督には、世界観やキャラクターの掘り下げなど、たくさんの影響を受けていると思います。『哭声/コクソン』も出発点は、今のような作品ではなかったんです。ある村に日本人がやってきて、どんな風にアプローチしていくのかというのが最初のコンセプトで、そこからナ・ホンジン監督がさらに研究を重ねて、今の形の作品に仕上げているんですよね。その妥協しないタフな精神力、粘り強さ、集中力は尊敬に値すると思います。



――一方で『ヌルボムガーデン』は現代的な都市伝説がテーマであり、そこに心霊ホラーやミステリー、呪術ホラー、スプラッター、家族ドラマなど、様々な要素が複雑に絡み合い、ストーリーを紡ぎ出しています。確かに『哭声/コクソン』と共通する部分もありますが、印象はかなり異なります。これはやはりク・テジン監督がやりたかったことをすべて詰め込んだという感じなんでしょうか。

ク・テジン監督 そうですね、私は伝統的なホラーというよりも、超が付く程の現実的なイメージが好きなので、このような方向性でアイデアを詰め込み、演出することになったと思います。

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『女神の継承』などのプロデューサー時代に培った
得体のしれない恐怖に彩られたホラー・イメージ


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――ホラー初監督とは思えない程、特殊メイクやCGを駆使した恐怖シーンも良く出来ていたと思います。

ク・テジン監督 やはり監督になる前の、プロデューサー時代の経験が役に立ったと思います。
『女神の継承』はもちろん『殺人者の記憶法』など、本当にプロデューサーとして多くの話題作に携わり、どんな風にCGを使えば、観客を驚かせ、魅了できるのか、自分なりのノウハウが蓄積されていたと思います。

――ネタバレなので、あまり言えませんが、冒頭の地下室に現れる、歪んだ幽霊のビジュアルが本当に怖くて素晴らしかったです。イメージやデザインなど、こだわった点があれば教えてください。

ク・テジン監督 あの(地下室の)幽霊のメイクは、私にとっては非常にミステリー性の強いものをイメージしていました。つまり、正体不明、得体のしれない、実態がわからないという怖さです。観客にも、その狙いがダイレクトに伝わるようにしたかったので、あのようなデザインにしました。

――後半のポルターガイスト、包丁や皿が生物のように飛んでくるシーンも迫力がありました。どうやって撮ったんでしょうか。

ク・テジン監督 俳優にケガをさせないようにテストを重ねた上で、実際にスタッフが包丁や皿を投げて撮影しました。あまりにも危険だと判断した一部のカットでは、俳優にリアクションだけしてもらって、後から別撮りや合成をしています。

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初めてのホラー監督の現場
苦手だけど、好きなホラー映画


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――主人公ソヒの絶叫や力強い熱演、ヒョンジュが自身の腹を刺すシーンの苦悶の表情、姉のヘランが霊に取り憑かれて別人のように暴れるシーンなど、俳優たちの演技も印象に残るシーンが多いですが、俳優にはどんな指導をされたのでしょうか?

ク・テジン監督 撮影前、俳優たちには現実を感じさせるようなリアリティのある演技をしてほしいとお願いしました。
まず、ソヒ役のチョ・ユニに関しては、もともと韓国では彼女に清らかな好印象を持っている人が多く、この作品の主人公に最適でした。本当に理想に近い形で、ナチュラルな演技を見せてくれました。そして彼女が次々と予想だにしないピンチに陥り、苦悩し、追いつめられるたびに、彼女の新しい魅力を観客に提示することができたと思います。

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ク・テジン監督 また、物語の鍵を握る少女ヒョンジュを演じた俳優には、ヒョンジュの登場シーン自体はそれほど多くないものの、短い中で複雑で特別な感情をうまく伝えなければならない難しさがあり、何度もリハーサルを重ねました。そしてクライマックスで、ヒョンジュとソヒが向き合った時、ソヒの自然な芝居が、ヒョンジュのより説得力のある存在感をうまく引き出し、観客に深い共感を与えることに成功したと思います。
あと、ヘラン役のキム・ジュリョンは、もともと素晴らしい俳優で、ニュアンスを少し伝えただけでしっかりイメージ通りの演技を披露してくれました。この俳優は天才じゃないかと何度も感心しましたね。

――初めての監督として、現場で苦労した点があれば教えてください。

ク・テジン監督 プロデューサーの時とは比べ物にならない位、圧迫感や重圧感がありました。それはどの監督も感じていることだと思います。でも、大変ではあるけど、同時にとても楽しかったですね。とはいえ、低予算の作品でしたので、時間に追われることが多く、とにかく無駄を省いて、密度濃く、限られた少ない時間の中で、より多くの良いシーンを撮るように心がけました。正直、試写を見て「あの時ああすればよかったな」と反省することもありましたね。

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――監督ご自身はホラーがお好きでしょうか?

ク・テジン監督 実はホラー映画は、怖くて苦手なんですよね(笑)。
私は映画を観た後、余韻を引きずってしまい、寝る前にそれを思い出して、また怖くなってしまうのです。だから正直好き好んで積極的に見たいとは思わないですね。
ただ、ホラーが全く嫌いというわけではなく、超現実的なイメージの作品が好きですし、影響も受けました。
個人的には『へレディタリー/継承』や『シャイニング』が好きですね。

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――最後に日本の観客にメッセージを。

ク・テジン監督 日本の観客の皆さんには、私の作品を見ていただけるだけでも感謝しています。

この作品を見ている間は、少しでも現実を忘れて、映画の中に入り込んでハラハラ楽しんでもらえる時間になってくれたら嬉しいです。ぜひ劇場でご覧ください。

――ありがとうございました。


演出中のク・テジン監督









大島てる(事故物件サイト運営)、崔盛旭(映画研究者)、
人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)、野水伊織(映画感想屋声優)、
村田らむ(ライター・漫画家など)、りゅうあ(心霊アイドル)ら

『ヌルボムガーデン』に寄せられた絶賛コメント(五十音順/敬称略)

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〇〇や‪✕‪✕だけじゃない!□□、▲▲ 、、、そして!!
本当に怖い韓国の心霊スポット!!!
(※実際の事件、人名のため、配給会社判断により自主規制)


――大島てる(事故物件サイト運営)


この世で一番安全で安らげる場所が、ある日突然不気味なものになったときの計り知れない恐怖…。 
『女神の継承』のようにじわじわと、『チェイサー』のように突然に、その恐怖が襲いかかる瞬間、映画自身が新たな心霊スポットになるのだ。 


――崔盛旭(映画研究者)


怨念も哀しみも死も、何もかも全てを取り込む蟻地獄のような心霊スポットが日の目を見る。関わる者を物理的にも心理的にも徹底的に追い詰める全方位型の恐怖体験を味わえる。この場所に関わったが最後、逃げ道はない。 

――人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)









怪現象もさることながら、大切な人の死という最大の不幸から始まる厭ホラー。
心霊やミステリーと様々な要素を孕みながらも、すべての謎が明らかになるとき、一番の「最悪」が待っている。 


――野水伊織(映画感想屋声優)




いとしのマイホームが実は“恨”が詰まった事故物件だった、というエグみ強めのホラー。
実在心スポを舞台に血みどろの死の連鎖が続く。とっとと引っ越さないと死んじゃうよ!!


――村田らむ(ライター・漫画家など)




この家なにかおかしいかも…
引っ越したばかりのマイホームに潜む恐怖と謎。次々と不幸を呼び寄せる、逆パワースポット!
私の家(事故物件)と比べてもかなり怖すぎます!
でも、あの現象やあの現象など同じ事が起きていて親近感が湧きました。
皆さんはこの家に住めますか? 私はぜひ住んでみたいです!


――りゅうあ(心霊アイドル)







INTRODUCTION
韓国初登場新作NO.1のスマッシュヒット!
『コンジアム』に続く<韓国最恐心霊スポット>の都市伝説

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韓国には“三大心霊スポット”として知られる恐怖の名所が存在する。『コンジアム』(19)の舞台となった京畿道広州市の<コンジアム精神病院跡地>。朝鮮戦争で死亡した学徒兵の埋葬場所とされる慶尚北道ヨンドク郡の<慶北ヨンドク刺身店>。そして、レストラン経営者の一家に降りかかった不幸な出来事と、いくつもの怪談が語り継がれる忠清北道堤川市の<ヌルボムガーデン>だ。

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『女神の継承』『チェイサー』のプロデューサーであるク・テジンが、このヌルボムガーデンを題材にしたホラー映画の製作を熱望。監督デビュー作として自ら脚本も担当し、“恐怖の始まり”というべき新たなストーリーを創造。禁断の恐怖が渦巻くプロジェクトを実現させた。

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物語の舞台となるヌルボムガーデンと名付けられた大きな庭があるこの家には、窓辺や物陰に正体不明の人影が出没し、事故物件のマイホームを舞台にした“家系ホラー”として進行。都市伝説、呪術、ミステリーなどの要素が巧みに絡み合いながら展開していく。

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突然の悲劇に見舞われ、夫の遺産である邸宅ヌルボムガーデンで暮らすことを決意する主人公ソヒを演じるのは、内田けんじ監督の大ヒットコメディ『鍵泥棒のメソッド』の韓国リメイク作『LUCK-KEY/ラッキー』(17)以来のスクリーン復帰を果たしたチョ・ユニ。彼女にとって初めてのホラー出演となり、ヌルボムガーデンにこびりついた不吉な気配におののきながら、夫の死と消えた少女をめぐる衝撃的な真実に迫っていく姿を見事に演じきった。ソヒとともにヌルボムガーデンのおぞましい呪いに翻弄されることになる姉ヘランを演じるのは、Netflixの大ヒット作「イカゲーム」(21)でミニョ役として強烈な印象を残したキム・ジュリョン。

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STORY:


幸せな新婚生活を送っていたソヒの夫チャンスが、ある日突然、自らの命を絶った。ショックのあまり流産し、悲しみのどん底に突き落とされたソヒは、生前のチャンスが購入していた郊外の邸宅を相続することに。ソヒは姉ヘランの反対を押しきって、ヌルボムガーデンと名付けられたその家に移り住むが、引っ越し後まもなく奇怪な出来事が続発。ある夜、家の中ですでにこの世にいないはずのチャンスの姿を目撃したソヒは、心優しかった彼が自殺に追いやられた理由を探り始める。やがて地元の女子高校生ヒョンジュが事情を知っていると確信したソヒは、数ヵ月前に失踪した彼女の行方を追うが、ヌルボムガーデンに取り憑いた邪悪な“何か”に脅かされていくのだった……。









監督・脚本:ク・テジン(『女神の継承』(22)『チェイサー』(09)プロデューサー)
出演:チョ・ユニ、キム・ジュリョン、チョン・インギョム、ホ・ドンウォン
2024年/韓国/韓国語/90分/ビスタ/5.1ch/原題:늘봄가든/英題:SPRING GARDEN/日本語字幕:朴澤蓉子/提供:ニューセレクト、BBB/配給:アルバトロス・フィルム  PG-12
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公式サイト:neulbom-film.com 公式X:@neulbom_movie




2025年1月24日(金)新宿ピカデリーほか全国公開




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