黒沢清×松重豊!Jホラー初期の幻の傑作『地獄の警備員』がデジタルリマスターで29年ぶりに劇場公開!苦難の末の公開の舞台裏とは?

映画


『スパイの妻<劇場版>』が第77回ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞(監督賞)を受賞したことも記憶に新しい黒沢清の、初期の幻の傑作バイオレンス・ホラー『地獄の警備員』がデジタルリマスターとなって、29年ぶりにスクリーンに蘇ることになった。
2021年2月13日(土)より、新宿K’s cinemaにて独占ロードショー公開される(その他の劇場は順次発表される予定)。

(C)株式会社 ディ・モールト ベネ


1980年代に生まれた伝説的映画制作会社ディレクターズ・カンパニー(通称ディレカン)の最後期の作品となる本作(1992年)。
黒沢清のメジャー監督デビュー作となるホラー映画『スウィートホーム』での賛否を経て、黒沢が低予算ながらも、水を得た魚のように、その才能をいかんなく発揮。後のホラーの代表作『CURE』『回路』にもつながる、まさに黒沢ホラーの原点というべき傑作だ。





(C)株式会社 ディ・モールト ベネ


冒頭から不穏な空気が漂い、低予算を逆手に取った印象的なミニチュアワークやセット美術、不気味なBGMと効果音、妖しくも禍々しいライティング、そして強烈なバイオレンス描写と、黒沢ならではの独特の映像感覚が冴え、ラストまで一気に見せる。
黒沢監督もファンという『悪魔のいけにえ』などのホラー作品のオマージュが随所に注がれている点も興味深い。

キャストは、今や大活躍の松重豊(「孤独のグルメ」)が凶暴で謎めいた警備員を演じているほか、2018年に急逝した名優・大杉漣、長谷川初範、内藤剛志などが若々しくも、個性的な存在感を放っている。
他にも、現在高い評価を受けている監督達(佐々木浩久、青山真治、井口奈己、篠崎誠)がスタッフに名を連ねている点にも注目。





塩漬け状態から返却されたネガを修復!
苦難の末のリマスターを最新最速で公開!


配給会社のアウトサイドによれば、本作『地獄の警備員 デジタルリマスター版』の公開実現には様々な困難が伴ったという。
ディレクターズ・カンパニーといえば、数多くの意欲的な企画を実現させたものの、1992年惜しまれつつ休眠会社となったのは有名な話。
本作は、ディレカンの借金により、ネガが抵当として長年塩漬け状態になっていたが、2020年9月末にネガ一式が返却されたことでデジタル化が実現した。
以降ワンカットずつのスキャン作業を経て、撮影を担当した根岸憲一の監修の元、徹底的な修復作業が行われた。
そして11月中旬に『地獄の警備員 デジタルリマスター版』DCPがついに完成。
2021年2月公開は最新最速の上映となる。

これらの作業は極めて限られた人員で行われ、苦労に苦労を重ねた末に公開にこぎつけたという。
まさに作品への愛、監督への思いがなせる業だろう。
一ホラーファンとしても、あの『地獄の警備員』を再びスクリーンで、しかもリマスターで見ることができるとは感無量だ。

しかも公開期間中には、黒沢監督の初期傑作 『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(1985)を35mmフィルムで上映予定とか!
これも(『地獄の警備員』とは違う意味で)物凄い作品だから絶対に見逃してはならないだろう。

『地獄の警備員 デジタルリマスター版』は、劇場窓口にて、数量限定のポストカード付・全国共通特別鑑賞券(¥1.300)が発売中。(当日一般 ¥1.800 の処)。

しっかり予防対策をして、ぜひともこの機会を逃さず劇場に足を運んでほしい。





【ストーリー】
バブル景気で急成長を遂げる総合商社に二人の新人がやってきた。
ひとりは絵画取引を担当する秋子。そしてもうひとりは巨体の警備員・富士丸。元力士の富士丸は兄弟子とその愛人を殺害。しかし精神鑑定の結果無罪宣告されていた要注意人物だった。
秋子が慣れない仕事に追われる日々の中、警備室では目を覆うばかりの惨劇が始まっていた。
恐怖の一夜を支配する警備員の影が迫る!



【ディレクターズ・カンパニーとは】
通称”ディレカン”。1982年、作家性と娯楽性を両立した映画製作の拠点として映画監督の長谷川和彦を中心にして設立された映画製作会社。石井聰亙、井筒和幸、池田敏春、大森一樹、黒沢清、相米慎二、高橋伴明、根岸吉太郎といった当時新進気鋭の映画監督9名で設立された。
『人魚伝説』(1984)、『逆噴射家族』(1984)、『台風クラブ』(1985)、『光る女』(1987)、『マリアの胃袋』(1990)などの問題作、話題作を多数手掛ける。和製スプラッタ・ホラーの先駆けである『死霊の罠』(1988)も製作。





【キャスト/スタッフ】

松重 豊 久野真紀子 大杉漣
諏訪太郎 由良宣子 内藤剛志
大寶智子 洞口依子 岡村洋一
下元史郎 田辺博之 長谷川初範 ほか

監督:黒沢清
製作:林俊安
プロデューサー:宮坂進 / 生駒隆始
脚本:富岡邦彦 / 黒沢清
撮影:根岸憲一
照明:須永裕之 録音:鈴木昭彦 美術:清水剛
編集:神谷信武 音楽プロデュース:岸野雄一
助監督:佐々木浩久 演出助手:青山真治 / 小川智子
制作担当:小宮義宏

■ビスタ/上映時間:97分/2020年デジタルリマスター
(1992年日本映画/ Super16mm撮影 ブローアップ 35mm仕上げ)

公式サイト
https://outside-movie.jimdosite.com/

(C)株式会社 ディ・モールト ベネ



【公開情報】

■2021年2月13日(土)より、新宿K’s cinemaにて独占ロードショー(DCP上映)
■劇場窓口にて数量限定のポストカード付 全国共通特別鑑賞券 ¥1.300絶賛発売中!(当日一般 ¥1.800 の処)
■ 2021年 他劇場情報 決定次第掲載予定 !
■黒沢監督の初期傑作 『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(1985)を期間中に35mmフィルム上映予定


2月13日(土)より、新宿K’s cinemaにて独占ロードショー!



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