『樹海村』の公開のタイミングに合わせ、清水崇監督の旧作である『戦慄迷宮』<8Kリマスター2K特別版>Blu-rayが2021年2月10日(水)にリリースされた。
話題性でいえば、同じ日にBlu-rayがリリースされた、清水監督の伝説的な傑作『呪怨』オリジナルビデオ版に注目しがちだが、日本初の3D長編映画である『戦慄迷宮』<8Kリマスター2K特別版>も侮れない。改めて鑑賞すると、意外な発見が多く、とても面白い。いや、『樹海村』が公開中の今だからこそ、よりこの作品が楽しめるのではないか。
ここでは『戦慄迷宮』<8Kリマスター2K特別版>Blu-rayを今見るべき、三つのポイントを挙げてみた。
『戦慄迷宮』<8Kリマスター2K特別版>Blu-rayを今見るべき理由①
『戦慄迷宮』こそ『樹海村』の原点だった!?
公開時は“日本初の長編3D映画”とか、“ヴェネチア国際映画祭へ正式出品”とか、“ギネス登録の最恐お化け屋敷「戦慄迷宮」を完全オリジナルストーリーで禁断の映画化”などと、派手なキャッチコピーが並んだ『戦慄迷宮』。
一見、『樹海村』とは関係がなさそうだが、『戦慄迷宮』のオープニング映像はずはり“樹海”である。
ご存知の方も多いが、この作品のモデルで、実際のロケ地でもあるお化け屋敷アトラクション『戦慄迷宮』があるのは富士の裾野の遊園地「富士急ハイランド」。そう、樹海からもほど近い場所に存在するのだ。
おそらくは富士急ハイランドをイメージする近隣のホラー・イメージや、“入ったら出られない”というキーワードを象徴する意味で、オープニングに樹海を登場させたのだろう。
脚本も、『犬鳴村』『樹海村』を手掛け、本作で清水監督と初タッグを組んだ保坂大輔。そのせいか設定や登場人物の構成も『戦慄迷宮』と似ている。
『戦慄迷宮』では、ケン(柳楽優弥)が小学生時代の同級生モトキ(勝地涼)とリン(前田愛)と再会するが、二人は婚約している。二人の新居は富士山にほど近い=樹海にほど近い場所だ。
『樹海村』も、ヒロインの一人、天沼鳴(山口まゆ)の幼馴染である美優(工藤遥)と輝(阿久津輝)も夫婦である。そして新居も(マンションと一軒家の違いはあるが)樹海にほど近い。
さらに、主人公と幼馴染のカップルが微妙な三角関係という点も似た設定と言える。
また、両作品共に、夜中に車で移動するシーンがあるが、これも樹海らしき場所を移動しているため、雰囲気がとても怖い。ひょっとして同じロケ場所か?『樹海村』では、このシーンに本物の霊が映っていると話題になったが、ならば『戦慄迷宮』のシーンにも霊が映っている可能性があるかも!?
霊といえば、『樹海村』のクライマックスには不気味な●●が現れて、ヒロインを恐怖に陥れるが、『戦慄迷宮』のクライマックスにも、タイプは異なるが、やはり異形の●●がうごめき、主人公に襲いかかる。『樹海村』を見た後なら、『戦慄迷宮』のクライマックスとの奇妙な符号に気づくはずだ。
他にも、両作品とも、主人公の子供時代が、謎解きの重要なカギを握っている点など、探せばまだまだ発見があるかもしれない。
『戦慄迷宮』<8Kリマスター2K特別版>Blu-rayを今見るべき理由②
特異な都市伝説ホラー・ミステリーとしての魅力
『犬鳴村』『樹海村』の“恐怖の村”シリーズでは、地域の都市伝説がモチーフになっているが、『戦慄迷宮』でも“アトラクション施設の中で消えた子供”という有名なテーマパークの都市伝説をベースにしている。
①でも書いたが、三作とも脚本を保坂大輔が手掛けており、都市伝説を長編ストーリーとして膨らませ、そこに様々な恐怖のエピソードや、主人公たちのドラマを絡ませていくスタイルは共通している。
恐怖シーンも、高い場所から落下した人物が真下の人物に激突死するなど、似たイメージも見られる。
ただし、“恐怖の村”シリーズでは、都市伝説と共におどろおどろしい村の伝承や悲劇を描いており、『戦慄迷宮』のように都市伝説をストレートに描いているわけではない。
子供の頃に行方不明になった同級生が10年ぶりに主人公の前に成長して現れるなど、大胆なミステリー仕立てのストーリーや、『呪怨』を思わせる複数の時間軸が交錯する構成など、今となっては『戦慄迷宮』とは、『呪怨』シリーズから“恐怖の村”シリーズへの橋渡し的な役割を果たしている作品のようにも思える。
『戦慄迷宮』といえば、実在の遊園地がモデルで、3D撮影が行われたという点の印象が強いが、一つの映画作品としても、きわめて特異な都市伝説ホラー・ミステリーとして十二分に楽しめるのではないだろうか。
『戦慄迷宮』<8Kリマスター2K特別版>Blu-rayを今見るべき理由③
8Kリマスターの高精細・高解像によって、3Dテレビがなくても立体感が楽しめる!
今回新たに初ブルーレイ化される『戦慄迷宮』は、8Kへのリマスターにより高精細・高解像を高め、さらにハイダイナミック・レンジを基調とした色彩の鮮やかさを強めた映像の2K版となる。
筆者は劇場で3D鑑賞して以来だったが、アトラクション内部の、原色を強調した豊かな色彩の美術やライティング、西村喜廣が特殊造形スーパーバイザーを務めた特殊造形物などが細部までくっきり見えて、非常に見ごたえがあった。
また、8Kリマスターの恩恵で、通常の2Dテレビであっても、映像にとても奥行きや立体感が感じられ、監督の3D演出の意図などがよく伝わってきた点も収穫だった。
そして映像のみならず、音響も素晴らしい。音響監督、岩浪美和が音響スーパーバイザーを務めた音響(DTS-HD Master Audio5.1ch)は、劇場の時よりクリアで臨場感が向上しているように感じられた。
映像特典には、“3Dリニューアル版本編”も収録されており、3Dテレビがあるのならぜひ体験してほしい(この特典は2Dで再生することも可能だ)。
3D版の劇場公開時と比較しても、2D化である程度、画質は向上すると思っていたが、正直なところ、映像、音響、内容ともにここまで印象が変わるものかと、想像以上に新鮮な驚きがあった。8Kリマスター2K恐るべしである。
『樹海村』を見る前に鑑賞しても良し。見た後に鑑賞しても良し。いずれにせよ、『戦慄迷宮』<8Kリマスター2K特別版>Blu-rayで、新しく生まれ変わった“恐怖の極彩世界”を堪能できることは間違いないだろう。
<商品仕様>
『戦慄迷宮』【8Kリマスター2K特別版】
Blu-ray発売中
【Amazon.co.jp限定】戦慄迷宮【8Kリマスター2K特別版】[Amazon.co.jp限定特典:ポストカード(ロゴデザイン)] [Blu-ray]
【解説】
10年前、遊園地の巨大なお化け屋敷で行方不明になった少女が突然帰って来た。その謎に関わる5人の男女が、行ってはいけない日本最恐の場所へ連れ戻された…かつてない恐怖と驚愕の一夜、ショック・コースターが動き出した…。
全世界を恐怖に陥れた『呪怨』シリーズを手掛け、最凶心霊スポットを舞台にした『犬鳴村』でまたも日本列島を震え上がらせたホラーオーソリティー清水崇が、ギネスブックにも認定された世界最大の巨大な“お化け屋敷”を原案に、閉じ込められた男女の一夜を描く。ヴェネチア国際映画祭へ正式出品、50ヵ国で公開され、世界的に話題を呼んだ衝撃のオリジナルホラー! 圧倒的な恐怖描写とショック映像をたたみかけ、観るものをドン底に突き落としながら、謎が謎を呼ぶ仕掛けで観客を振り回し、怖がらせるだけでは終わらないトリック・スリラー展開に釘付けになる。
デビュー作『誰も知らない』で、カンヌ国際映画祭主演男優賞を映画祭史上最年少で受賞、最近では映画『今日から俺は!!劇場版』や2021年公開予定の『HOKUSAI』でも主演を務める柳楽優弥を筆頭に、勝地涼、前田愛、蓮佛美沙子、水野絵梨奈ら実力派の俳優たちが、驚愕の一夜を体験をする若者5人を迫真の演技で挑み、作家・演出家・俳優として活躍を続ける松尾スズキが事件の真相を追う刑事役を務めている。また、脚本を『犬鳴村』でも清水崇とタッグを組む保坂大輔が手掛けている。
今回新たに初ブルーレイ化される本作は、【8K】へのリマスターにより高精細・高解像を高め、さらにハイダイナミック・レンジを基調とした色彩の鮮やかさを強めた映像の【2K】版となります。新しく生まれ変わった恐怖の極彩世界をお楽しみください。
【ストーリー】
ある遊園地の巨大なお化け屋敷で行方不明になった少女ユキが、10年後の雨の夜、突然帰ってきた。ケンとモトキ、盲目の少女リン、ユキの妹ミユはおびえながらもユキを迎え入れるが、彼女は突然発作を起こす…。5人は病院へと向かうが、辿り着いた普通の病院は、次第に姿を変え、朽ち果て、まるで巨大廃墟のような不気味な空間となった。
そこに閉じ込められた5人は10年前の事件の真相、そこで起こった【事故】を、身を持って体感する。2時29分、驚愕の一夜に目撃する少女の、その恐怖の【正体】とは?
【キャスト】
柳楽優弥、蓮佛美沙子、勝地涼、前田愛、水野絵梨奈、山中崇、松尾スズキ
【スタッフ】
監督:清水崇
脚本:保坂大輔
原案:富士急ハイランド「戦慄迷宮」
主題歌:ストレイテナー「CLONE」(EMIミュージック・ジャパン)
音楽:蓜島邦明(サントラ盤:EMIミュージック・ジャパン)
音響スーパーバイザー:岩浪美和
特殊造形監修:西村喜廣
VFXスーパーバイザー:鹿角剛司
プロデューサー:谷島正之、小椋悟、宮崎大
3D映像技術協力:IMAGICA
【公開日】2009年10月公開
【スペック】
●映像特典
◆3Dリニューアル版本編
BSZD08261/COLOR/本編95分/2層/DTS-HD Master Audio 5.1ch/16:9【1080p Hi-Def】
【備考】※特典映像【3Dリニューアル版本編】に関する注意事項
・3D映像をお楽しみいただくためには3D対応テレビ、3Dメガネ、3D対応再生機器が必要です。また、本商品は2D再生にも対応しております。
・お子様のご視聴については5~6才からの視聴を目安にし、大人の立会いの上で視聴して下さい。
・身体に病気や障害がある場合には3D立体映像をご覧になれない場合があります。
・3D立体映像の見え方には個人差があります。
【販売元】東映株式会社【発売元】東映ビデオ株式会社
【新作映画紹介】
『樹海村』
2021年2月5日(金)公開
山田杏奈 山口まゆ
神尾楓珠 倉悠貴 工藤遥 大谷凜香
山下リオ 塚地武雅 黒沢あすか 高橋和也
安達祐実 原日出子
國村隼
監督:清水崇
脚本:保坂大輔 清水崇 企画プロデュース:紀伊宗之
©2021「樹海村」製作委員会
公式サイト
https://jukaimura-movie.jp/
予告編
【関連商品】
「樹海村」<小説版>
『犬鳴村』Blu-ray
【関連作品】
今なおホラーファンの間で語り継がれる清水崇監督の伝説的傑作、ビデオオリジナル版『呪怨』『呪怨2』がデジタルリマスター版でBlu-ray 1枚に収録され、2021年2月10日(水)にリリースされた。
「呪怨 the original Blu-ray」<デジタルリマスター版>[Blu-ray]
清水崇の長編初監督作品であり、またJホラー黎明期にVシネマとして登場しながら、あまりの恐ろしさが話題となり、口コミで広がった“恐怖”が伝説的な体験として語られた「呪怨」「呪怨2」。その後、清水崇監督自身による劇場映画が作られ爆発的なヒットを記録したのみならず、遂にはハリウッドでも清水監督自身による映画が製作され大ヒットとなった。
その後同タイトルを冠した関連映画や、ゲーム、ノベライズ、コミック、配信作品がいまも尚次々に制作され、Vシネマ版製作から20年を経た今もなお、その恐怖が脈々と引き継がれる唯一無二のシリーズとなっている。
いまやその名を知らぬものはいない、シリーズの原点である伝説のVシネマ版「呪怨」2タイトルをデジタルリマスター版でBlu-ray 1枚に収録!
Jホラーの原体験ともいうべき、その圧倒的な恐怖が禍々しくも鮮やかに蘇る!
【収録作品】
「呪怨」
【キャスト】栗山千明、三輪ひとみ、三輪明日美、洞口依子、柳ユーレイ
「呪怨2」
【キャスト】大家由祐子、芦川誠、藤井かほり、斎藤繭子、柳ユーレイ、ダンカン
【商品概要】
「呪怨 the original Blu-ray」<デジタルリマスター版>[Blu-ray]
【収録作品】
「呪怨」
【キャスト】栗山千明、三輪ひとみ、三輪明日美、洞口依子、柳ユーレイ
「呪怨2」
【キャスト】大家由祐子、芦川誠、藤井かほり、斎藤繭子、柳ユーレイ、ダンカン
【スタッフ】脚本・監督:清水崇
2000年作品 (C)東映ビデオ
●音声特典 ◆オーディオコメンタリー(対談:清水崇監督×豊島圭介監督)
※コメンタリーは2009年発売のDVDに収録されたものとなります。
●映像特典 ◆Vシネマ予告編
BSTD20400/3,800円+税/COLOR/本編146分/2層/1.リニアPCM(ステレオ) 2.ドルビーデジタル(コメンタリー:ステレオ)/4:3【1080i Hi-Def】
清水崇原案・監修「呪怨 白い老女」「呪怨 黒い少女」新価格で発売!
「呪怨」製作10周年にあたる2009年に清水崇原案・監修のもと誕生した、「呪怨 白い老女」「呪怨 黒い少女」の、2作品のDVDもこのタイミングにお求めやすい新価格になります。
2021年2月10日(水)発売 (価格変更)
「呪怨 白い老女」[DVD]
【キャスト】 南明奈 鈴木裕樹
みひろ ・ 中村愛美 福永マリカ 雨宮チエ 星野晶子 鈴木卓爾 ムロツヨシ ・ 宮川一朗太
【スタッフ】 原案・監修:清水崇
プロデューサー:一瀬隆重
監督・脚本:三宅隆太
2009年6月公開 (C)東映ビデオ・ドワンゴ
●映像特典 ◆メイキング ◆劇場予告 ◆テレビスポット
DUTD02986/2,800円+税/COLOR/本編61分/片面1層/1.主音声:サラウンド 2.主音声:ステレオ/16:9 LB
※15歳以上がご覧になれます。
「呪怨 黒い少女」[DVD]
【キャスト】 加護亜依 瀬戸康史
中村ゆり ・ 高樹マリア 松本花奈 中園友乃 次原かな 重山邦輝 松嶋亮太 ・ 勝村政信
【スタッフ】 原案・監修:清水崇
プロデューサー:一瀬隆重
監督・脚本:安里麻里
2009年6月公開 (C)2009東映ビデオ・ドワンゴ
●映像特典 ◆メイキング ◆劇場予告 ◆テレビスポット
DUTD02987/2,800円+税/COLOR/本編60分/片面1層/1.主音声:サラウンド 2.主音声:ステレオ/16:9 LB
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