その部屋は、事故物件というより“地獄”だった。
脚本段階で映倫審査拒否!?
ゴア表現と残虐描写の限界に挑んだ超過激なバイオレンス描写で圧倒!
オカルトメディア「TOCANA」によるホラー映画製作プロジェクト第一弾で、TOCANA 編集長・角由紀子が原案を手掛けるバイオレンス・スプラッタ・ホラー映画『真・事故物件/本当に怖い住人たち』が、TOCANA 配給で、いよいよ2月18日(金)より ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ他にて全国ロードショーされる。
この度、本作を「cowai」おススメ作品に認定し、レビューを紹介する。
『真・事故物件/本当に怖い住民たち』予告編
これを見ずして、2022年のJホラーは語れない。
2/18(金)公開『真・事故物件/本当に怖い住人たち』【レビュー】
『リング』『呪怨』の成功以降、20年以上にわたって、粗製乱造を繰り返して、一部の良心作を除いて、すっかり観客の信頼を失ってしまった低予算Jホラー。
レンタル市場の衰退に伴い、若手の登竜門だったオリジナル・ホラー・ビデオのジャンルも消滅し、最後の砦である心霊系投稿動画ももはや風前の灯火だ。
そんな中で希望と言えるのが、オカルトメディア「TOCANA」の映画配給事業と映画製作への進出だ。
先行する配給事業では、『野良人間/獣に育てられた子どもたち』『ロックダウン・ホテル /死・霊・感・染』『人肉村』『ドーン・オブ・ザ・ビースト/魔獣の森』『食人雪男』『シークレット・マツシタ/怨霊屋敷』『ハングリー 湖畔の謝肉祭』『KKKをぶっ飛ばせ!』など、海外から続々と輸入されるホラー作品には、かつて多く見られた、「煽情的なタイトルと、派手なポスタービジュアル、ファン目当てのキャスト“だけ”」のエクスプロテーション作品とは一線を画す、意外や、ジャンル映画ファンにも好印象の、一味ひねりの利いた良作が目立つのが特徴だ(あくまで過去のこの手のC級Z級映画との比較だけどね。でも悪くはない)。
超低予算ながらも、
手間のかかる心霊+スプラッターの新機軸に挑戦
とはいえ、海外作品の配給と、一から製作する映画は全くの別物。TOCANA第一回製作作品『真・事故物件/本当に怖い住人たち』がいったいどんな出来なのか。興味津々だった。
結論から言えば、試写を鑑賞した感想は「素晴らしい」の一言だった。
とても気に入ったので、主演の海老野心や佐々木勝己監督、共演の小野健斗、果ては幽霊役の竹内花にまで単独インタビューさせていただいた(この後、連続的に記事を掲載し、読者プレゼントも)。
監督から直接聞く限り、製作費や撮影期間は、従来の超低予算ホラーとほとんど大差がないようだ。
それでいて、心霊+スプラッターという、手間のかかるホラーの見せ場がたっぷりと詰め込まれた内容は、クオリティ面からしても驚愕に値するものだ。
たとえるなら、古くは鶴田法男監督の『霊のうごめく家』や清水崇監督のOV版『呪怨』、白石晃士監督の『オカルト』、最近なら永江二朗監督の『真・鮫島事件』など、ゴミ溜めに咲いた一輪の花のような傑作、秀作を初めて鑑賞した時の興奮、感動に近いものがあったと言ったら、言い過ぎか。
過酷な撮影現場から生まれた、
高い映画的クオリティの見せ場
もちろん、監督の才気だけで傑作が生まれる程、映画は甘いものではない。
スタッフ、キャストが一丸となって、監督のイメージを奴隷のように具現化しなければ、この限られた予算と撮影期間でまともなホラーが生まれるはずもない。
今回の現場も徹夜徹夜でかなり過酷だったらしいが、キャストは「大変だったけど、楽しかった」と笑顔で振り返る。
たぶん、これは現場が停滞することなく、うまく機能していた証拠だろう。
それは画作りにも確実に現れている。
予算のなさをアイデアをカバーしながらも、ヒロインは汚れる程に魅力的に撮られ、ホラー映像はグログロ&ゴアゴアなんだけど美しい、構図も俗悪的なんだけど妙に映画的に決まっているカットが多い。
もっとも監督からすれば、「もっともっとえげつないもの」を目指して、昔の擦り切れたVHSのゴミ・ホラーのような凶悪クオリティの見せ場を考えていたらしいけど、いや、これぐらいのバランスでいいと思うよ。
あまりやりすぎても、一部のマニアは狂喜しても、一般のお客さんはついてこれないだろうから。
漂う不穏な空気と狂気
現場で何が起きていたのか?
もっとも原案を手掛けたTOCANAの角由紀子編集長からしたら「狂人監督が事故物件で大暴走!映倫も審査拒否!」みたいな煽りまくりで売りたいんだろうけど。まあ、たしかに、ここだけの話…「この監督、本当は頭おかしいんじゃないか」と思う箇所がいつくかあったりする。
たとえば、BGMの選曲が唐突におかしくなったり、編集が突然不穏になったりとか、一見まともな映画を装いながらも、さりげなく随所に狂人シグナルがじわじわ発せられたりする。これがなかなか地味にコワイ。
曰くありげなロケ場所のせいかもしれないが、映像は妙にハイなのに、空気は淀んで重く、どこか息苦しさを覚える。
淡々とした冒頭の人体損壊も不気味だし、何よりクライマックスの“明るい狂宴”は、ハーシェル・ゴードン・ルイス監督の『2000人の狂人』や、ジョエル・M・リード監督の『悪魔のしたたり』を思わせる、監督の本当にやりたかったことが凝縮されていると思われる(他にも、バラバラ・シーンは、ハーマン・ヤウ監督の『八仙飯店之人肉饅頭』だったり。ちなみに、『八仙飯店之人肉饅頭』や『ネクロマンティック』を輸入・配給したのが、本作のプロデューサー、叶井俊太郎。本作における彼の功績も決して小さくないはずだ)。
タランティーノ(『グラインドハウス』)やトビー・フーバー(『悪魔のいけにえ』)へのリスペクトはまだいいんだけど、【傑作ゆえに鬼畜の撮影エピソードが満載】で知られるルチオ・フルチ作品へのリスペクトも随所に感じられ、そう考えると、女優さんはインタビューで「大変な現場だったけど、楽しかったぁ」などと笑顔で答えているけど、ひょっとしたら撮影現場ではかん口令が敷かれて、本当は『地獄の門』みたいに、女優さんは泣きながら獣の生の内臓肉を食わされていたんじゃないか…などと、疑惑ならぬ妄想が膨らんでしまう。
その辺りの「真相」は今後、TOCANAのサイトで明かされるかもしれない…という戦略か(いや、妄想なので、許して)。
いずれにせよ、確実に言えるのは、この『真・事故物件/本当に怖い住人たち』が低予算Jホラーの傑作であるという事実。
その舞台裏でいったい何が起きていたのか。その辺りにも興味が尽きないだけに、この一作で終わることなく、今後もTOCANA製作の第二弾、第三弾のホラー映画が作られるよう、ぜひとも多くの人に劇場へ足を運んでほしい。
次回・主演の海老野心さん、佐々木監督、共演の小野健斗さん、
幽霊役の竹内花さんへの単独インタビュー記事を連続掲載予定!
撮影の知られざる舞台裏が今明かされる!読者プレゼントも!
INTODUCTION
ジャパニーズ・ホラーの新鋭が恐怖表現の限界に挑んだ
前代未聞の超過激<POP>スラッシャー!
「事故物件に住み込み、幽霊をカメラに収めるまで帰れない!」という企画の番組に無理やり参加させられた YouTuber とアイドルの卵。
彼女たちを待ち受ける、想像を絶する恐怖と激痛の数々。
日本犯罪史上最も凄惨なバラバラ殺人事件の現場だったその伝説のアパートに潜んでいたのは、おぞましき悪霊だけではなかった…。
TOCANA編集長×Jホラーの暴走王×注目のアイドル・キャスト!
実在する呪われたアパートで起こった住民<全滅事件>。
そこは絶対に住んではいけない部屋だった。
TOCANA編集長・角由紀子原案によるTOCANA映画第1弾にして“事故物件”映画史上最恐&最狂の衝撃作がついに完成!
監督・脚本は数々の短編スプラッター・ホラーで注目された“ジャパニーズ・ホラーの暴走王”佐々木勝己。
主演は映画デビュー作となる本作で血まみれ演技に挑戦する海老野心(「超無敵クラス」)。
共演は小島みゆ、RaMu、小野健斗(『天装戦隊ゴセイジャー』、ミュージカル『新テニスの王子様』)、渋江譲二(『劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』、『新卒ポモドーロ』)ほか。
日本映画界の未来を担う若者たちが体当たりで挑んだ怒涛のバイオレンス・スプラッターにあなたはどこまで耐えられるか!?
『真・事故物件/本当に怖い住民たち』
監督・脚本:佐々木勝己 原案・エクゼクティブプロデューサー:角由紀子
プロデューサー:叶井俊太郎/千葉善紀
出演:海老野心/小野健斗/小島みゆ/RaMu/竹内花/御法川イヴ/とももともも/
渋江譲二/岸端正浩/島田秀平(友情出演)
©TOCANA映画製作プロジェクト
2021年/日本/カラー/DCP/79分
制作プロダクション:シャイカー 配給:TOCANA
公式サイト:shin-jiko.com
2月18日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、
池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ他 全国ロードショー!
【過去の記事】
【関連作品】
【TOCANA配給映画】
ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染 [DVD]