長編初監督作での快挙!
第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門正式出品
第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門正式出品が決定した、倍賞千恵子主演映画『PLAN 75』が6月17日(金)に新宿ピカデリーほかにて全国公開される。
脚本・監督は、本作が長編初監督作品ながら、カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門への正式出品という快挙を成し遂げた、早川千絵。「経済的合理性を優先し、人の痛みへの想像力を欠く昨今の社会に対する憤りに突き動かされて生まれた映画です。倍賞千恵子さん演じるミチという女性の姿を通して、人が生きることを全肯定する。そんな映画にしたい」と、是枝裕和監督が初めて総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を再構築、キャストを一新し、長編映画化した。超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作。昨年のカンヌ国際映画祭での受賞を皮切りに、本年度アカデミー賞®国際長編映画賞に輝いた濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』に続く快挙となるか、受賞への期待が高まっている。
主人公・角谷(かくたに)ミチを演じるのは倍賞千恵子。倍賞は脚本を読み、「最初は“酷い話”だと思ったのですが、物語の終盤でミチがある選択をする姿が描かれており、そこにものすごく心打たれ、惹かれて…それだけで出演を即決しました」と、ミチを演じる覚悟を決めたと振り返る。<プラン75>に携わる側には磯村勇斗、河合優実を配し、他にたかお鷹やステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが顔を揃えた。
コメント
倍賞千恵子(角谷ミチ役)
早川監督、おめでとう。粘り強く頑張った甲斐がありましたね。
私も『PLAN 75』に出演できた事を嬉しく思っています。
この映画を通して「どう生きるか?」を考えるきっかけになればと願っています。
磯村勇斗(岡部ヒロム役)
とても光栄であり喜ばしい限りです。
改めて、早川千絵監督の作品に、俳優部として参加させて頂けたことに感謝しています。
早川監督、本当におめでとうございます。
『PLAN 75』が国境を越え多くの方に届けられることが嬉しいです。
河合優実(成宮瑶子役)
この度は『PLAN 75』をすばらしい場所に選んでいただき、本当にありがとうございます。
カンヌということばの響きは、今の自分が辿り着く場所としてあまりにも現実味がなく、このとてもよろこばしい報せを聞いた今もまだ実感がありません。
早川千絵監督と倍賞千恵子さんをはじめ、この映画に力を尽くしたすべての人が残そうとしたものが画面に誠実に映っていること、そしてこの映画が観る人の心と映画の世界に新しい扉を開くような作品になってゆくことを強く願っています。
早川千絵(脚本・監督)
喜ばしい知らせを受け、この映画にあらゆる形で関わってくださった一人一人の顔が浮かびました。
感謝の気持ちとともに、多くの方に見ていただける幸運をかみしめています。
『楢山節考』(83)のパルム・ドール授賞から40年ーーー
高齢者を「死」に追い込む<プラン75>は現代版「姥捨て山」か!?新規写真三点と共に検証。
舞台は、75歳以上の高齢者に、死を選ぶ権利を認め、支援する制度、通称<プラン75>が施行された現代の日本。78歳のミチは、ホテルの客室清掃の仕事で生計を立てながら慎ましく暮らす。そんな彼女の楽しみは、職場の同僚たちとの他愛ないおしゃべりや公民館でのカラオケ。<プラン75>の施行で高齢者が自ら死を選ぶ事が当たり前になりつつある社会で、身寄りがないミチや子供と絶縁状態にある同僚の稲子(大方斐紗子)にとっては、仲間との集まりがかけがえのない大切な時間だった。
しかし、彼女たちの生活にも<プラン75>の影が忍び寄る。同僚のひとりは旅行先を選ぶように<プラン75>のお試し体験に行き、施設の充実っぷりに感動。「孫の為を思えば死んでも構いやしない」とまで言い出す。高齢者向けの健康診断の会場では「死ぬときぐらい自分で選びたいじゃない」と老婦人が笑顔で語る<プラン75>の加入促進CMが流れている。それらの光景をミチは物言いたげな表情を浮かべながら、やり過ごす。ある日、ミチは高齢を理由に同僚たちと一緒にホテルを解雇される。同僚たちと違い、頼る先がないミチは必死に新しい仕事を探すが、高齢を理由に断られてばかり。ついに住む場所をも失いそうになり追い込まれた彼女は<プラン75>の申請を検討し始めるー。
働きたくても働き口がないのに、生きてることが罪かのような世の中にあって、みんなが選んでいるからと、同調圧力に吞まれてゆく。生活保護を受ける前に自力で頑張りたくとも、「国家のために“口減らし”に協力せよ」と言わんばかりの制度<プラン75>は、まさに現代版の「姥捨て山」だ。今村昌平監督が、因習により山に捨てられる老女とその息子の心の葛藤を描いた『楢山節考』(83)でカンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールを受賞してから約40年。カンヌ国際映画祭に選出された本作も、海外のバイヤーから「姥捨て山」のようだと反応が集まっている。公開に先駆けて鑑賞した評論家からも、「高齢者が自分の意志により死を選択できる制度とは、現代の“姥捨て山”か。(映画ジャーナリスト/評論家・立田敦子)」、「この話はフィクションとは思えない。少子化、移民政策や人権問題にも真摯に向き合わず、デフレが続く未曾有の長寿社会では、この議論は必ず出てくる。(映画ジャーナリスト・此花わか)」などの声が上がっている。ツイッター社の買収騒動で世界を驚かせた「世界一の富豪」、イーロン・マスク氏も「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう。」とツイートするように、日本にとって少子高齢化問題は喫緊の課題のひとつであることは否めない。本作の<プラン75>が施行された社会とは、決して絵空事ではない。「絶対にこのような未来はない」と確信できないほどのリアリティをもって描かれているからだ。果たして、口減らしの為に高齢者を切り捨てる「姥捨て山」とは過去の民話だけの話だろうか・・・?
今回、新たに解禁された場面写真では、楽しそうにスーパーで総菜を選ぶミチと稲子や、休日に公民館を訪れるミチと同僚たち、カラオケに興じるミチと後ろで指を鳴らす稲子をとらえている。<プラン75>が高齢者の未来に影を落とす中でも、楽しそうに日々を過ごすミチたちの姿は生きる希望に満ちているように見えるが、彼女たちが行き着く先とはーー。
【STORY】
少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度<プラン75>が国会で可決・施行された。様々な物議を醸していたが、超高齢化問題の解決策として、世間はすっかり受け入れムードとなる。
夫と死別してひとりで慎ましく暮らす、角谷ミチ(倍賞千恵子)は78歳。ある日、高齢を理由にホテルの客室清掃の仕事を突然解雇される。住む場所をも失いそうになった彼女は<プラン75>の申請を検討し始める。一方、市役所の<プラン75>の申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)、死を選んだお年寄りに“その日”が来る直前までサポートするコールセンタースタッフの瑶子(河合優実)は、このシステムの存在に強い疑問を抱いていく。また、フィリピンから単身来日した介護職のマリア(ステファニー・アリアン)は幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給の<プラン75>関連施設に転職。利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えて作業に勤しむ日々を送る。
果たして、<プラン75>に翻弄される人々が行く着く先で見出した答えとは―――。
倍賞千恵子
磯村勇斗 たかお鷹 河合優実 ステファニー・アリアン 大方斐紗子 串田和美
脚本・監督:早川千絵
脚本協力:Jason Gray
エグゼクティブ・プロデューサー:小西啓介 水野詠子 國實瑞惠 石垣裕之 Frédéric Corvez Wilfredo C. Manalang
プロデューサー:水野詠子 Jason Gray Frédéric Corvez Maéva Savinien
企画・制作:ローデッド・フィルムズ
製作:ハピネットファントム・スタジオ ローデッド・フィルムズ 鈍牛俱楽部 WOWOW Urban Factory Fusee
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
©2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee
公式サイト:https://happinet-phantom.com/plan75/ Twitter:@PLAN75movie #PLAN75