世界の残酷で野蛮な奇習や風俗を、いかがわしい雰囲気とショッキングなドキュメント映像の中に描き、世界的な大ヒットを記録、いわゆる“モンド映画”ブームの頂点にして原点であり、その後のフェイク・ドキュメンタリーにも多大な影響を与えた映画『世界残酷物語』(1962年イタリア映画)。
モンド映画の生みの親にしてその代名詞であるヤコペッティ監督の没後10年を記念して、代表作『世界残酷物語』『続・世界残酷物語』『さらばアフリカ』を初のHDニューマスターによるオリジナルイタリア語完全版でリバイバル上映。
本日3月5日(金)より「未体験ゾーンの映画たち2021」にて一挙公開される。
ヒューマン・トラストシネマ渋谷は三作品を3/5(金)~3/11(木)で上映。
シネ・リーブル梅田は『世界残酷物語』が4/2(金)、4/4(日)、4/5(月)、『続・世界残酷物語』が4/4(日)~4/6(火)、『さらばアフリカ』が4/23(金)、4/27(火)、4/29(木・祝)に上映。
※詳しいスケジュールは公式サイトでご確認ください。
https://ttcg.jp/human_shibuya/movie/0732100.html
今後スクリーンで上映されることは稀と思われ、気になる人はこの貴重な機会をぜひお見逃しなく。
残酷ドキュメンタリーやフェイク・ドキュメンタリーにも
多大な影響を与えた、やらせ、捏造も何でもありの作風
『世界残酷物語』は世界のみならず、日本でも邦題から引用された“残酷”ブームが巻き起こり(『武士道残酷物語』など、“残酷”を冠して便乗したタイトルの作品が作られた)、その後に“ライオンが人間を襲い食べる衝撃映像”で大ヒットした『グレート・ハンティング』をはじめ、『アメリカン・バイオレンス』『カランバ』『ジャンク』など、数々の亜流の残酷ドキュメンタリー作品が生まれるきっかけとなった(その中には、日本側が出資した海外との合作映画も少なくなかったという)。
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今となっては稚拙な表現もあるが、衝撃を求めるあまり、捏造ややらせも何でもありの作風は、ノンフィクションとフィクションの境界線を曖昧にさせて過激にエスカレート、“本当に殺人が行われた映像”とセンセーショナルにあおられた『スナッフ』(もちろんやらせ)や、海外では“本物”と騒がれた日本のスプラッター・ビデオ「ギニー・ピック」(もちろん偽物)、さらには『食人族』『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』といったホラー系のフェイク・ドキュメンタリー(モキュメンタリー)にも多大な影響を与えたといわれる。
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4月21日から公開される『野良人間/獣に育てられた子どもたち』も、厳密にはドキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)ではないが、“発掘された記録映画の真実”という、そのうさん臭い手法は『世界残酷物語』から継承されていると言っても過言ではないだろう。
【上映作品】
世界残酷物語<HDニューマスター版>
全世界に衝撃を与えた”残酷”シリーズ第1作!
<世界初のHDニューマスター&オリジナルイタリア語完全版>
イタリアの雑誌記者出身のグァルティエロ・ヤコペッティが、世界の野蛮で残酷な奇習・風習を記録した異色ドキュメンタリー映画。
一部に演出やいわゆる”やらせ”も含んだショッキングでいかがわしい手法は、本作以降”モンド映画”という名の作品を大量生産する一大ブームを巻き起こした。
ヤコペッティ没後10年。初のHDニューマスターによるオリジナルイタリア語完全版でリバイバル上映!
監督:グァルティエロ・ヤコペッティ、パオロ・カヴァラ、フランコ・プロスペリ
撮影:アントニオ・クリマーティ、ベニート・フラッタリ/音楽:リズ・オルトラーニ、ニーノ・オリヴィエロ
自主規制:PG12 相当
続・世界残酷物語<HDニューマスター版>
過激さがさらに増したシリーズ第2弾!
<世界初のHDニューマスター&オリジナルイタリア語完全版>
前作の世界的大ヒットを受け、主に前作で未使用だったフィルムを使って急きょ製作された続編。
当時ヤコペッティは交通事故で入院しており、実際に本作を監督したのはパートナーのフランコ・プロスペリと言われている。
お家芸の”やらせ”は本作でさらにエスカレートし、有名なサイゴンの僧侶焼身自殺シーンでは「これは再現フィルムでは⁈」との疑惑・論争まで巻き起こす事態を引き起こした。
ヤコペッティ没後10年。初のHDニューマスターによるオリジナルイタリア語完全版でリバイバル上映!
監督・原案・脚本: グァルティエロ・ヤコペッティ、
共同監督: フランコ・プロスペリ
撮影:ベニート・フラッタリ/音楽:ニーノ・オリヴィエロ
自主規制:PG12 相当
さらばアフリカ<HDニューマスター版>
裁判沙汰にまで発展したシリーズ最大の問題作!
<世界初のHDニューマスター&オリジナルイタリア語完全版>
モンド映画の始祖グァルティエロ・ヤコペッティが約3年の歳月を費やし完成させた問題作。
本作は1960年代に独立運動が激化したアフリカ諸国の実態と混迷の様を克明にとらえたヤコペッティ渾身の自信作になるはずであった。
しかしまたもや”やらせ疑惑”が勃発。
さらに終盤のコンゴ動乱で傭兵たちによる略奪・虐殺の一部始終を撮影。
本物の処刑シーンをもフィルムに収めたため、ヤコペッティは殺人教唆の罪で告訴された。
イタリア司法局の調査で無罪となったが、本作以降、ヤコペッティはドキュメンタリー映画を撮ることを完全にやめてしまった。
ヤコペッティ没後10年。初のHDニューマスターによるオリジナルイタリア語完全版でリバイバル上映!
監督:グァルティエロ・ヤコペッティ、フランコ・プロスペリ
撮影:アントニオ・クリマーティ/音楽:リズ・オルトラーニ
自主規制:PG12 相当
【関連作品】
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