96%フレッシュ!“今年最高評価のホラー映画” ―Rotten Tomatoes
『ミッドサマー』の A24 が仕掛ける真夏のエクストリームライド・ホラー
日本でもスマッシュヒットを記録した『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』を手掛けた最注目スタジオA24が贈る最新ホラー『X エックス』が7月8日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて大ヒット公開中だ。
田舎を訪れた若者たちが恐怖に襲われるという伝統的なホラー映画のフォーマットを踏襲しながら、若者VS老人という新鮮なストーリー展開で、スカッと爽快な結末であること。さらに、(ネタバレになるが、すでに公式ニュースで発表され、話題になっているので掲載)ミア・ゴスが、ヒロイン・マキシーンと、殺人老婆・パールを1人2役で演じていることなど観た後も考察を楽しめる作品であることも話題を集めている。
この度、映画で流れるこだわりの音楽にまつわる裏話や、続編『Pearl(原題)』の最新情報を紹介する。
全米で公開されるや、ホラー界の重鎮スティーヴン・キングや、『ラストナイト・イン・ソーホー』のエドガー・ライトが本作への熱い支持を表明。アメリカの映画レビューサイトRotten Tomatoesでは96%フレッシュを達成し「今年最高評価のホラー映画」と評価された。有力映画サイトでも「狂ったように面白い!」(Bloody Disgusting)、「恐怖のアトラクションのような映画」(Variety)、「血まみれでメチャクチャ楽しい映画」(The A.V. Club)などの絶賛評で迎えられ、さらに本作が3部作になることが発表されると、A24映画として初のシリーズ化作品としても注目を集めている。
公開するやいなやSNSを中心に「予想以上の大傑作」「ホラーの魅せ所を詰め込んで楽しませてくれる作品」「エロ×ホラー×グロの三拍子揃った最高の映画」などの声が続出。
1979年のテキサスの田舎町を見事に表現しながら、新たな手法によってこれまでの既成概念を壊した「アメリカン・ニューシネマ」への<憧れ>と、『悪魔のいけにえ』をはじめ、『悪魔の沼』『シャイニング』『サスペリアPART2』などの70年80年代ホラー映画へのリスペクトが投映し「ホラー映画」への<愛情>を詰め込んだ本作は、往年のホラー映画ファンをも唸らせる一作となっている一方で、映画の中で描かれる自らの手で望む人生を切り拓こうと突き進むヒロイン・マキシーンの言動から、若い女性にも熱狂的に支持されている。
陽気な70’s ミュージックに揺られ
知らぬ間に若者たちが恐怖のアトラクションにライドオン!
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』スタッフによるこだわりの音楽に注目
この真夏のエクストリームライド・ホラーを一層盛り立てるのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなど話題作を手掛けるタイラー・ベイツによる音楽たち。一攫千金を狙う欲望深い若き映画クルーたちを乗せた恐怖のアトラクションは、観客を巻き込み奈落の底へと加速していく!!
舞台は1979年、テキサス。当時TVドラマ「ワンダーウーマン」で主演を演じ絶大な人気を博したリンダ・カーターに憧れる女優のマキシーンとそのマネージャー兼プロデューサーのウェイン。ブロンド女優のボビー・リンとベトナム帰還兵の俳優ジャクソン。そしてジャン=リュック・ゴダールに憧れる新鋭の映画監督RJとその彼女で録音担当のロレイン。“芸術的価値を持たせた背徳的でエロティックな”ポルノ映画を制作しアメリカンドリームを夢見る彼らの野心はむきだしだ。
そんな一行が『悪魔のいけにえ』さながらワゴン車に乗って、撮影のために借りたとある古びた農場を訪れる。その道中でかかっているのが、マンゴ・ジェリーの「イン・ザ・サマータイム」だ。1970年にリリースされるや世界中で大ヒットし一世を風靡した同曲は、「天気のいい日は気になる女を誘い出せ/“人生を楽しめ”が俺たちの哲学」という軽快な歌詞と陽気なメロディラインが、鼻息荒く意気揚々と映画撮影に挑む彼らの心情にぴったり。さらに、若き映画クルーたちを乗せた恐怖のアトラクションが徐々に加速していくかのようなオープニングにはおあつらえ向きな楽曲だ。
また、キッド・カディ名義で世界的ラッパー、歌手として活躍し『X エックス』の製作総指揮にも名を連ねるスコット・メスカディがギターを弾き、『ピッチ・パーフェクト』シリーズのブリタニー・スノウがフリートウッド・マックの「ランドスライド」をアコースティックバージョンで歌い上げる、劇中で披露されるこのなんとも贅沢なミュージックシーンは本作の大きな見どころのひとつと言っていい。もともと同曲は1975年にリリースされ、成長し大人になった子どもたちに巣立っていかれる母親の心情を歌ったものだが、同時に年を重ねることへの哀愁を含んだ歌でもある。本編では、まさにいま若さの真っただ中にいる映画クルーたちがそれを噛み締めるように歌を楽しむ一方で、彼らの輝き溢れる若さと美に執着する史上最高齢の殺人鬼・パールのせつない心模様も重ね、ふたつを対比するようにスプリットスクリーン(分割画面)を用い、見せ方にも技巧を凝らしている。
ほかにも、アメリカを代表するカントリー歌手のロレッタ・リン(映画ファン的には、『キャリー』のシシー・スペイセクが彼女を演じた『歌え!ロレッタ愛のために』)がカバーした「アクト・ナチュラリー」が、X-FACTOR(未知の才能)を持ったヒロイン・マキシーンが撮影で素晴らしい演技をみせ得意げに振る舞うシーンで流れるなど、映画の場面と音楽がリンクするこだわりよう。
タイ・ウェスト監督は、「映画の中のすべての歌は、映画の中で起きていることと関連するように事前に選ばれたんだ。だから、歌のトーンであれ歌詞であれ、すべては映画のテーマに沿ったものなんだ。適切な歌を見つけて、それらの権利を得るのにはとても時間がかかったけど、みんながイエスと言ってくれてとても幸運だったよ」と語る。
21世紀で最も売れたサントラの1枚となった『300 スリーハンドレッド』のサウンドトラックを手掛け、近年では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ジョン・ウィック』シリーズなど数々の話題作に音楽を提供し注目を集める、タイラー・ベイツが音楽を担当。アナログ盤のサウンドトラックが本国で2023年1月に発売予定で、現在プレオーダー中なので映画を観て音楽が気になった人はぜひA24公式サイトをチェックしてみてほしい。
続編『Pearl(原題)』が来月開催の第79回ベネチア国際映画祭で上映決定!
本国では予告編も解禁!期待値が上がりまくり映像から内容を検証!
早くも、本作の続編『Pearl(原題)』が来月から開催される第79回ベネチア国際映画祭にて上映されることが発表されている。
これに伴いアメリカ本国では予告編↑が解禁。
史上最高齢の殺人鬼・パールの若かりし頃を描いた前日譚となることが明らかにされており、見ての通り、『X エックス』でヒロイン、マキシーンと史上最高齢の殺人鬼パールの二役を演じたミア・ゴスが、若き日のパールを嬉々として?演じている。
70年代オマージュに満ちた『X エックス』とは雰囲気が一変している……んだけど、相変わらず『悪魔のいけにえ』へのオマージュ・カットが目白押しで(いうまでもなく“かかし”とか“車椅子の老人”とか)、この予告編・第一弾では、いかにしてパールが田舎で〇〇な殺人鬼になっていったのか、その後の『X エックス』との関連性が強調されている。
もちろん、A24とタイ・ウェスト監督だけに、さらなるサプライズな仕掛けが用意されているのは間違いないだろう。
予告編を見る限り、今回は(表向きは)戦前から1960年代までの名作映画のエッセンスが注がれ(『オズの魔法使い』とか。ドロシーっぽい?パール)、ホラー的には、ハーシェル・ゴードン・ルイスの南北戦争×牧歌的怨霊スプラッター『2000人の狂人』のようなテイストか。
あるいは本作の元ネタの一つである、『サイコ』や『悪魔のいけにえ』のモデルとなったエド・ゲイン事件(参考文献「オリジナル・サイコ―異常殺人者エド・ゲインの素顔」 (ハヤカワ文庫NF) /『ディレンジド』など映像化作品も少なくない)や、さらには、下のイントロ解説にもある通り、『X エックス』が実在する史上最高齢の死刑カップル、レイ&フェイ・コープランドをモデルにしている説が正しいのなら、『Pearl(原題)』も、実在する若干10歳の美少女殺人鬼メアリー・ベルの事件(参考文献「魂の叫び―11歳の殺人者、メアリー・ベルの告白」。事件自体は1960年代)をモチーフにしているのかもしれない。(ちなみにエド・ゲインは1906年生まれで、パールとほぼ同世代と推定)。
ちなみに『X エックス』はA24史上初のシリーズ化がなされ、続編『Pearl(原題)』の後には《三部作》のラストを飾る新作が予定されているという。筆者の予想では、三作目は『X エックス』のヒロイン、マキシーンの50年後、つまり現代を舞台に、大スターとなった老婆のマキシーン(もちろんミア・ゴス)と新たな殺人鬼(若者)が対決する、のではないか……と考えたりする(外れていたら、すみません)。
もちろん、公開中の『X エックス』、そしてベネチアでお披露目される『Pearl(原題)』のヒット次第では《三部作》の噂は覆され、さらなる変則的なシリーズ化も十分ありうるだけに、今後も両作の動向から目が離せないだろう。
『X エックス』
INTRODUCTION
1979年、テキサス。
映画で一攫千金を狙う野心むきだしの映画クルーたち。
彼らが撮影のために訪れた古びた農場、
そこは史上最高齢の殺人鬼夫婦が棲む場所だった―。
本作『X エックス』は、それぞれの野望を抱き青春を謳歌する若者たちが田舎を訪れ、殺人鬼に襲われるという正統派ホラーの展開を受け継いだ、夏にピッタリのハラハラ・ドキドキが止まらないエクストリームライド・ホラー!
ホラー、スリラー、スラッシャー・ムービーなどのジャンル映画、アメリカン・ニューシネマ、成⼈映画にいたるまで70年代、80年代のあらゆる映画へのオマージュをふんだんに盛り込んでいる。
本作の史上最高齢の殺人夫婦・パールとハワードは、テキサスを舞台にした『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス、『IT/イット』シリーズのペニーワイズ、『13日の金曜日』シリーズのジェイソンなど、連綿と続いてきた《ホラー映画界》の殺人鬼の系譜を受け継ぐ、遅すぎた・・・いや、老いすぎた”ルーキー”!!
試写をみた評論家陣からは、本作の最高齢の殺人夫婦パール&ハワードは、1970年代、漂流者やホームレスを雇った農場で次々と殺戮した、実在する史上最高齢の死刑カップル、レイ&フェイ・コープランドがモデルになっているのでは!?という説も飛び出している。続編では、若かりし頃のパールの前日譚が描かれることが既に決定している。
はたしてこの老夫婦は、なぜここまで執拗に若者たちを残虐するのか・・・その理由はぜひ劇場で確かめてほしい。
<STORY>
1979年、テキサス。女優のマキシーンとそのマネージャーであるウェイン、ブロンド女優のボビー・リンと俳優のジャクソンは自主映画監督の学生RJと、その彼女で録音担当の学生ロレインと映画撮影のために借りた農場へ向かう。映画のタイトルは「農場の娘たち」。この映画でドル箱を狙う――6人の野心はむきだしだ。農場で彼らを待ち受けたのは、みすぼらしい老人ハワード。彼らを宿泊場所として提供した納屋へ案内する。一方、マキシーンは、母屋の窓ガラスからこちらを見つめる老婆と目が合ってしまう……。
【作品情報】
監督・脚本:タイ・ウェスト
出演:ミア・ゴス、ジェナ・オルテガ、ブリタニー・スノウ、スコット・メスカディ(キッド・カディ)、
マーティン・ヘンダーソン、オーウェン・キャンベル、ステファン・ウレ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW 配給:ハピネットファントム・スタジオ 原題:X
©2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.
公式 HP: https://happinet-phantom.com/X/
公式 twitter:@xmovie_jp
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW|配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:X|R15+|2022 年|アメリカ映画|上映時間:105 分
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中
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