『ラストナイト・イン・ソーホー』でも存在感が際立つテレンス・スタンプ主演の傑作『テオレマ 4Kスキャン版』など、イタリアの異端児パゾリーニ生誕100年を記念し、50年ぶりの本格的リバイバル上映が決定!

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ピエル・パオロ・パゾリーニ生誕100年!
イタリアの異端児が描く“現代の寓話”と“女の復讐劇”
世界の映画作家たちに多大な影響を与えた2作がスクリーンに甦る!
「生誕100年記念上映 パゾリーニ・フィルム・スペシャーレ1&2」3/4(金)より開催!



詩人、作家、そして映画監督としてその名を世界に轟かせたイタリアの異端児 ピエル・パオロ・パゾリーニの生誕100年を記念し「パゾリーニ・フィルム・スペシャーレ1&2」と題して『テオレマ 4Kスキャン版』と『王女メディア』を2022年3月4日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開することが決定、併せてポスタービジュアルが解禁された。



『テオレマ 4Kスキャン版』 (c) 1985 – Mondo TV S.p.A. 『王女メディア』 MEDEA (c) 1969 SND (Groupe M6). All Rights Reserved.




1975年にローマ郊外で非業の死を遂げて45年以上の時を経た今もなお、世界中のシネフィルに支持される異才ピエル・パオロ・パゾリーニ。
2022年3月5日に生誕100年を迎えるのを記念し、日本国内においては1970年の劇場初公開以来、映画祭以外では上映される機会のほとんどなかった2作品がスクリーンに甦る。











『ラストナイト・イン・ソーホー』でも存在感が際立つ
テレンス・スタンプの代表的傑作『テオレマ 4Kスキャン版』



『テオレマ 4Kスキャン版』 (c) 1985 – Mondo TV S.p.A.




“スペシャーレ1” は、現在公開中の映画『ラストナイト・イン・ソーホー』にも出演しているイギリスの名優テレンス・スタンプ主演の『テオレマ 4Kスキャン版』

謎の《訪問者》によって次第に狂わされるブルジョワ一家を描いたパゾリーニ代表的傑作の1本で、公開時は《訪問者》の解釈を巡って大論争を巻き起こした。

テレンス・スタンプにとっても、『コレクター』でカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞し、ホラー・ファンにもおなじみの、フェリーニの『悪魔の首飾り』(『世にも怪奇な物語』の一編)でアル中俳優を強烈に怪演するなど、最も脂が乗り切った時代の代表作の一つである。

共演には、当時ジャン=リュック・ゴダールの妻でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキー、『家族の肖像』のシルヴァーナ・マンガーノなど。
イタリアが生んだ名作曲家、エンニオ・モリコーネが音楽を手掛けている。

第29回ヴェネチア国際映画祭で最優秀女優賞(ラウラ・ベッティ)と同時に国際カトリック映画事務局賞を受賞したことで、イタリア・カトリック界で物議を醸し、猥褻罪に問われて裁判に発展。
その後パゾリーニは無罪となり、裁判沙汰も手伝って映画は大ヒットとなった。

今回は2020年に米クライテリオン社によってなされた、オリジナルネガからの4Kスキャンによる修復版での公開となる。









「この映画だけは断れない」
マリア・カラス唯一の主演映画『王女メディア』



『王女メディア』 MEDEA (c) 1969 SND (Groupe M6). All Rights Reserved.




“スペシャーレ2”は、20世紀が誇るディーヴァ マリア・カラスとの奇跡のコラボレーションによって生まれた1969年の『王女メディア』

『アポロンの地獄』(67)で初めて古代ギリシャを題材にとったパゾリーニが、エウリピデスのギリシャ悲劇「メディア」を元に再び神話世界を映像化したものだ。

一切の映画出演オファーを断り続けていたマリア・カラスが「この映画だけは断れない」と出演を承諾した唯一の映画主演作となっている。
トルコ・カッパドキアの岩窟群やピエロ・トージによる美しい衣装も見どころだ。


併せて2作品のポスタービジュアルも解禁。
『テオレマ』はテレンス・スタンプ演じる謎の《訪問者》の妖しい魅力溢れるカットを、『王女メディア』はマリア・カラス演じるメディアの鬼気迫る表情が印象的なカットを使用。
「この、聖なるもの。」「あるいは、愛の過剰さについて。」というそれぞれのコピーによってパゾリーニ独特の世界観がさらに際立つポスターが完成した。





『テオレマ 4Kスキャン版』『王女メディア』は3月4日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次ロードショー











【上映作品】


『テオレマ 4Kスキャン版』

『テオレマ 4Kスキャン版』 (c) 1985 – Mondo TV S.p.A.




北イタリアの大都市、ミラノ郊外の大邸宅に暮らす裕福な一家の前に、ある日突然見知らぬ美しい青年が現れる。父親は多くの労働者を抱える大工場の持ち主。その夫に寄りそう美しい妻と無邪気な息子と娘、そして女中。何の前触れもなく同居を始めたその青年は、それぞれを魅了し、関係を持つことで、ブルジョワの穏やかな日々をかき乱していく。青年の性的魅力と、神聖な不可解さに挑発され、狂わされた家族たちは、青年が去ると同時に崩壊の道を辿っていく…。

原案 / 監督 / 脚本 : ピエル・パオロ・パゾリーニ
撮影 : ジュゼッペ・ルッツォリーニ 音楽 : エンニオ・モリコーネ
出演 : テレンス・スタンプ、シルヴァーナ・マンガーノ、アンヌ・ヴィアゼムスキー
1968年 / イタリア / 99分 / カラー / 1:1.85 ビスタビジョン /
日本初公開:1970年4月11日 / 日本語字幕:菊地浩司
※上映は4K素材から制作された2Kマスターとなります。
(c) 1985 – Mondo TV S.p.A.







『王女メディア』

『王女メディア』 MEDEA (c) 1969 SND (Groupe M6). All Rights Reserved.




イオルコス国王の遺児イアソンは、父の王位を奪った叔父ペリアスに王位返還を求める。叔父から未開の国コルキスにある〈金の羊皮〉を手に入れることを条件に出され旅に出たイアソンは、コルキス国王の娘メディアの心を射止めて〈金の羊皮〉の奪還に成功。しかし祖国に戻ったイアソンは王位返還の約束を反故にされ、メディアと共に隣国コリントスへ。そこで国王に見込まれたイアソンは、メディアを裏切って国王の娘と婚約してしまう。メディアは復讐を誓い…。

監督 / 脚本:ピエル・パオロ・パゾリーニ 製作:フランコ・ロッセリーニ
撮影:エンニオ・グァルニエリ 衣装:ピエロ・トージ
出演:マリア・カラス、ジュゼッペ・ジェンティーレ、マッシモ・ジロッティ
1969年 / イタリア=フランス=西ドイツ / 111分 / カラー / 1:1.85 ビスタビジョン /
日本初公開:1970年7月17日 / 日本語字幕:関口英子
MEDEA (c) 1969 SND (Groupe M6). All Rights Reserved













ピエル・パオロ・パゾリーニ Pier Paolo Pasolini


1922年3月5日、ラヴェンナの伯爵家出身で陸軍将校の父カルロ・アルベルトと、フリウリ地方カザルサ生まれで教師の母スザンナ(コルッシ姓)の長男として、イタリアのボローニャに生まれる。父の転任に伴い幼少期は北イタリアを転々とする。母の影響で幼いころから詩を書き始める。39年、飛び級でボローニャ大学文学部に進学。ファシスト青年団GUFの映画上映会でルネ・クレールやルノワール、チャップリンに感銘を受ける。42年7月、20歳の時に、フリウリ地方の方言(フリウリ語)で書かかれた処女詩集『カザルサ詩集』を自費出版。47年、カザルサ近郊の中学校で教師として働き始めると同時に、共産党に入党するが、49年に同性の未成年への猥褻行為で訴えられ(のちに無罪となるが)免職となり、党からも除名される。50年、母とローマの貧困地区に移り、詩や小説を書き続けながら、教職や新聞・雑誌への寄稿で生活費を捻出する。55年5月に初の長編小説『生命ある若者』を出版し大いに話題となるが、7月に発禁処分となる(翌年の裁判で発禁は解かれる)。マリオ・ソルダーティ監督作『河の女』(54)の脚本執筆を機に映画界へ進出、以降、フェデリコ・フェリーニ監督『カリビアの夜』(57)『甘い生活』(60)や、マウロ・ボロニーニ監督『狂った夜』(59)『汚れなき抱擁』(60)『狂った情事』(60)、ベルナルド・ベルトルッチ監督のデビュー作『殺し』(62)など数多くの脚本(共同脚本も含む)を執筆する。61年『アッカトーネ』で映画監督デビュー。翌年にはアンナ・マニャーニを主演に迎えた『マンマ・ローマ』を監督。「マタイによる福音書」を映画化した『奇跡の丘』 (64)はヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、米アカデミー賞でも3部門ノミネートを果たす。その後『アポロンの地獄』(67)や『テオレマ』 (68) 『豚小屋』 (69)といった衝撃作を放ち、不世出のディーヴァ、マリア・カラスを主演に迎えた『王女メディア』 (69)を完成させる。続いて「生の三部作」と呼ばれる、『デカメロン』(71年ベルリン映画祭銀熊賞受賞)、『カンタベリー物語』(72年同映画祭金熊賞受賞)、『アラビアンナイト』(74年カンヌ映画祭審査員大賞受賞)で高い評価を得る。75年春にマルキ・ド・サドの『ソドムの百二十日』を映画化した『ソドムの市』を撮影。同年11月2日未明、ローマ郊外のオスティア海岸で轢死体となって発見される。享年53歳。その死については諸説あり現在も謎に包まれている。『ソドムの市』は翌76年1月に劇場公開を迎える。死後、未発表の原稿が続々と発見され、イタリアでは98年から2003年にかけてパゾリーニ全集全11巻が刊行された。












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