時々、恐ろしいことは、ごく自然に起こる
フィリップ・リドリー監督×ヴィゴ・モーテンセン出演
1990年の公開時、ロカルノ映画祭では銀豹賞を含む五つの賞を受賞、シッチェス国際ファンタスティック映画祭で最優秀女優賞、最優秀撮影賞を受賞ほか各国の映画祭でセンセーションを巻き起こした映画『柔らかい殻』。
絵画、小説、舞台、児童文学とジャンルを超えて才能を発揮、その独特な幻想的世界で人々を魅了し続けているイギリスの鬼才、フィリップ・リドリーが自ら脚本と監督を手掛け、その強烈なイマジネーションを余すことなくスクリーンで解き放った初の長編監督作品だ。
公開以来、世代を超えて国内外でファンが増殖したカルト的傑作が10/4(金)よりシネマート新宿ほか順次公開決定。ファン待望、衝撃の復活となる。
この度、漫画家の押見修造、演出家・俳優の白井晃ほか、映画をいち早くご覧いただいた10名の著名人より絶賛コメントが到着した。
また、フィリップ・リドリー監督からも日本の観客へメッセージが到着した。
物語の舞台は1950年代のアイダホ州。一面に小麦畑が広がる田舎町に育った八歳のセスは表面的には平和な生活を送っている普通の少年だ。しかし、ある日友達が何者かに殺されたことをきっかけに、次から次へと恐ろしいことが起こり始める。物語に加え、本作の魅力のひとつはアンドリュー・ワイエスの絵画を彷彿とさせる圧巻の映像美だ。
少年時代はおそろしい…
『柔らかい殻』予告編
【新着情報10/1】悪夢の特別ビジュアル解禁
本ビジュアルをデザインしたチラシを先着順の入場者特典としてプレゼント
本作がほかの「子供を主人公とした映画」と一線を画し、「カルト的」作品たらしめているのは、本来安心した環境におかれなければならないはずの幼少期がとてつもない恐怖にさらされている点と、「悪夢のように不条理な世界」があくまでも子供の眼差しを通して描かれている点だ。
この度、そんな「悪夢の少年時代」をあらわした完全オリジナル、特別ビジュアルが解禁となった。
アンドリュー・ワイエスにインスピレーションをうけた美しい麦畑と空が血のような赤で染められ、本作の主人公である少年、セスを大胆に大きくデザイン。
指の隙間から、少年は恐ろしい世界を見つめている。フィリップ・リドリー監督が本作について述べている「主人公の恐怖は私たち誰もが経験する恐怖となってゆく。孤独への恐怖、死への恐怖、核兵器やホロコーストへの恐怖、セックスへの恐怖、そして、暗闇への恐怖」といったあらゆる「恐怖」を凝縮した悪夢的なビジュアルが完成した。
また、本ビジュアルをデザインしたチラシを先着順の入場者特典としてプレゼント。
リバイバル上映の記念に、ぜひゲットしていただきたい。
押見修造、白井晃、合田ノブヨ、玉城ティナほか
10 人の著名人より絶賛コメント到着!!
★50音順/敬称略
オートモアイ(アーティスト)
フィリップ・リドリーによる草原のゴシック美学。 棺を想起させる黒塗りの車、単調な景色を飲み込む炎、壁にかけられた鯨の骨、腐敗する天使…超現実は常に現実の中に内包されている。 少年の眼差しから語られる不条理で歪な世界。
押見修造(漫画家)
罪悪感、いや罪悪にまみれた「幼少期」は、その罪を自覚することによって「思春期」になる。
美しい田舎町の、血まみれの夢のような地獄は、決して少年を被害者として安心させてくれない。
手には、過去からの血がべっとりと染み込んでいる。
自分の少年時代が重なって、忘れられないお気に入りの映画になりました。
合田ノブヨ(コラージュ作家)
公開当時17才だった私は、この美しい奇妙な映画に、ビリビリに切り裂かれてしまった。 毒気の多い家庭で育った為か、セス少年のように現実逃避の夢想が多く、精神的に幼い状態だった。生き抜く為には、色とりどりの空想が必要なのだ。 セスはこのあと、「大人」に脱皮したのだろうか…いつまでも耳に残るラスト。 私は未だやぶけた殻を被り、裂け目の中からこの世界を見つめている。
後藤護(暗黒批評)
少年期を「黄金時代」とする人間にとって、思春期はもはや堕落した「鉄の時代」だろう。フィリップ・リドリーは失われた、キラキラと輝く少年時代のイノセンスを復元する──ただし、アメリカン・ゴシックの禍々しさを帯びた、黄金と暗黒の入り混じった微熱の悪夢として。楳図かずおが「ヌーメラウーメラ」と名づけ、スティーヴン・キングが「それ」としか呼びようがなかった、少年の「おさなごころ」という怪物に只々圧倒される。
白井晃(演出家・俳優)
リドリーの世界はいつもグロテスクでいて美しい。私たちの柔らかい肌をめくれば、 血みどろの醜悪さが潜んでいる。人はみんなケダモノなのだ。少年の無垢ゆえの残酷さが、あたかも宗教画のように美しく浮かび上がる。
玉城ティナ(俳優)
私たちが持っているはずのもの。
それは今までの人生の成果であり当たり前ではない。
産声、叫び声、名前を呼ぶ声、どう使うかは、私たち次第、隣人次第であるという恐怖。
遠山純生(映画評論家)
合衆国の内陸部にある「海」とは、ここではまず病的なまでに黄色く大地を染め上げる広大な小麦畑。歪んだ家庭環境で育った幼い少年は、畑のなかにぽつんと建つ、海にまつわる思い出の品で満たされた一軒家で暮らすドルフィンすなわちイルカという名の年若い未亡人と出会う。黄色い海原を泳ぎ回るのは、不良たちを乗せた黒光りするサメのような高級車。どういうわけか、ここでは海と爆発が切っても切れない関係にある。そしてこの核時代の到来を示唆する象徴的な「アメリカ」のなかで、少年の紡ぎあげる物語が悲劇を招く。それは無垢が地獄となる、幼年期をめぐる悪夢。本作の語り口は、詩的でも残酷でもある脈絡のない細部の数々を、我流でつなぎ合わせて世界を理解しようとする少年の心そのものだ。
鳥居真道(ミュージシャン)
幼少期の笑えないイタズラの数々を思い出して冷や汗をかきました。人の生死よりむしろ吸血鬼や天使にリアリティが感じられてしまう子供の混沌とした感性が白昼夢のように描かれています。アイダホの淡い風景のなかに湿り気のない不穏な空気が漂う忘れがたい作品です。
人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
何かをしでかすのでなく、あえて何もしないという罪。それがどのような結果をもたらすのか気づいた時にはもう手遅れ。残酷な現実が少年のフィルターを通して襲い来る。これは無知と無垢の疑似体験。ここまで子供目線を維持した作品は中々お目にかかれない。成長とは痛みを伴うものだが、でも、これはあまりにも辛すぎる……。
松永天馬(アーバンギャルド/松永天馬のA研!)
ほら思い出した。
誰もが少年少女の時代に抱えていた痛みや苦しみ。
目に見えない神様への畏れは今を笑い飛ばすことで克服し、
死への恐れは虫や蛙をなぶり殺すことで鈍らせる。
異性への怖れは愛憎でしか克服できず、
自分自身へのおそれは鏡と話すことで柔らげる。
鏡の向こうにいるのが天使だったら?
或いは生まれてこれなかった誰かの胎児だったなら?
傷だらけになり、傷だらけでいることにも慣れ、
すべて忘れれば大人になれる。
柔らかい殻を切り裂いて、
或いは映画館のスクリーンを切り裂いて。
『柔らかい殻』は映画ではない。
これはあなたの思い出だ。
フィリップ・リドリー(監督/脚本)
私の『柔らかい殻』が日本でリバイバル公開されることになり、とても感激していますし、嬉しく光栄に思っています。多くの人に観てもらえることは、私にとって非常に意味があります。皆さんの質問に答えたり、映画製作のエピソードを話したりすることができるのですから。もし、今までに本作を観たことがある方は、今回の上映で新しい発見をしてほしい。また、初めてご覧になる方には、もう一度見たいと思っていただけることを願っています。私の映画を見てくださった皆さんに心から感謝しています。
「悪夢の思い出」カード二種が特典の
全国共通特別鑑賞券も発売開始!
「悪夢の思い出」カード二種が特典の全国共通特別鑑賞券(¥1,500)も発売開始。
人生で最も恐ろしい、少年時代という季節。ひとりの少年の眼差しを通し、子供時代に抱えていた疑問を、理解し難い恐ろしいことを、世界の不思議を、そして、ありとあらゆる様々な恐怖を鮮烈なビジュアルイメージとともに体験させる『柔らかい殻』。
誰もが経験する恐怖そのものと、世界そのものと対峙するための異常なおとぎ話をぜひ、お楽しみに。
ものがたり
1950年代のアイダホ州、小麦畑が広がる田舎町。気弱な父と厳しい母と三人で暮らすセスはごく普通のやんちゃな男の子。
ある日、セスは友人のイーブンとキムと共に孤独なイギリス人女性ドルフィンに仕掛けたいたずらがばれ、母に謝りに行かされる。
ドルフィンの家は捕鯨の銛や骨で埋め尽くされており、彼女が語る亡き夫への愛や悲しみの話は衝撃的で、父が読んでいた吸血鬼小説の絵に彼女がそっくりだったことから、セスはドルフィンが吸血鬼に違いないと思い込んだ。
そんなある日、行方不明になったイーブンの死体が井戸で発見されるという事件が起こる。
セスはドルフィンを疑うが、自分の父に容疑がかかり、悲劇が連鎖してゆく。
【作品概要】
『柔らかい殻』
監督・脚本:フィリップ・リドリー
撮影:ディック・ポープ 音楽:ニック・ビキャット 出演:ジェレミー・クーパー、ヴィゴ・モーテンセン、リンジー・ダンカン
1990年 / イギリス / 93分 / カラー
©️ MCMXC National Film Trustee Company Limited All Rights Reserved
提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム
HP:yawarakaikara2024.jp 公式X:@yawarakaikara
『柔らかい殻』10/4(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
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