“Jホラーの進化形”と絶賛の『真・鮫島事件』の明日27日(金)公開を記念して、永江二朗監督のホラーの原点というべき代表作『心霊写真部』シリーズを本日午後九時より一挙放送!特に傑作『壱限目』『弐限目』はレアものなので必見!

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『真・鮫島事件』がいよいよ11/27(金)より全国公開されるが、これを記念して、ニコ生では、永江二朗監督のホラーの代表作『心霊写真部』シリーズを一挙放送する(『心霊写真部 壱限目』『心霊写真部 弐限目』『心霊写真部 劇場版』『心霊写真部リブート』)。
放送は本日11/26(木)午後九時から。(明日27日の夜まで全作品が24時間ループ放送されます。タイムシフト予約をすると、後から見ることもできます)

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清水崇、鶴田法男らJホラーの巨匠たちが絶賛する『真・鮫島事件』の原点ともいうべき『心霊写真部』シリーズ。
特にシリーズ第一作『心霊写真部 壱限目』と『心霊写真部 弐限目』は、DVDも廃盤となり、デジタル配信もなく、近年では、人気の火付け役となった「ニコ生」の放送でしか見ることができない。
評価的にも、この二作が最も高く、上記の鶴田法男監督も『真・鮫島事件』と同様、本作も絶賛しており、この機会を逃すことなく、ぜひ鑑賞してほしい。



もともと『心霊写真部』は、原作者である福谷修(「cowai」編集長)が、NintendoDSのホラーゲーム『トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説』の監督とシナリオを手掛けた際、次回作として構想されたホラーゲームが元の企画だった。

これが紆余曲折を経て、ソニー・デジタルのアプリでWEB連載され、竹書房から2009年に書籍化され、映像製作会社によってDVDシネマ(オリジナルビデオ)としてリリースされた。



福谷は原作と共に脚本を担当。
過去に監督もしていたが、もともと福谷は企画と脚本に専念したい意向があり、自分の企画を、才能ある監督と共に実現させたいと思っていた。

そこで監督に抜擢されたのが、当時全くの無名の新人監督だった永江二朗だった。
低予算作品ゆえに著名な監督は起用できず、永江は実績も全くなかったが、プロデューサーの推薦だった。

永江は福谷の書いたシナリオを読んだ際、「このまま映像化しましょう」と提案した。
それを聞いた福谷は内心驚いた。

「この人、天才か馬鹿かの、どっちかだな」

元々、福谷のシナリオは見せ場が多く、撮影上も手間のかかるイメージがあり、評価は高いものの、現場では嫌われていた。
今回も、福谷はひたすら濃い内容を目指したが、監督の力量次第では、低予算ゆえに撮り切れず、現場が破綻してしまう危険があった(実際に破綻しかかった現場もあった)。

だから、経験の浅い監督だと「こんなの撮り切れません。無理です」と怒って、脚本の内容を削ることを要請されることも覚悟していたのだ。
しかし、この新人監督は「このままで撮る」と言った。
よほどの天才なのか、何も知らないバカなのか、現場を見てみようと思った。

実際の現場を見て、永江監督が前者であることは明白だった。
助監督出身だから、現場の仕切りや俳優の指導がうまいのは理解できるが、どのカットも適切で非常に魅力があった。しかも作業はスピーディーで無駄がない。
結局、永江監督はほぼ台本通りに撮り切ってしまった。
すごい監督が現れたものだ、と福谷は素直に感心した。

編集後の作品は素晴らしい出来だった。



しかしDVDとしてリリースされると、全く反応がない。
当時は心霊ドキュメンタリーが全盛で、ドラマ仕立ての『心霊写真部』は誰も見てくれなかったのだ。

結果、当初の『四限目』全12話の予定は、前半の『壱限目』『弐限目』六話で打ち切りとなった。
レンタルもセルも全く売れず、リリースされたDVDのほとんどが早々に廃棄されてしまった。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
DVDでは全く反応がなかった『心霊写真部』の『壱限目』『弐限目』は、2011年のニコ生ホラー上映会(百物語)にて上映されたのを皮切りに、そこからじわじわと評価と人気を上げていった。

もともとDVDレンタルよりも、新しいメディアであるニコ生との相性が良かった面もあった。
2012年と2013年の夏のニコ生ホラー百物語では、同じく上映された『リング』『呪怨』などの百作品以上のホラー作品を押さえて、評価ランキングで二年連続一位を獲得。

こうして打ち切りとなった「『心霊写真部』の続きが見たい」という声が増えて、福谷はクラウドファンディングを実施。

2014年の夏のニコ生ホラー百物語では、クラウドファンディング募集開始と共に、永江監督が生放送で『心霊写真部』のサイド・エピソードを描く“生ホラー”を演出。こちらも大変優れた出来で、視聴者を大いに沸かせた。
結果、クラウドファンディングは告知開始10分で目標額を達成し、最終的には目標の五倍の300万円近い金額を集めることになった。
日本のクラウドファンディング黎明期だった当時としては記録的成功といわれ、ヤフーニュースなどで取り上げられたほどだった。

そして2015年、シリーズ最新作『心霊写真部 劇場版』が完成し、公開された。





前作から五年の歳月が流れているため、キャストは一新されたが(部長役の伊藤陽佑のみ続投)、内容は、前作『壱限目』『弐限目』の続きとなり、「暗躍する殺人鬼の正体」など、前作の残された謎の解明も行っている。
『心霊写真部 劇場版』単体でも、十分楽しめるが、『壱限目』『弐限目』から続けて見れば、より楽しめることは間違いない。

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永江監督はこの間にも数多くのホラー作品を手掛けてきたが、『心霊写真部 劇場版』以降、数年間は時代劇や人間ドラマなど、非ホラー作品で才能を発揮してきた。

今回、『真・鮫島事件』で久々にホラー映画に復帰しているが、この五年間の充電期間によって、ますますホラー演出に磨きかかっているように見えた。
そして、『心霊写真部』シリーズをはじめとする、過去作品のエッセンスやノウハウが存分に作品に盛り込まれ、さながら永江ホラーの集大成のような趣で、非常に見応えがある。



“Jホラーの進化形”と絶賛される『真・鮫島事件』は明日11/27(金)より公開されるが、その永江ホラーの原点というべき、『心霊写真部』シリーズもぜひ一度ご覧になってはいかがだろうか。

                            (福谷修)

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