「cowai」の過去のインタビューの中で、
特に反響の大きかったホラー・エピソードを再録!
WEB映画マガジン「cowai」に過去に掲載されたインタビューの中で、特に反響の大きかったホラー・エピソードを抜粋し、イチオシの作品を紹介する好評連載企画「あの人の“ホラーな”1本!」。
四回目は、『富江』シリーズなどのホラー漫画で知られ、国内のみならず海外でも絶大な人気を誇る漫画家の伊藤潤二。記事は、“Jホラーの父”鶴田法男監督(『リング0 バースデイ』「ほんとにあった怖い話」『おろち』)との対談インタビューより。(2021年12月26日掲載)
【「あの人の“ホラーな”一本!」】バックナンバー
①深川麻衣「初めて見た時、衝撃でした」
https://cowai.jp/interview/12364/
➁白石晃士(『近畿地方のある場所について』監督)
「クトゥルー的な世界観はありますが、実はクトゥルーというより…」
https://cowai.jp/movie/12367/
③堀未央奈「私ほんとに何でも好きなんです。ホラーだとジャンルを問わず」
https://cowai.jp/interview/12375/
【連載企画】あの人の“ホラーな”1本!④伊藤潤二
「菅野(美穂)さんを“富江”にしてくれって、私の方から頼んだんです」

※神保町シアターで行われた、伊藤潤二先生と、“Jホラーの父”鶴田法男監督(『リング0 バースデイ』「ほんとにあった怖い話」『おろち』)との対談インタビューより。(2021年12月26日掲載)
https://cowai.jp/interview/10899/
鶴田法男監督は『案山子 KAKASHI』(2001)で、伊藤潤二先生の原作を初めて映画化されていますが、そこに至るまでの裏話は↑元記事をご覧ください。とても面白い内容ですんで。
※ ※ ※ ※ ※
――伊藤先生は、映画化の以前から鶴田監督のお名前はご存知だったんですね。
伊藤潤二: ええ、もう。存じ上げておりました。
鶴田法男: ありがとうございます。
伊藤: (具体的な作品は)昔すぎて覚えていないんですけど、映画は撮られていました?
鶴田: いや、僕はホラー物は(オリジナル)ビデオでしかやっていないんですよ。『ほんとにあった怖い話』と、つのだ先生の『亡霊学級』、それと『悪霊怪談(『呪われた美女たち 悪霊怪談』)』という、ギリギリ・ガールズという当時のアイドルグループを主演にした、それぐらいしか撮っていないんですよ
伊藤: たぶん『ほんとにあった怖い話』だと思います。
鶴田: そうですね。『ほんとにあった怖い話』も(原作は、「富江」などと同じ)朝日ソノラマじゃないですか。朝日ソノラマに「『ほんとにあった怖い話』をオリジナルビデオとして映像化させてください」とお願いをしに行ったのが、1989年?だったかな。当時、朝日ソノラマが「月刊ハロウィン」というホラーコミックを出して、もともとその別冊だったんですよ。
当然、「月刊ハロウィン」も読んでいて、そこで「楳図かずお賞」というのが始まる、みたいなことが書いてあって、伊藤潤二っていう新人の作品が載っていて、それが「富江」ですよね?
伊藤: そうです。
鶴田: それを読んだ時に、「おおっ、なんだこれ」ってなって。すげーって思って。
伊藤: へたくそな(笑)
鶴田: いえいえ(笑)。これはすごいなって。その後、あっという間にどんどんどんどん載っていって。
で、当時、朝日ソノラマに原田(利康)さんという部長さんがいらっしゃって。
――ご存知ですか?
伊藤: はい、担当だったんで。
鶴田: 原田さんって漫画業界では有名な方なんです(※故人)。その原田さんに「『富江』の伊藤潤二さん、すごいと思います」って話をしたら、「そうでしょ」って。「だけども、俺の言うことを一つも聞いてくんないんだ」って。
伊藤: いえいえ、私、かなり聞いていたんですよ。ネームを書くんですけど、当時、名古屋に住んでいたもんですから、電話で打ち合わせするんですけど、いくつか直したほうがいい、というアドバイスをいただいて、まあ八割がた直していましたね(笑)
鶴田: そうなんですか(笑)。僕の聞いた話では、全く聞いてくれないと(笑)
伊藤: いやいやいやいや、それはないですよ(笑)
鶴田: それを聞いて、僕は「伊藤潤二すげえ面倒くさそうな人だなあ」って(笑)。
伊藤: いやいや原田さんから聞いた話では、高橋葉介先生が言うことを聞かないと(笑)。
鶴田: とにかく僕はそんな感じで、朝日ソノラマさんで『ほんとにあった怖い話』の映像化をやっていて、その時に伊藤先生がデビューなさって、お話しを聞いていると、だいたい僕と同年代の方で、だけどすごいびっくりするような漫画を発表されるから、これはすごいなと思って。正直、「富江」を読んだ時に、「富江」を映画化したいと思ったんです。
伊藤: ああ。
鶴田: ただ僕は当時何しろビデオの『ほんとにあった怖い話』とか、そういうものしか作っていないから、いや、僕ごときじゃあ、申し訳ないなあと思って。やっぱりちゃんとした映画として作って全国公開するっていうレベルに持っていかないといけないと。僕には無理だなあと思って。
伊藤: ええっ…。
鶴田: 諦めていたんですよ。そしたら、「富江」映画化しますって話になって、ええっ、そうだったら変に物おじしないで言えばよかった。
――今回(神保町シアターで)上映されます。
鶴田: ええ、菅野美穂さん(『近畿地方のある場所について』)の主演で。
――伊藤先生の作品では、映画化は「富江」が初めてなんですか。
伊藤: そうですね。
※ ※ ※ ※ ※
――映画の『富江』シリーズって何作も作られていますが、伊藤先生ははどの作品が印象に残っていますか。
伊藤: やっぱり菅野さんの(最初の『富江 tomie』(1999))。
――ああ。
伊藤: 最初、菅野さんは富江役じゃなかったんですよ。(ヒロインの)月子役になっていたんですけど。
鶴田: あ、そうなんですか。
伊藤: ええ。菅野さん、NHKのドラマとかに出ていて、「富江っぽいなあ」って思っていたんです。だから、「菅野さんを富江にしてくれ」って私の方から頼んで。そしたらOKになった、といういきさつがありました。
――私の勉強不足かもしれませんが、初耳です。では当初は月子が菅野美穂さん、富江が中村麻美さんだったんですね。
伊藤: ええ。(二人とも)最初からキャスティングには入っていたんで、ちょっと逆にしてくれって。
『富江 tomie』予告編
(インタビュー取材・文 福谷修)
【元記事】
他にも、伊藤潤二先生と鶴田監督の貴重なホラー裏話が満載です。
【関連書籍】
伊藤潤二傑作集(1) 富江(上) (朝日コミックス)
Kindle版 ※kindleUnlimited会員なら無料で読めます。

菅野美穂最新主演ホラー映画
『近畿地方のある場所について』大ヒット公開中!

発行部数70万部を突破し、いま日本全国で話題沸騰中の小説『近畿地方のある場所について』(著者・背筋/KADOKAWA)を、『サユリ』『コワすぎ!』『ノロイ』『貞子vs加耶子』の鬼才・白石晃士が、菅野美穂と赤楚衛二をW主演に迎えて映画化した。


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