映画『オカムロさん』10/14公開記念!松野友喜人監督インタビュー!23歳で監督デビューできた裏側、ゴア描写へのこだわり。

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それは集団首狩り事件から始まった。
日本都市伝説史上最大のタブー、禁忌を完全映画化した、サイゾーによるホラー映画プロジェクト第2弾『オカムロさん』が2022年10月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ 他に全国ロードショーされる。

この映画の公開を記念して、「cowai」では、若干23歳の松野友喜人監督に単独インタビューを敢行した。



『オカムロさん』本ビジュアル





『オカムロさん』首狩り予告編










映画『オカムロさん』10/14公開記念
松野友喜人監督、単独インタビュー





卒業制作から、いきなり23歳で商業映画監督デビューできた裏側


『オカムロさん』メインスチール ©️2022 REMOW




――『オカムロさん』、面白かったです。正直もっと新人らしい荒削りの作品かと思ったのですが、良い意味で予想を裏切るエンタテインメント作品であり、なおかつホラーとして、こだわる部分は徹底してこだわっている、見ごたえのある作品でした。

松野友喜人監督: ありがとうございます。商業映画で自分の作家性がどうなるのか、正直、不安要素はあったんですが、完成した作品を改めて初号試写で見て、けっこう楽しめましたので、安心しました。まだまだ心配なところはあるんですが、公開されたら何の言い訳もできないというか、「これが僕の作品です」という自信を持って言える作品になったと思います。

――これまで監督したのは、大学の卒業制作『全身犯罪者』のみという。そこから、23歳でいきなり長編の商業映画監督デビューとは、今の日本でもなかなか珍しいと思いますが、事の成り行きから教えて下さい。

松野監督: 仰る通り、大学の卒業制作で作った『全身犯罪者』がきっかけでした。この作品が(大学の)芸術学部長賞という首席みたいな賞をいただいたんですけど。首席なのに卒業制作展での上映が禁止という、上映できないことになってしまったんです。もう前代未聞というか歴代初で、それなら映画祭に出そうとなって、応募したカナザワ映画祭やゆうばり国際映画祭で上映していただき、カナザワ映画祭で観客賞をいただきました。実は観客賞は、当初の賞にはなかったんですけど、その時作っていただいて受賞しました。そのカナザワ映画祭伝いでプロデューサーから、今回のお話をいただきました。

――『全身犯罪者』はなぜ卒業制作展で上映できなくなったのでしょうか。

直接的な描写でNGになることはないそうなんですけど、実在の犯罪者がモデルといいますか、それを登場させてしまったので、ちょっと倫理的に駄目と。上映禁止になったみたいです。

――犯罪者の名前を出した?

松野監督: いえ、劇中で名前は出していないんですが、明らかに“見た目”がそうだなみたいな。カルト宗教の教祖とか、三億事件の犯人とか、いろんな犯罪者が来る話なんです。

――犯罪者が“来る”?

松野監督: はい、タイムマシーンで過去から現代に連れてきて、会議をするっていう。

――面白いですね。

松野監督: その犯罪者の役を全部、自分が演じたんです。

――(笑)

松野監督: 登場人物が11人ぐらいいたんですけど、1人11役で(笑)。
当初は役者さんを立てて撮る予定だったんですけど、新型コロナウイルスの状況で撮影にあんまり人を呼んじゃいけないみたいな制約があって、しかも内容が内容なので、もう自分で全部演じてしまえば責任も全部自分で負える、ということで、1人11役全部演じたんです。
同じ場面に一度に5人の犯罪者が映ったりして、そういう場面は1人ずつ合成していくという形で、かなりVFXを駆使していましたので、結果として技術的なアピールもできたのかなと思っています。

――その段階から、ご自身のアイデアやビジュアルイメージを正確に表現(視覚化)できる技術力があったわけですね?

松野監督: そうかもしれません。三億円事件の犯人では、(犯人が偽装した)白バイ警官とかの服装も作って。100均でヘルメットとか買ってきて、コスチュームを作ってたんですけど、実際の三億円事件の犯人もこうやって作ってたんだと、感じながら、やっていました。

――そんな一人でコツコツ作った、でも上映禁止まで食らった作品が、商業作品の監督につながるわけですから、人生わかりませんね。

松野監督: そうですね。こんな映画を撮らせていただける機会があるんだって、想像もしてませんでした。











百武朋らベテラン・スタッフと作り上げた
オカムロさん”のビジュアル

©️2022 REMOW




――具体的に監督のオファーはどんな感じで?

松野監督: 「オカムロさんという都市伝説をテーマにした映画を(監督に)どうですか」と。正直(オカムロさんの)存在を知らなかったんですけど、もちろん都市伝説は元々好きだったので、迷いもなく、首を縦に振ったという感じです。

――『オカムロさん』のプロデューサーは『全身犯罪者』を見て、どの辺りに監督の可能性を感じたんでしょうか。

松野監督: 勝手な想像ですけど、(『全身犯罪者』で)「津山三十人殺し」(※『八つ墓村』などのモデルになった大量殺人事件)の犯人が和室で日本刀で首を斬るシーンが出てくるんですけど。懐中電灯を頭に付けて。個人的にはそのシーンと、オカムロさんが和室に来て首を斬るイメージが結びついたんじゃないかと思ってます。

松野監督: それと、『全身犯罪者』も荒唐無稽といいますか、結構いろいろポンポン展開していくので、そのテンポ感みたいなものが、作家性として評価していただけてるなら嬉しいですね。

――作家性というと、難解だったり、芸術作品をイメージされる人も多いですが、実際はエンタメにも作家性はありますからね。

松野監督: ですよね。大学でもそういった(難解な)作品がほとんどだったので、そういうのはやりたくない、違うことをしたいなって思っていました。だから、『全身犯罪者』はめちゃくちゃやってやろうと(笑)。ただ、題材がショッキングでも、ある程度エンタメといいますか、より多くの人に見ていただきたい面があって。自分がどっちのジャンルも好きなので、そのいいとこ取りではないですけど、合わせたものができたかなと思っています。

――その辺りは、割と『オカムロさん』と通じるところがありますね。

松野監督: そうです。

――『オカムロさん』は都市伝説なので、元のストーリーはほとんどないと思いますが、脚本はどのように作られたのですか。

松野監督: 最初は、笠をかぶった妖怪が外から来て、戸を叩いて、(相手が、ルールにある言葉を)二回か三回唱えると帰る、何も対応しなかったら首を斬るっていう要素しかなかったので、逆にそこからいろいろ広げていけました。とりあえずプロットから第一稿を書き上げて、いろいろご意見をいただいて改稿を重ねていきました。最終的に十何稿、20稿近くですね。(予算の都合で)いろいろ削られたりとかももちろんありつつ、最終的には納得したといいますか、「これだ」ってものになりましたね。

――『オカムロさん』のビジュアルは?

松野監督: 伝えられるビジュアルも、調べてみると数枚程度しか出てこなかったので。あえてそこから都市伝説を作っていくじゃないですけど、自分なりのアイデアを盛り込んでイメージを膨らませていきました。今後、このビジュアルが定着していったら面白いですね。


©️2022 REMOW




――スタッフには、キャラクター造形に百武朋(※『牛首村』などの清水崇作品や『ミスミソウ』『貞子vs加耶子』などで知られる特殊造形・特殊メイクアップ・アーティスト)らベテラン・スタッフが参加されていますが、オカムロさんのデザインや造形はどのように決めていったんですか。

松野監督: 最初、百武さんや関係するスタッフの皆さんにお会いした時、「どういうイメージ持たれてますか」って聞かれて、「自分の中では(オカムロさんには)笠をかぶった、日本の武士の要素がイメージにあります」と伝えたところ、「わかりました」って、一からコンセプトアートを描いていただいて、少しずつお話させていただきながら作り上げていきました。

――作品はかなりの低予算と思いますが、想像以上に、オカムロさんの造形や描写もリアルで迫力がありました。

松野監督: ありがとうございます。やっぱりメインビジュアルで、タイトルロールなので、オカムロさんには力を入れたいと思いました。本当に限られた予算の中で、かなり難しいところではあったんですけど、皆さんの協力で、いろんなシーンを撮れましたね。
特に、冒頭のキャンプのシーンと、クライマックスのラストバトルという、二つの重要なシーンは作品のバランス的にも思い切りやりたいなと思いました。この二つのシーンは特に手間をかけましたね。


©️2022 REMOW










ゴア描写の満足度を高めたい。
“首狩りシーン”へのこだわり




――あと、こだわりが感じられたのが、生首のシーンです。

松野監督: やっぱり“首狩りホラー”ですから(笑)。間接的に描写するとかじゃなくて、もっとストレートにギロチンを映したいなという思いがありました。ちゃんと切断面を見せたいって。
もともと内容よりビジュアル先行で考えてしまう節があるので、脚本段階で、こういうシチュエーションで殺して、こう血を流したいなみたいにイメージしたシーンが多いです。

――具体的には、どう撮られたんですか。

松野監督: 現場では血のりとか造形物をほとんど使っていないんです。具体的には、撮影した首から上をVFXで全部消して、その上に3DCGの断面や血を合成しました。さらに、そこに、死ぬ俳優さんの顔をスマホでスキャンして、3Dデジタルの生首を作るという。本物の俳優さんのスキャン・データからリアルな生首を作る部分には、ちょっとこだわりました。血のりも(VFXの映像制作会社)スタジオ・バックホーンの鹿角(剛)さん(『激怒』『牛首村』)ら血のりに強い人に、一部ですが、ブラッドエフェクトをお手伝いしてもらいました。

――ポストプロダクションにより時間をかけた?

松野監督: そうですね。現場はスピード勝負で撮って、後処理に時間をかける方がいいなと思いました。元々、『全身犯罪者』の時も(後処理の)VFXが多かったので、その経験を生かしたつもりです。現場的としては、生首とか血のりとか、そういったシーンの95%ぐらいがデジタルのつもりだったので、特殊造形とかはないですね。
(目の前に何もない状態で撮影したので)俳優さんは演じるのが大変だったと思います。
ただ、実際の編集にはかなり時間がかかってしまって、(完成品の納期の)直前まで作業してましたね。そこは妥協できないので。

――映倫の審査などもあり、商業作品のホラーはなんでも過激にさえ見せればOKというわけにはいかないと思います。その辺り、本作のゴア・シーンは制約がある中でも、衝撃度を高める工夫が随所に施され、ホラー・ファンも納得できる仕上がりになっていると思います。

松野監督: やっぱりホラー映画って、僕もそういった描写を楽しみに見に行きますよね。なによりゴア的なところを見たいんですよ。だから、そういうところが弱いと、自分的にもがっかりしてしまうので、そこの満足度は高めたいと思いました。だから過去の作品の研究はもちろん、もう細目でグロ画像とかを検索して(笑)、ゴア・シーンも自分なりにちゃんと作りたいと思って、かなり考えましたね。


©️2022 REMOW




――スプラッター描写などで影響を受けた作品は?

松野監督: リメイク版の『13日の金曜日』がとても好きで。オリジナル版も好きなんですけど、リメイク版では、オリジナルの1から3のタイトルまでの5~10分ぐらいを全部すごいテンポ感で詰め込んでいるのがかっこいいなと思いました。なので、『オカムロさん』で、タイトルが出るまでにキャンプ場でどんどん人が殺されていくっていうのは、リメイク版『13日の金曜日』の影響を受けています。

――後半のバトル・アクションもかなり頑張っていますよね。


©️2022 REMOW




松野監督: 脚本を改稿するにつれ、だんだんアクションの規模が大きくなっていったんです。脚本の段階からアクション監督の三元(雅芸)さんと一緒にシーンを話し合いました。三元さんからは「この武器ならこういう戦い方ができてる」とか、「このキャラはこういう心情でこの武器を使える」とか、立ち回りとか、かなりアイデアを提供していただきました。しかもビデオコンテまで作っていただいて、それをもとに(俳優は)各自トレーニングをしていったんです。現場でもアクション・シーンは基本的に三元さんに監督していただいて、僕は表情とか細かな部分の演出をしていました。

――アクションの監督は三元さんとはいえ、監督の脚本段階のイメージがシーンのベースですよね。

松野監督: そうですね。自分の頭の中のイメージを具体的にしていただいたという。

――卒業制作の『全身犯罪者』から一転して、プロの現場はいかがでしたか。

松野監督: 本当にいい現場だったと思います。
『全身犯罪者』を撮った時は、自分一人で撮影することとかもすごく多かったので、今回、スタッフさんが何十人もいる現場がまず初めての経験で、しかも全員年上(笑)。自分が最年少っていう状態がそもそも緊張しますし、役者さんを演出させていただくこと自体も初めてだったので。全て未経験のことばかりで、よくやれたというか、(現場のスタッフが)温かくて、一番ペーペーの自分を支えてくださって、感謝しかないですね。

――ベテラン・スタッフが支えてくれたのは、監督に才能があるからだと思います。でも、そうそうたるスタッフを前にして委縮することなく、前半は都市伝説ホラー、後半はバトル・アクションと、新人監督としてはかなり思い切った、大胆な構成で撮りましたね。

松野監督: 基本的にホラー映画とか邦画も好きなんですけど、同時に僕は、マーベル映画とかDC映画とかヒーロー映画も好きなんです。なので、後半はそういったヒーローもののタイマン・シーンを意識して作りましたね。

――だから後半は決め決めの構図とか、かっこいいカットが多いんですね。

松野監督: はい。ホラーばっかりじゃなくて、ヒーローもののエンタメ性もあって、いろんな要素が詰め込まれているので、それぞれのファンの方にも見て楽しんでいただけたら嬉しいです。

――主演の吉田伶香さんはいかがでしたか。

松野監督: (吉田さんは)唯一、オーディションで選ばせていただきました。本当に演技が良くって。オーディションでは、簡単な脚本でお芝居をやってもらったんですけど、感情がマックスに来るタイミングで涙を流されて。劇中でも、あるショッキングなシーンで、その瞬間に泣いていました。
アクションもオーディションで少し見せていただいて、すごく良かった。アクション監督の三元さんも「筋がいいですね」「トレーニングしたらもっといいものになると思います」って褒めていました。


©️2022 REMOW




松野監督: あと、他の方がオーディションしている時、吉田さんだけはすごいワクワクした顔といいますか、なんか笑ってて。最初なんで笑っているんだ?と思ったんですけど(笑)、その余裕というか、フレッシュさもあって、何かすごいものを持ってる感じがしました。オーディションで僕は一番推していましたし、他の方も同様で、満場一致で吉田さんに決まりました。

――武道の達人、綾子役の伊澤彩織さんはいかがですか。

松野監督: 伊澤さんは日芸(日本大学芸術学部)の先輩なんですよ。

――そうなんですか。

松野監督: 同じゼミという一番狭いところの先輩で、僕が在学してる時から、『ベイビーわるきゅーれ』とか、伊澤さんの作品を拝見していて、存在は知ってたんですけど、カナザワ映画祭で初めてお会いして、ご挨拶させていただいて。それから一年ぐらい経って、作品に出ていただけることになりました。
現場でも、本当に楽しんでアクションされてる方だなっていうのが、すごく伝わってきましたね。


©️2022 REMOW




――最後に、観客に向けてあとメッセージをお願いします。

松野監督: 『オカムロさん』では、なにより首狩りシーンに一番力を入れています。変に逃げずに、もう正面からひたすら首狩りを作り込んだので、繰り返し見てほしいなと。
あとは、いろんなジャンルが混在した映画になっていると思うので、ホラー好きな方も、苦手な方も、どちらにも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
“オカムロ・パンデミック”じゃないですけど、社会現象みたいな感じになれば面白い作品と思うので、ぜひ多くの皆さんに見ていただきたいです。

――ありがとうございました。








次回予告
映画『オカムロさん』10/14公開記念企画第2!
伊澤彩織(武道の達人・綾子役)単独インタビュー!!













INTRODUCTION
日本都市伝説史上「最大のタブー」禁忌の映画化。
オカムロ来りて首を狩る。現代に蘇る打ち首獄門地獄。
全世界が震撼する、衝撃の「生首ホラー」誕生。





江戸時代から言い伝えられる都市伝説が現代に蘇る!オカムロという名を聞いたり話したりすると必ず現れ首を狩られ殺される。
対処法はオカムロと 3 回唱えることー。


©️2022 REMOW




『真・事故物件/本当に怖い住民たち』で映画製作プロジェクトをスタートしたサイゾーによるホラー映画プロジェクト第 2 弾は都市伝説をモチーフにした首狩りホラー!

本作は日本が生んだエッジーなコンテンツを世界に配信するレーベル「YABAI-ZE!」より世界配信も決定!


©️2022 REMOW



監督・脚本は 2021 年カナザワ映画祭で観客賞を受賞した期待の新人・松野友喜人。受賞した短編作品『全身犯罪者』は時空を超え、日本の著名な凶悪犯罪者たちに接触する異色作。日本大学芸術学部の卒業制作として制作され、学内で芸術学部長賞を受賞するも、卒業制作展では内容の過激さから上映禁止扱いとなった。


©️2022 REMOW




主演は今回映画初主演となり、2021 年 ABEMA『恋とオオカミには騙されない』に出演し、Saucy Dog「あぁ、もう。」の MV や CX「めざましテレビ」のイマドキガールとして同年代の男女を中心に人気を集める吉田伶香。


©️2022 REMOW




重要な役柄として大ヒットの記憶も新しい、『ベイビーわるきゅーれ』の伊澤彩織、『キングダム』『唐人街探偵 東京 MISSION』の六平直政も出演する。


©️2022 REMOW
©️2022 REMOW
©️2022 REMOW
©️2022 REMOW









【作品情報】


『オカムロさん』 okamurosan.com

監督・脚本・編集・出演:松野友喜人

出演:吉田伶香/バーンズ勇気/伊澤彩織/六平直政 他

制作プロダクション:シャイカー/製作:REMOW/配給:エクストリーム

2022 年/日本/カラー/DCP/サイゾー映画制作プロジェクト ©️2022 REMOW




2022年10月14日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ 他 全国ロードショー!











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