頭に受信機。指には送信機。男はそう信じていた。
ロッジ・ケリガン監督『クリーン、シェーブン』25年ぶり公開!
いよいよ8 月 27 日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
思わず心を引き裂かれる。忘れられない映画体験だ。 ――スティーヴン・ソダーバーグ
圧倒的な表現と誠実さに、完全に打ちのめされた。 ――ダーレン・アロノフスキー
あなたの精神に永遠に深い傷跡を残すだろう。 ――ジョン・ウォーターズ
幻覚幻聴に悩まされながらも娘を探し続ける、統合失調症の男の姿を徹底的に抑制されたトーンで映し出した、ロッジ・ケリガン監督作『クリーン、シェーブン』が、25年の時を経て、8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開される。
この度、本編映像の一部がYouTube にて公開された。本作の哀しくも陰鬱とした世界観を味わってほしい。
――聞こえるか。
ノイズの彼方で彷徨う魂の混線が、25 年を経てふたたび心を引き裂く
本作は、ロッジ・ケリガン監督が93年に発表した初の長編作で、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)、『デッドマン』(95)、『コーヒー&シガレッツ』(03)など、ジム・ジャームッシュ作品の常連スタッフであるジェイ・ラビノウィッツが編集を務めている。
第20回テルライド映画祭でワールドプレミアの後、第11回サンダンス映画祭や第47回カンヌ国際映画祭の他、ニューヨーク近代美術館でも上映され、そのノイズにまみれた唯一無二の映像表現を、スティーヴン・ソダーバーグ、ダーレン・アロノフスキー、ジョン・ウォーターズといった錚々たる監督たちが、“忘れがたき表現性”と絶賛した。
日本では、96年の公開以降、作品全体が放つ疲労感を覚える空気、悲惨さと哀愁が話題となり、未だに語り継がれるも近年では観ることの出来ない幻の作品となっており、昨年頃から一部で再公開を希望する声も多数あげられていた注目作だ。
他人の声、視線は全て自分に向いている
繊細すぎるゆえに絶望し苦悩、彼に救いはあるのか……
哀しみと陰鬱に満ちた、衝撃の本編映像を公開!
視線を過剰に感じ、落ち着きをなくしてしまう主人公ピーターは、車の鏡、窓ガラスを新聞で覆っている……。
この度YouTubeに公開した本編の一部は、そんな彼が車で走行中、大声で騒ぐ見知らぬ男と路上で遭遇した場面だ。
見知らぬ男は「俺から逃げようったって無理だ!」と何かに怒り狂っている。
偶然、車で通りかかったピーターに向けられた言葉では当然無いはずだが、ピーターは一時停止の標識をしっかり確認し、その男の前で車を停める。
他人の声、どこかから聞こえてくる犬が吠える声も重なって、ピーターの頭にこだまする。
その時、怒る男の目のアップショットが入ることでピーターが視線も感じ、とてつもない不安にかられている様子が見て取れる。
頭の中に鳴り響くノイズ、罵声、そして人々からの視線。
図書館で本棚に頭を打ち付けるピーターの姿は観る者にどんな印象を与えるだろう。
表面上は、不審な行動の男にしか見えないかもしれないが、本作はピーターを不審者と見なすか繊細がゆえに苦悩する男と認識するかで観方が大きく変わる。
彼の苦しみに救いはあるのか。
監督の指示のもと、2年間に渡る撮影に耐えたピーター・グリーンの壮絶な演技によって実現した、あまりにも切ない哀しき男の物語をしかと見届けて欲しい。
本作を鑑賞した、書籍「統合失調症」著者で京都大学(精神医学)の村井俊哉教授は「見る人によって受けとめるメッセージがまったく違ってきそうな映画です。観ている側の心が試されるかも。」とコメントを寄せた。
世の中は静かであっても、常に頭の中のノイズに悩まされる男。
ただ娘に会いたいだけなのに、周りは彼の行動を理解できない。
狂っているのはこの男なのか。それともこの世の中なのか。
主人公の行動は、ときに目を覆いたくなるほど、観る者に計り知れない痛みや切なさ、やりきれなさを与え、一生脳裏にこびりつき、忘れられない衝撃を与える。
心をヤスリで削られていくかのような体感を遺す『クリーン、シェーブン』は8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
あまりの哀しみと不穏さに、立ち直る術がない。
観る者に地獄の疲労感を与える作品の、ノイズまみれ予告編
この度解禁した予告編は、観る者が平静でいられなくなるようなノイズが全編を覆っており、冒頭から不快度MAX。
自分の頭に受信機、指には送信機が埋め込まれていると信じている主人公ピーターの混乱と不安を疑似体験するような作りとなっている。
震えながらタバコを吸う姿、指先を見つめるショット、ただトマトを切っただけでも、観ているこちらの心がざわめいていく。
しかし、そこに出るのは“娘に会う。望みはそれだけだった。”の文字。
その後に映る、少女の遺体は何を意味するのか。
「こんな夏はもうこりごり 普通じゃないわ」という、ある意味では同時代的とも取れる印象的なセリフの断片を呟く女性の口元。
予告の終盤、繰り返される“聞こえるか。”という言葉と共に入るフラッシュカットが不穏さを加速させる予告となっている。
果たして、彼の運命と心はどこへ向かうのか。
この日本制作の予告編はロッジ・ケリガン監督自ら確認、監督によるフレーム単位の繊細かつ神経質な修正を経て完成したものだ。
STORY
自分の頭に受信機、指には送信機が埋め込まれていると信じているピーター。
彼は施設を出所した後、里子に出された娘を探すため故郷に戻る。
しかし図らずも幼児殺人容疑で刑事に追われ、その世界は混迷を極めていく……
出演:ピーター・グリーン、ロバート・アルバート、ミーガン・オーウェン、ジェニファー・マクドナルド
監督・製作・脚本:ロッジ・ケリガン 撮影:テオドロ・マニアチ 編集:ジェイ・ラビノウィッツ 音楽:ハーン・ロウ
1993年|アメリカ映画|79分|カラー|1.66:1|モノラル|1996年劇場公開作品|原題:CLEAN, SHAVEN
キングレコード提供 アンプラグド配給
clean-shaven.com
© 1993 DSM Ⅲ Films, Inc. © 2006 Lodge Kerrigan. All Rights Reserved.
8 月 27 日(金)よりシネマート新宿ほか拷問ロードショー
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