【読者プレゼント/今週のオススメ】バカ映画を装い、巧妙に作りこまれたジャンル映画の傑作。『シャドウ・イン・クラウド』4/1(金)公開!プレスシートを三名にプレゼント!

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第45回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門 観客賞受賞!
クロエ・グレース・モレッツ × “大空の魔物”グレムリン!
高度2500メートルの極限サバイバルを描く、 ジェットライド・サスペンス・アクション‼


クロエ・グレース・モレッツ主演最新作『シャドウ・イン・クラウド』(原題:SHADOW IN THE CLOUD)が、2022年4月1日(金)より新宿ピカデリー他にて劇場公開される。

本作の「レビュー」を紹介すると共に、この映画の公開を記念して、映画のプレスシート(非売品)を抽選で3名様にプレゼントする。応募方法は記事の後半で紹介します。


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第2次世界大戦下、連合国軍女性パイロット、モード・ギャレットが、上空で“大空の魔物”グレムリンと遭遇する。高度2500メートルの極限サバイバルを描く、ジェットライド・サスペンス・アクション。

『キック・アス』のヒット・ガール役でブレイク後、相次いで多彩なジャンルの話題作に出演し、若手実力派のトップ女優へと成長を遂げたクロエ・グレース・モレッツ。ユニークな作品選びでも知られる彼女が主演を務めた本作は、第45回トロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞し、世界中のジャンル映画ファンの注目を集めている。














【今週のオススメ/レビュー】
バカ映画を装って、巧妙に作りこまれたジャンル映画の傑作

© Ātārangi Kiriata Limited 2020



『グレムリン』と聞けば、日本の映画ファンなら、スピルバーグ&ジョー・ダンテによる、小柄で邪悪なモンスターが大暴れする1984年の同名映画を思い出すかもしれない。
しかし欧米ではそれ以前から、一種の妖精、妖怪のような存在としてグレムリンは知られていた。

たとえば、第一次世界大戦時にイギリス空軍による報告では、軍の爆撃機の不具合や異常が起きることを「グレムリン効果」といって、機体にいたずらをする怪物の存在が軍から報告される。第二次大戦では、東京に空襲をかけた米軍の爆撃機が異常事態に見舞われ、「グレムリンの仕業」として乗組員を悩ませたという。(あくまで戦時下の戦闘員の脳が生み出した想像の産物といわれるものの、テクノロジーと霊的存在が融合する怪談は、日本のタクシー怪談や呪いのビデオなどと同じ系譜なのかもしれない)

そして『チャーリーとチョコレート工場』で知られる作家ロアルド・ダールも自身の空軍での経験を生かして、1942年にグレムリンをモチーフにしたおとぎ話を発表。“戦闘機に住み着く小さな人間”の存在としてグレムリンを描き、一度はウォルト・ディズニーでの映画化も浮上したものの、最終的にとん挫したが、グレムリンのイメージを広めるきっかけになったといわれる。

そんな都市伝説のようなグレムリンの存在だが、この題材に目を付けたのが、後に『エイリアン』の脚本を手掛け、『バタリアン』の監督を務めるダン・オバノンだった。彼がジョン・カーペンターと組んだ初期作『ダーク・スター』の製作後に構想したのが、タイトルもそのものずばり『グレムリン』。「東京空襲の任務帰りのB-17にグレムリンが侵入し、乗組員を一人また一人餌食にしていく」という内容で書き上げた脚本は、紆余曲折を経て、その後の『エイリアン』の脚本の原型となった。なるほど、爆撃機と宇宙船という違いはあるものの、中に入ってきた怪物によって乗員が次々と襲われるというストーリーラインは同じといえるだろう。

IMDBでは、本作のスタッフ・クレジットに、ダン・オバノンの名前は確認できなかったが、おそらく本作の原案はダン・オバノンで間違っていないだろう(試写では確認できなかったので、劇場でエンドロールをもう一度確認してみよう。権利関係その他の事情でクレジットされない場合もあるけど)。

また、オバノンと同様に、グレムリンの都市伝説に目を付けたのが、若きスピルバーグが初めて脚光を浴びた『激突!』の原作・脚本や、『アイ・アム・レジェンド』『ヘルハウス』『ある日どこかで』の原作・脚本などで知られるリチャード・マシスンだった。彼が脚本を手がけたSFドラマシリーズ「ミステリー・ゾーン(トワイライトゾーン)」の1エピソード「2万フィートの戦慄」では、旅客機の翼にへばりつき、機体を壊そうとする空の怪物グレムリンが登場する。このエピソードは、後にスピルバーグ総指揮の映画版『トワイライトゾーン/超次元の体験』の1エピソードとして、『マッドマックス』シリーズで名をはせたジョージ・ミラー監督によって映画化されたのは有名な話。

つまり欧米では、飛行機+怪物という今回の『シャドウ・イン・クラウド』の設定の方が、グレムリン都市伝説としては王道だったのだ。もちろん今となっては、グレムリンといえばスピルバーグ印のダーク・ファンタジーのイメージがすっかり定着したため、タイトルに『グレムリン』を付けるわけにもいかず、なかなか映画化も進展しなかったと思われる。

おそらく映画化が一気に動いたのは、主演にグレース・クロエ・モレッツが内定してからだろう。映画界ではよくある話である。


© Ātārangi Kiriata Limited 2020




撮影時11歳の『キック・アス』のヒットガール役で映画ファンに鮮烈な印象を与えたクロエだが、その後は良作もあったものの、なかなかヒットガールを超える役に恵まれなかった。本作では、彼女は全編で出ずっぱりの活躍で、ヒットガール以来のヒットというべき評価を得ているのも納得の熱演である。

たぶん主演にクロエが決まった段階で、脚本は脚色されたのだろう。面白いことに、脚本としてクレジットされたのは、マックス・ランディス。そう、映画版『トワイライトゾーン/超次元の体験』の第一エピソードで、撮影中のヘリコプター墜落事故で主演のヴィック・モローと子役の三人が死亡し、内容が大幅に変更されてしまった第一話『偏見の恐怖』の監督ジョン・ランディス(代表作『ブルース・ブラザース』)の息子だ。傑作『クロニクル』の原案・脚本で注目された若手クリエイターでもある彼はどんな思いで、父親が訴訟沙汰にもなり、その後のキャリアに深刻なダメージをもたらした映画で、最も高く評価されたエピソードと同じ題材の脚本を手掛ける決意をしたのだろうか。まあ、といっても、マックス自身も、クロエが主演に決まる前に、女性への過去の性的暴行で告発されているらしく、製作サイドは彼の脚本クレジットを消すため、監督らにさらに脚本をリライトさせたそうだけど、本作の脚本のテンポの良さ、細部の仕掛けの巧みさ、人物造形などでは、マックスの才能が寄与していると考えていい。

おそらくオバノンの脚本(原案)にあった『エイリアン』的な密室劇の要素は残しつつ、ヒロインの部分がかなり膨らませて盛り込まれていると思われる。彼女をめぐる“謎解き”の部分など、その典型だろう。監督自身は『エイリアン』ではなく、『エイリアン2』の影響を受けていると話しており、その辺りはミリタリー志向や母性的な描写にも反映されていると思われる。


それにしても本編尺83分という短さからも、予算のなさは明白だ。
ニュージーランドで撮影されている点も、おそらく国から補助金が出るなど、様々な優遇措置があったためと思われる。しかし低予算ゆえに、無駄を徹底的に省いたおかげで、物語のテンポはすこぶる良い(冒頭から、クロエがすぐに爆撃機に乗り込むとか、さっさと離陸しちゃうとか、とにかく展開が早い)。
また、予算不足を逆手にとった、演出のアイデアと工夫が随所に感じられるのも素晴らしい。


© Ātārangi Kiriata Limited 2020




前半、爆撃機の狭苦しい砲台の銃座に閉じ込められたクロエが、機内通信を通して男の乗員たちから露骨なセクハラトークを浴びせられながら、事態を打開しようとするシーンが続くのだが、普通のB級映画なら、さぞや時間稼ぎの退屈なシーンになると思いきや、さにあらず。カメラはひたすらクロエのグラマラスなボディをなめるようなカメラワークでとらえ続け、容赦ないセクハラトークや、苦悶する表情、しくざと相まって、とにかくエロかわいくて面白いのだ。


© Ātārangi Kiriata Limited 2020




もちろん、身動きが取れない銃座での長セリフでも観客を魅了してしまうクロエの演技力も見事だったり、全貌が明かされないまま存在感を高めるグレムリンや、不意打ちのように襲撃するゼロ戦との攻防も適度に盛り込まれ、じわじわと緊張感を高めている点も飽きさせない要因なのだろう。





そして低予算を極めた幽閉劇の前半から一転して、後半は、グレムリンが機内で大暴れする怒涛の展開。
ここ一番に予算を集中投下して、豪快なアクションと破壊劇のつるべ打ちで戦争映画顔負けのド迫力である。こうした構成と演出のメリハリが想像以上に劇的な効果を上げている。


© Ātārangi Kiriata Limited 2020




おまけに、クライマックスでは「飛行機ばっかりじゃ飽きるだろう」とばかりに、クロエとグレムリンの地上での肉弾戦まで描かれるなど、サービス満点。





そう、本作は、ダン・オバノンの『エイリアン』の原型というべき王道のストーリーと、クロエの魅力を最大限生かした演出・脚本のアイデアが見事に結実し、怪獣映画や戦争映画など(時に社会風刺も含めて)、ジャンル映画のエッセンスが絶妙なバランスでブレンドされた、非常に見ごたえのある作品に仕上がっている。

一見、ただのバカ映画に思われがちだが、その裏で、実に巧妙に作りこまれたジャンル映画のお手本のような作品といえるだろう。



© Ātārangi Kiriata Limited 2020









【読者プレゼント】
『シャドウ・イン・クラウド』4/1(金)公開記念!
プレスシートを三名様にプレゼント!ト



<応募方法>

応募締め切りは2022年4月10日(日)。
応募方法は、WEB映画マガジン「cowai」twitter公式アカウント(@cowai_movie)をフォローし、該当するプレゼント記事ツイート( https://twitter.com/cowai_movie/status/1508127376022315008 )をRTしてください(すでにフォローされている方は、ツイートのRTのみで結構です)。


<抽選結果>

締切翌日以降に抽選を行い、当選された方に「cowai」公式TwitterアカウントよりDMで通知させていただきます。
当選品(プレスシート)は宅急便で発送する予定です。(諸般の事情や、災害等やむを得ぬ事情で遅れる場合があります)
当選された方はSNS等でご報告や告知をしていただますと大変助かります。



皆様のご応募お待ちしています!


【応募の注意点】

〇当選後に住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
〇当選品は映画配給会社よりご提供いただいたプロモーション目的の非売品扱いとなります。このため、傷や汚れ等があっても交換はできませんので、ご了承ください。
※非売品につき転売目的のご応募は禁止とさせていただきます。
〇抽選結果や抽選経過に関して個別のお問い合わせには応じられませんので、あらかじめご了承ください。










STORY

© Ātārangi Kiriata Limited 2020




第2次世界大戦中の1943年。連合国空軍の女性大尉モード・ギャレットが、フールズ・エランド号と命名されたB-17爆撃機に乗り込んだ。上官からの密命を帯びたモードの任務は、極秘の最高機密をニュージーランドからサモアへ運ぶこと。オール男性の乗組員たちから卑猥な言葉を浴びせられながらも、ひたむきにミッションを遂行しようとするモードだったが、銃座の窓から機の右翼にまとわりつく、謎の生物を目撃する―。そしてある重大な秘密を隠し持つ彼女が、この爆撃機に乗った本当の理由とは……。



© Ātārangi Kiriata Limited 2020












【作品概要】

ティザービジュアル




監督:ロザンヌ・リャン 
出演:クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、ビューラ・コアレ、テイラー・ジョン・スミス

2021年/ニュージーランド・アメリカ/英語/カラー/SCOPE/5.1ch/83分/字幕翻訳:額賀美雪/
原題:SHADOW IN THE CLOUD  配給:カルチュア・パブリッシャーズ © Ātārangi Kiriata Limited 2020 

公式サイト:shadow-in-cloud.com 
公式 Twitter:https://twitter.com/shadowincloud_m




4月1日(金)新宿ピカデリーほか公開





【過去の記事】











【参考作品】

トワイライトゾーン/超次元の体験 [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]





グレムリン [Blu-ray]




キック・アス (字幕版)




キック・アス ジャスティス・フォーエバー (字幕版)






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