【オススメ/明日公開】「明らかに観客を選ぶ作品だが、特異な新しい才能に触れたいのなら、勇気を振り絞って鑑賞をおススメしたい」極限のベトナムゴア・ムービー『Kfc』7/20(金)公開!

pick-up オススメ レビュー 映画



さもなければ喰らえ
止まらない“食人連鎖”を描くベトナムゴア、日本極秘公開!
2024年7月20日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開



衝撃作を連発するアジア発のホラー映画群より突如現れた、狂乱のカニバルムービー『Kfc』がついに⽇本上陸。2024年7⽉20日(金)より渋⾕シアター・イメージフォーラムにて公開される。
公開を明日にして、今回はオススメ・レビューを紹介する。


日本版ポスター








【今週のオススメ/明日公開】
「明らかに観客を選ぶ作品だが、特異な新しい才能に触れたいのなら、
勇気を振り絞って鑑賞をおススメしたい。」

(C) Le Binh Giang/MAP×Cinemago



三池監督が頑張りすぎて映倫不許可となった『インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜』をレイト公開したミニシアターの極北・シアターイメージフォーラムがメイン館というだけで、そのヤバさはお察しだ。

カニバリズム(人肉食)を題材にしたベトナム映画であり、本国では上映禁止、その筋のマニアの期待にたがわぬ出来である。

しかし、レ・ビン・ザン監督が当初、卒業制作として手掛けた脚本がベースになっているため、単なるコアマニア向けのアブノーマルな作品と断じるには抵抗がある。

おそらく監督にとっては「お金はないけど、過激な題材で、目立ってアピールしたい」という、『悪魔のいけにえ』『死霊のはらわた』『バッドテイスト』のような、無名の新人監督に万国共通する、《低予算の残虐ホラー》を手掛けて一旗揚げる戦略なのだろう。

だから、“アピールポイント”であるカニバリズムの見せ場にも一切手を抜かない一方、それだけではなく、バイオレンス描写やコミカルな描写にもこだわりが感じられ、高度成長期のベトナムの活気みなぎる風景と相まって、トータルでは、瑞々しい感性に満ちた意欲作としても楽しめる。

才気みなぎる美しい決め描写があるかと思えば、今時、高校生でもやらないような『マトリックス』の“弾除け”パロディを低予算の稚拙なCGで再現してみたり、かと思えば、対照的に、人間が炎上するシーンは異様な迫力に圧倒される(予算的にCGが使えなかったから、実際に火をつけたらしい)といった感じで、シーンごとに出来不出来の波があってアンバランスながらも、どのシーンも「俺の映画を見てくれ!」という叫びに彩られて、やたらと画面が熱い。

メインの場面写真のような、“人間のちぎれた手をおいしそうに食べる人肉中毒の子供”の鬼畜シーンでは、嫌がる子役(そりゃ、そうだ)に、意外にも監督がハリウッドの一流監督ばりに優しい配慮を見せて、見事?子供の絶品の表情を撮ることに成功したり、日本では内容的に絶対に撮影許可が取れないであろう、タイトルの通りの某チキンチェーンの店内でのやりとりシーンは、実際に店の撮影許可を取り、俳優にはお店の本物の制服を着せて撮影したりと、まじめなのか、ふまじめなのか、天才なのかアホなのか、とにかく、つかみどころのない不思議な魅力に満ちた作品であり、それは実際に筆者のインタビューした監督自身の奇妙な魅力にもつながっていく。

監督自身、この作品で注目されたことをきっかけに、ベトナム本国以外の国での新作の制作も続々予定されているという。まんまと狙い通り、過激な題材で注目された格好で、案外ハリウッドデビューも夢ではない…かもしれない
(だって『バッドテイスト』を初めて見た時、この監督がその後に『ロード・オブ・ザ・リング』や『キング・コング』を撮るなんて信じられるかい?)。

何度も言うが、観客を選ぶ作品であることは間違いない。それでも、怖いもの見たさで行くのもよし、新しい特異な才能に触れてみるのもよし。少しでも関心を抱いたら、勇気を振り絞って鑑賞をおススメしたい。




                            (「cowai」編集長/ホラークリエイター 福谷修)



※監督のインタビューは後日掲載します。いやあ、変な監督でした(誉め言葉)。






INTRODUCTION

インパクト十分のティザーポスター



本作は人間狩りにいそしむ医者と人肉中毒のその子供、そして【食人による復讐】という甘美な味を覚えた犠牲者家族たちによる果てしない”喰い合い”の連鎖を描いた戦慄のカニバル・リベンジホラー。

本作が⻑編デビュー作となったベトナム出身の監督レ・ビン・ザンは、当初卒業制作として『Kfc』を企画したが、大学側が「あまりに残虐すぎる」という理由で却下。のちに監督は退学処分、本国では公開不可の憂き目にあったといういわくつきの作品が、7月20日(土)より日本限定極秘公開を迎える。

(C) Le Binh Giang/MAP×Cinemago



5月映倫審査R-18指定とともに実録風特報が発表されるやいなや、「近年稀に見るグロ描写に期待」「生々しさに行く勇気が持てない」など、刺激の強い食事描写に大反響を巻き起こした。

(C) Le Binh Giang/MAP×Cinemago
(C) Le Binh Giang/MAP×Cinemago
(C) Le Binh Giang/MAP×Cinemago
(C) Le Binh Giang/MAP×Cinemago








【続々拡大中!上映館情報】

東京:シアター・イメージフォーラム(7/20~)

大阪:テアトル梅田(近日公開)

北海道:サツゲキ(9/13~)

宮城:フォーラム仙台(9/13~)

神奈川:あつぎのえいがかんkiki(近日公開)

栃木:宇都宮ヒカリ座(10/4~)

愛知:名古屋シネマスコーレ(近日公開)

京都:アップリンク京都(近日公開)

兵庫:CinemaKOBE(近日公開)

石川:金沢シネモンド(近日公開)









【作品情報】

Kfc

監督・脚本︓レ・ビン・ザン
製作︓レ・ビン・ザン、グエン・ホアン・ディエップ 撮影︓グエン・ビン・フック
編集︓レ・ビン・ザン、チューン・ミン・クイ
出演︓グエン・トニー、タ・クアン・チエン、ホアン・バー・ソン、チャム・プリムローズ
配給︓MAP×Cinemago 2016/ ベトナム/69分 © Le Binh Giang / MAP×Cinemago
HP:https://kfc-movie.jp/
X(Twitter): https://twitter.com/kfc_movie
Instagram: https://www.instagram.com/kfc_movie/


【受賞】
ニューヨーク・アジアン映画祭 (2017:アメリカ)コンペティション部⾨ 最優秀作品賞
ファイブ フレーバー・アジア映画祭 (2017:ポーランド)ニュー・アジア映画部⾨ 最優秀作品賞
QCinema 国際映画祭 (2017:フィリピン)パイロン賞ノミネート
アジアン・ネクスト・ウェーブ・コンペティション 最優秀作品賞
ジョグジャカルタ・アジアン映画祭 (2016:インドネシア)最優秀作品賞


【公式出品】
カンボジア国際映画祭(2018:オランダ)
ロッテルダム国際映画祭 (2017:オランダ)
富川国際ファンタスティック映画祭 (2017:韓国)
MOTELX – リスボン国際ホラー映画祭(2017:ポルトガル)
コペンハーゲン映画祭(2016:デンマーク)


<レ・ビン・ザン監督 プロフィール>



1990年ベトナム、ニャチャン⽣まれ。
ホーチミン市映画演劇⼤学で『Kfc』の脚本が審査委員会から暴⼒的すぎると卒業が許可されず
中退。2013年「オータム・ミーティング」で⼊賞4本の中に選ばれ、『Kfc』⻑編映画化がスタート。
完成後ロッテルダム国際映画祭他多くの映画祭に選出され、ニューヨーク・アジアン映画祭では、
もっとも期待される監督賞を受賞。また東京タレントキャンパス2016にも参加し特別賞を受賞。
ベトナム政府に属さない初の独⽴系映画学校であるトリガー・フィルム・アカデミーを創設し、
若⼿映画制作者を育成にも⼒を注ぐ。
最新作『Rock-a- bye baby』は第27回プチョン国際映画祭で上映された。



2024年7月20日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開








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