気が滅入る特集上映≪狂人暴走・大激突≫の流れを汲む、久々の第三弾、
シネマート新宿の過酷なオールナイト≪陰鬱暴走・正面衝突≫

鑑賞不可能と思われたまぼろしの陰鬱映画、ふたたび解禁
『ダーティハンター』1/2(金)より50年ぶりのロードショー公開!

ベトナム帰還兵のケン、グレッグ、アートの3人はそれぞれ結婚し、子供も生まれ、社会的成功者としての生活を満喫、絵に描いたような幸せを手に入れていた。だが彼らには誰にも話すことのできない趣味があった。その趣味とは<人間狩り>だった。狩りが解禁になる週末、三人は荷物をまとめ、獲物を捜しながら狩猟場へと出発した────。
デヴィッド・オズボーンによる小説「OPEN SEASON」を、『ミニミニ大作戦』(69)などで知られるイギリスの鬼才・ピーター・コリンソン監督、『イージー★ライダー』(69)のピーター・フォンダ主演で映画化した恐怖のサスペンス・アクションが『ダーティハンター』だ。
日本では1975年の劇場公開と以後の数回のテレビ放送以降、ソフト化されることもなく、世界的にも鑑賞困難だった幻の映画が、ついに半世紀の時を経て劇場に復活する。
<人間狩り>という、数々のホラー・サバイバルアクション映画で扱われてきた設定ながら、バトルロワイヤル的な娯楽性は排し、人間性や道徳性を完全に失った男たちの異常な姿をとおして、人間そのものとアメリカの闇を浮き彫りにする本作の鮮烈さは現在も失われていない。
サム・ペキンパー『わらの犬』(71)とジョン・ブアマン『脱出』(72)を合体させたような陰惨さ、『ソルジャー・ボーイ』(72)、『タクシードライバー』(76)、『ローリング・サンダー』(77)などのベトナム帰還兵の苦悩を描く作品群との類似性を持ちながらも、スペイン映画である本作はそのどの作品とも異なる質感を放っている。
また、冒頭から最後まで、希望を裏切る出来事が次々と続くいっさいの爽快感のなさ、ハンターたちが<獲物>を精神的に追い詰めていく長い描写など、神経がすり減るトラウマ映画の傑作ともいえる。
『ダーティハンター』特別先行オールナイト上映決定。
シネマート新宿の過酷な年越しオールナイト≪陰鬱暴走・正面衝突≫
約53年ぶりの上映『危険な来訪者』、日本初上映『マッド・ドッグ・モーガン』、
約30年ぶりの上映『ワンス・ウォリアーズ』と共に計4作を上映。

『イージー★ライダー』のピーター・フォンダが初めて本格的悪人に挑んだ『ダーティハンター』はすべての幸せを手に入れたベトナム帰還兵たちが人知れず人間狩りに興じ、道徳も倫理も思いやりも何もかも捨てた異常性を冷静に発揮する救いようのない鬱映画。日本でこれまで一度もソフト化されず、海外でも海賊版的なものしか流通せず、50年前の初公開時のスクリーンか、その後の数回のテレビ放送しか観る手段のなかった貴重作。過去の鑑賞で脳裏に焼き付いて離れない方々や、鬱映画ファンから常に待望論が上がってきたこの作品が2026年1月2日(金)からの半世紀ぶりのロードショーに先駆け、≪陰鬱暴走・正面衝突≫で特別先行上映。

その後、無言の除夜の鐘の後上映となるのは、フランスのシンガーソングライターであり、シャンソン界のスーパースター、シャルル・アズナヴールが主演をつとめた容赦ないサスペンス『危険な来訪者』。アズナヴール演じる幸せな医師とその家族が突然の闖入者によって幸せを奪われ、静かに怒りに震えてメスを片手に反撃を開始する。これも一度もソフト化の形跡がなく、観る手段のない作品。

その次は『イージー★ライダー』のデニス・ホッパー主演、『ラストエンペラー』等の大プロデューサー、ジェレミー・トーマスのキャリア初プロデュース作品『マッド・ドッグ・モーガン』。ホッパー演じる無法者がいたぶられる実話を描いた劇場未公開作。≪陰鬱暴走・正面衝突≫がおそらく日本初上映となる。

そして最後は母国ニュージーランドでは国宝級の扱いを受けているのではないかと思われる『ワンス・ウォリアーズ』。先住民マオリの実態を、一つの家族を通して過酷どころではない厳しさで見つめた激編。監督はマオリの血を引くリー・タマホリ。残念ながら先月この世を去り、この度の上映は追悼的な上映の意味合いも持つこととなった。

上映の終了予定時刻は元日早朝5時39分。告知ビジュアルには「初日の出は、拝めない。ひたすら下を向いて帰るのみ。」と記してあるが、東京の初日の出の予定時刻は6時51分につき、十分拝めるチャンスはある。只、見上げる気力が残っているかは、疑問だ。さらにこのオールナイトは入場後出入り自由。途中初詣に出かけてもよし、食事に出かけてもよし、帰っても大丈夫だ。またシネマート新宿は本当に上映するので約7時間、どっぷり映画に浸ることも可能なので安心してほしい。絶望には絶望を、鬱には鬱を。ここに幸せや安易な感動はない。来年を乗り切るための、厄を断ち切る失意の年越し上映。人生に一度、あるかないかの貴重な機会を見逃さないでほしい。
≪陰鬱暴走・正面衝突≫イベント概要
DEPRESSIVE FUNERAL ATTACK:
DARKEST HUMAN NATURE
【日程】2025年12月31日(水) 22:00~ 終了予定:翌日5:39頃
【劇場】シネマート新宿スクリーン1
【料金】3,500円均一
【上映作品】『ダーティハンター』、『危険な来訪者』、『マッド・ドッグ・モーガン』、『ワンス・ウォリアーズ』(上映順)
【販売】12/11(木)18:00より 劇場窓口&劇場オンライン予約
オンライン予約ページ:https://cinemart.cineticket.jp/theater/shinjuku/schedule#20251128
上映作品
『ダーティハンター』

俺たちは何故狙われるんだ!姿なき謎のハンターのH・Hマグナム銃に一人、また一人若者が鮮血に散る恐怖と戦慄の“人間狩り”!二度と鑑賞不能と思われたまぼろしの陰鬱映画、ふたたび解禁。

1974年|スペイン映画|105分|原題:LOS CAZADORES|英題:OPEN SEASON
© MERCURY FILMS All rights reserved.

監督:ピーター・コリンソン
出演:ピーター・フォンダ、コーネリア・シャープ、ジョン・フィリップ・ロー、リチャード・リンチ、アルベルト・デ・メンドーサ、ウィリアム・ホールデン






『危険な来訪者』

<恐怖>という冷たい風が呼ぶ二人の訪問者-。
なぜ私たちの幸せを奪うのか!青いコルシカに愛は砕け散る・・・。
鬼才セルジオ・ゴビが放つ、身動き出来ぬサスペンス。

1971年|フランス映画|98分|原題:LES INTRUS
監督:セルジオ・ゴビ
出演:シャルル・アズナヴール、マリー=クリスティーヌ・バロー、カティア・アズナヴール

『マッド・ドッグ・モーガン』

奴らは彼を狩り、飢えさせ、投獄し、鞭打ち、焼印を押し、殴打し、撃った。だが彼を破壊することはできなかった。1850年代豪州で指名手配されていた無法者ダニエル・モーガンの実話。

1976年|オーストラリア映画|103分|原題:MAD DOG MORGAN
© 1976 Mad Dog Motion Picture Productions
監督:フィリップ・モーラ 製作:ジェレミー・トーマス
出演:デニス・ホッパー、ジャック・トンプソン、デヴィッド・ガルピリル、フランク・スリング、マイケル・ペイト、ビル・ハンター、ジョン・ハーグリーヴス、マーティン・ハリス


『ワンス・ウォリアーズ』

魂を揺さぶるマオリの鼓動。世界各国の映画祭を席巻した、衝撃のニュージーランド映画。ここまで厳しい家庭状況に耐えられるか。

1994年|ニュージーランド映画|104分|原題:ONCE WERE WARRIORS
© 1994 COMMUNICADO LIMITED.
監督:リー・タマホリ
出演:レナ・オーウェン、テムエラ・モリソン、ジュリアン・アラハンガ、ママエンガロア・カーベル
キングレコード提供・配給
コピアポア・フィルム配給協力
シネマート新宿の過酷なオールナイト≪陰鬱暴走・正面衝突≫
大晦日2025年12月31日(水)22:00 → 元旦2026年1月1日(木)05:39
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