実際に起きた“説明不能な出来事”を基にしたおぞましい物語
16mmフィルムが刻むざらついた質感、80年代ホラーへの偏愛に満ちた演出、そして後の「Xシリーズ」へとつながる独自の美学の萌芽——。現代ホラー映画界の中心を担うタイ・ウェスト監督の輝かしいキャリアの原点にして、世界中で熱狂的支持を集め続ける“異形の傑作”『ハウス・オブ・ザ・デビル』が、3月27日(金)シネマート新宿、池袋 HUMAX シネマズほかで、日本のスクリーンに初降臨する。

『ハウス・オブ・ザ・デビル』予告編
今回届いた予告編では、“説明不能な出来事”の一部始終が覗くことができる…。予告編冒頭では、「ベビーシッター募集の件で電話しました」という一本の電話と、若い女性・サマンサの姿が確認できる。金欠ですぐ稼げるベビーシッターの仕事に応募したといい、その事実を友人に伝えると「子供は嫌いでしょ? 悪魔みたいな子でも知らないよ?」と反対されるも、働くことを決めたサマンサの様子を捉えている。
後日広告主の豪邸に伺うと、正式な依頼内容が伝えられる。白髪老人・ウルマン氏からベビーシッターではなく、妻の老いた母親の世話を頼みたいという内容で、一晩400ドルという高額な報酬提示だった。そして「我々は出かけるが、ほぼ何もしなくて良い」という簡易な依頼に笑顔を見せるサマンサは、仕事を引き受けることにした。ウルマン夫婦が出かけて一人となったサマンサは、豪邸内の掃除をしていたりしていると、どこか不気味な空気感を感じてしまう…。気に留めずテレビを見ていると、“今夜は皆既月食”というニュースを目にする。この太陽・地球・月が一直線に並び、月が神秘的な赤銅色に見えるスペシャルな日に、“究極の邪悪が解き放たれる”という怖ろ怖ろしいテロップが踊っている。
すると転調を見せる展開となり、サブリミナル映像で一瞬身の毛がよだつ得体の知れない何かと、顔中血だらけの女性らしき人物、魔法陣の上で寝そべる人間たち、動物らしき頭蓋骨といったアイテムと不協和音で、パニックシーンを垣間見ることができる。白髪老人の「君は選ばれたんだ、今夜はまたとない好機だ」という意味深なセリフと、ポスタービジュアルにも書かれた“1980年代、アメリカ人の70%が残虐な悪魔崇拝者の存在を信じていた”という不穏な真実や、サマンサらしき人物が背中越しでナイフを持つ描写は、いったい何を示唆しているのか。
恐怖を感じる予告編に仕上がっており、現代ホラー映画界の担い手となったタイ・ウェスト監督の秀逸なディレクションは、見逃すことが出来ないことと感じ取れる。世界中で熱狂的支持を集め続ける“異形の傑作”を、ぜひ目の当たりにして欲しい。
場面写真&作品紹介
1980 年代、アメリカ人の 70%が残虐な悪魔崇拝者の存在を信じていた――。
皆既月食の影が空を覆うとき、“究極の邪悪”が解き放たれる

1980年代のアメリカでは、「サタニック・パニック」と呼ばれる悪魔崇拝をめぐる前代未聞の集団ヒステリーが社会を席巻した。子どもの頃に儀式に参加させられ虐待を受けた、という証言が全土で噴出し、マスコミから司法、ついにはFBIまでが動く大騒動へと発展したという過去がある…。
今回日本公開が決まった『ハウス・オブ・ザ・デビル』は、そんな不穏な時代のアメリカ北東部を舞台に、全編16mmフィルムで撮影されており、セット、衣装、フォントデザイン、カメラワークに至るまで徹底して当時の空気を再現し、80年代スラッシャーへの愛情を詰め込んだ一作。
監督は、A24初のシリーズ化作品「Xシリーズ」で世界的ヒットを飛ばしたタイ・ウェスト。デビュー作直後から業界の注目を集め、『キャビン・フィーバー2』の監督に大抜擢されるも、制作側との対立から望まぬ形で公開される苦い経験を味わう。ハリウッドから距離を置き、自らの原点に立ち返って撮り上げた本作は、トライベッカ映画祭やスクリームフェストで絶賛され、じわじわと時間をかけて禍々しい恐怖の雰囲気を醸成していく独自の演出スタイルを確立した出世作となった。次回作には、チャールズ・ディケンズの古典的名作『クリスマス・キャロル』を、ジョニー・デップ主演で映画化する『Ebenezer: A Christmas Carol(原題)』が控えている。
主人公サマンサを演じるジョスリン・ドナヒューは、本作を機に“80年代ホラーの正統的継承者”として高い評価を獲得し、『インシディアス 第2章』『ドクター・スリープ』など話題作へ進出。サマンサの友人メーガン役には、後に『レディ・バード』『バービー』で世界的監督となるグレタ・ガーウィグが出演し、彼女のキャリアの出発点でもある“マンブルコア映画”の流れを汲んだ自然体の魅力を発揮している。さらに、長身と独特の声質で唯一無二の存在感を放つ個性派怪優トム・ヌーナンと、アンディ・ウォーホルとのコラボレーションで知られるアート映画界の伝説メアリー・ウォロノフが、怪しいアルバイトの依頼人・ウルマン夫妻を演じ、ただならぬ存在感で物語に不穏な影を落とす。




STORY

1983年、アメリカ・コネチカット州の田舎町。だらしないルームメイトとの寮生活にうんざりしたサマンサ(ジョスリン・ドナヒュー)は、小さなアパートを借りることにする。初月の家賃300ドルを至急用意しなければならないサマンサは、条件の良いベビーシッター募集の広告に応募する。電話に出た男は、今夜、妻とともに皆既月食を見るパーティに参加する間だけ子守りを頼みたいと言う。電話での様子はどこか奇妙だったが、金に困っているサマンサは依頼を受けることにした。サマンサの親友メーガン(グレタ・ガーウィグ)に森の中にある人里離れた家まで車で送ってもらうと、そこで広告主のウルマン氏(トム・ヌーナン)は、実際にはベビーシッターではなく、妻の老いた母親の世話を頼みたいのだと明かす。ウルマン氏に一晩で400ドルを提示されたサマンサは、メーガンの反対を押し切って引き受けることにするが…。
【FESTIVALS】
トライベッカ映画祭 正式出品
富川国際ファンタスティック映画祭 国際コンペティション部門 正式出品
スクリームフェスト 最優秀女優賞、最優秀作曲賞 受賞
シカゴ国際映画祭 アフターダーク・コンペティション部門 正式出品
監督・脚本:タイ・ウェスト『X エックス』『Pearl パール』『MaXXXine マキシーン』
出演:ジョスリン・ドナヒュー、グレタ・ガーウィグ、トム・ヌーナン、メアリー・ウォロノフ
2009 年/アメリカ/英語/95分/カラー/1:1.85/5.1ch/原題:The House of the Devil
配給:OSOREZONE 配給協力:シンカ
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公式サイト:https://synca.jp/osorezone/film/184/




