【読者プレゼント】『みなに幸あれ』ヒット記念!清水崇P×下津優太監督 対談インタビュー!サイン入りポスターを抽選でプレゼント!

pick-up インタビュー・コメント オススメ 単独インタビュー


「地球上の幸せには、限りがある――」
狂気に満ちていく古川琴音が怖すぎる


2021年日本で唯一のホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティション「日本ホラー映画大賞」(主催:KADOKAWA)の初大賞受賞作品である『みなに幸あれ』が、長編となり現在、全国で公開中だ。

この作品のヒットを記念して、「cowai」では下津優太監督(&原案)と清水崇総合プロデューサーの対談インタビューを敢行。さらに、二人のサイン付きポスターを抽選で1名様にプレゼントします!(応募方法は記事の後半に掲載)




主演は、今最も注目を集める俳優の一人で、若手俳優の中でも確かな演技力で評価の高い古川琴音。古川自身初めてのホラー映画への出演となる。
メガホンをとるのは、「日本ホラー映画大賞」にて同名タイトルの短編映画として大賞を受賞した下津優太。商業映画監督デビューにして、早くも世界各国の映画祭で称賛を浴びており、今までに観たことのない斬新な恐怖の世界を創り上げている。
そして、総合プロデュースを手掛けるのは、日本ホラー映画界の重鎮である清水崇。



©2023「みなに幸あれ」製作委員会








「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」

人類の宿痾と言ってもいい根源的なテーマが根底に流れ、とある村を舞台に、この世界の特異な成り立ちに疑問を持った古川演じる主人公が行動を起こすも、逆にどんどん追い込まれていく様を描き、「この世界にはある法則が存在する。それを知らないと死ぬことになる…。」という得体の知れない恐怖と対峙していく―。







『みなに幸あれ』ヒット記念
清水崇 総合プロデューサー × 下津優太 監督

対談インタビュー





――長編映画『みなに幸あれ』とても面白かったです。Jホラーの新しい可能性が実感できました。

下津優太(原案・監督) ありがとうございます。
清水崇(総合プロデューサー) ありがとうございます。

――KADOKAWA製作のホラー映画と言うと、どうしても小説の映画化をイメージしますが、これは主催のコンペティション「第一回日本ホラー映画大賞」の大賞受賞作(11分の同名短編)が原作となります。世界でも類を見ないコンテストですが、清水崇さんは、大賞の選考委員長も務めています。

清水 元々(「日本ホラー映画大賞」)はKADOKAWAに在籍する小林(剛)プロデューサーがホラーが大好きで、そういう(個人的な思いの)ところから始まっているんです。
だから(賞を)立ち上げる時、小林さんから「選考委員で入ってほしい」とお声がけいただき、ならば僕だけでなく、音楽や評論家やアニメや俳優…様々な分野からホラーを愛好する方々を選考委員に招きましょう、と。でもまあ、僕が一番(大賞の監督と)同業種なので、ライバルを増やす手助け…つまり、自分の首を絞めるような事をしているんですけど(笑)。でも、僕も「いつまでも『リング』の中田か『呪怨』の清水ではいけない…」と感じていたし、新たな日本のホラーを生み出せる才能を発掘するということであれば、ぜひ立ち会いたいし、協力したいとお引き受けしたんですね。
あと、限られた予算ですけど、グランプリ取った人が副賞で、「長編監督デビューできる」という冠も素晴らしいと思いました。

――そして第一回の大賞に選ばれたのが下津監督の短編「みなに幸あれ」。





ーー下津監督としては、元々出来ていた作品を応募したのですか。それとも今回応募しようと思って作品を作られたのですか。

下津 後者ですね。これ(コンテスト)を見つけて応募してみようと思って作りました。

清水 僕、それ今知ったので(笑)嬉しいです。このホラー映画大賞のために、(『みなに幸あれ』の)発想が生まれ、作ってくれたんだって思ったら、感慨深いですね。同時に「すげえな、悔しいな」って嫉妬の気持ちも少しあるんですけど(笑)。

下津 そうなんですか(笑)。

――応募作のスケジュールはどうだったんですか?

下津 (2021年の)夏ぐらいに(募集を)知って、締め切りが11月末だったんですけど、その間、本当にずっと企画を考えていたんですけど……。こういうコンペってたぶん、「すごくいいアイディア」か、「すごく怖い」か、どっちかあれば、僕は「通るな」と思ったんですよ。でも、3ヶ月経ってもどっちも浮かばなかった(笑)。じゃあ、ちょっと方針を変えて、逆に「この監督の長編が見たい」って思わせる作品を撮ろうと思って。

清水 まさにその手法が成功したわけです。

――応募締切も近づく中での、脚本と撮影だったんですか?

下津 はい。たまたま都市伝説で「地球上感情保存の法則」(※註 地球上に幸福な人と不幸な人がいる場合、それを足し合わせるとゼロになるという法則)を知りまして、もしその法則が本当なら「意図的に不幸な人を作り出してしまえば、自分たちの幸せが手に入るよね」っていうアイデアから、(ストーリーを)展開して(脚本を)作っていきました。撮影場所は長編と同じ地元の福岡県で、地元の大学生とか知り合いにスタッフと出演者をお願いしました。

――タイトルの『みなに幸あれ』はどの段階で出てきたんですか。

下津 これは最後ですね。編集も終わって、最後、「タイトル、何てしよう」って考えた時に浮かびました。ちょっと皮肉さもあり、つかみもあるかなと。

清水 このタイトルから「どんな映画だろう」って見る人が、まさかのこのアイロニックな世界観にやられて、引きずると思うんですよね。また、この感覚は世界中で通用するんじゃないかと。

――実際、ファンタスティック映画祭の名門、シッチェス・カタロニア国際映画祭のコンペティションにノミネートされているわけですからね。デビュー作でいきなりシッチェスは素晴らしい。

下津 シッチェスの観客は本当にリアクションがすごくて、みんな、すごく盛り上がっていましたね。うれしかったです。


©2023「みなに幸あれ」製作委員会





清水「観る前の自分に戻れなくなるぐらいの、何かトラウマを植え付けられたような不気味な怖さがあって素晴らしい」
下津「僕としては本当にやりたいことをすべて詰め込ませてもらった感じですね」

©2023「みなに幸あれ」製作委員会



――それで見事大賞を勝ち取った後は、長編監督デビューとなりますが、これは最初から受賞した短編『みなに幸あれ』を長編化する予定だったんですか。

清水 いや、最初は(選考委員会でも)長編デビュー作をどうするかは全く決まっていなかった。

――別の新たな長編の企画の可能性もあった?

清水 そうです。取り決めもなく、応募した短編をそのまま長編にしなくても全然よかった。ただ、下津監督から、「短編の『みなに幸あれ』と同じタイトル、同じ題材で長編化したい」と。

下津 そうですね。僕が言いました。

清水 僕も授賞式が終わった後、小林プロデューサーとお話した際、その話を聞きました。

僕も『みなに幸あれ』が長編に耐えうるテーマだと思いましたし、(注目された)短編を長編にするのって、「ああ、やっぱり何か人ってそうなるのかな」って。僕も『呪怨』は最初、短編っていうかショートショートだったので(「4444444444」)。3分のものを広げて、(ビデオオリジナルの)『呪怨』になっていたので、やっぱり初期衝動というか、「俺はこれで行くんだ」っていう力って大事だと思います。僕も下津監督の案に「それは楽しみだな」「何か自分もサポートできたら…」という感じで、総合プロデューサーとして関わりました。

――清水さんは長編映画『みなに幸あれ』を見て、どんな感想を抱きましたか。

清水 脚本作りには関わったし、勿論知ってはいたんですが…完成作を観終わると、(上映された)90分足らずの間に、観る前の自分に戻れなくなるぐらいの、何かトラウマを植え付けられたような不気味な怖さがあって素晴らしい…と思いました。

下津 ありがとうございます。

――同じJホラーでも、清水監督の作品と、下津監督の作品のテイストは異なると思いますか、それとも似ていますか。

清水 僕はどうしても幽霊とかお化けが好きで出しがちで、そういう襲ってくる対象がいる。でも、この作品にはそうしたモンスター物とかゴースト物とは違う、いわゆる「世界観の怖さ」があって、そこが新しいし、社会風刺もわかり易い。下津監督がおっしゃっていた、何とかの感情の法則…なんでしたっけ?

下津 “地球上感情の法則”。

清水 そういう発想自体はあったとしても、それを具体的に映像作品の形に落とし込んだのってなかったと思います。言ってみれば星新一のSFみたいな世界を、ここまでがっちり作れたのは斬新だなと。

――下津監督は『みなに幸あれ』の短編から長編への脚色をどう行ったのでしょうか。

下津 まず、脚本家の角田(ルミ/『ミンナのウタ』脚本)さんを紹介いただき、一緒に作っていって、清水監督のご意見ももらいながら、脚本としてまとめていった感じです。

――短編の脚本は11分という短さもあって、オーソドックスで抑えめだったと思いますが、長編の劇場用映画になってホラーとしてもかなり凄惨で派手な見せ場が増えました。そのあたりは最初から意図されていたことなんでしょうか。

下津 そうですね。大枠はやはり僕が「これ、やりたい。あれ、やりたい」って、好き放題に言って、それを角田さんに形にしていただきました。清水監督からは、観客が見ることを意識した脚本作りのコミュニケーションとか、いろいろ貴重なご意見やご指摘をいただきました。僕としては本当にやりたいことをすべて詰め込ませてもらった感じですね。

――清水さんからは、具体的にどんなアドバイスが?

清水 僕からは「(脚本を読んで、このシーンが)これだと、観客に伝わらないんじゃないか」とか、「ここ、どういう画で撮るつもりなのか、よくわからない」とか、普段、僕がプロデューサーから突っ込まれているようなことを、逆に下津監督に言っている感じでした。でも下津監督も、自分の中ではっきり(画が)見えてるものは、「いや、これでいきたいです。これでいかしてください」「いや、これは大丈夫です」ってちゃんと突っ張る。そういうところがないと駄目なんですよ。僕も『呪怨』の時そうだった。(ビデオオリジナル版『呪怨』の監修の脚本家)高橋洋さんから「これ、何が怖いのかわかんない」とか「お前の言ってることはわかんない」って言われて、でも僕も自信を持ってるところは「いや、これでいきます」って突っぱねた。そういう初期衝動って、新人監督のセンスが見出されるから、突っ張ることも必要なんですよ。


©2023「みなに幸あれ」製作委員会




清水 脚本に関しては、角田さんに入ってもらったけど、監督がまたその後、細かく手直しされたりして。この世界観はやっぱり下津監督ありきだし、そこを壊したら意味がない。普通だったら、「そこは切るだろう」とか、「いらない」って言われそうなところも、監督が「残したい」のなら残さないとダメだし、できるだけ監督のやりたい方向へそのまま行って欲しかったんです。結果的に面白くなったと思いますね。これからどういう風に一般のお客さんの感情を逆なでするのか、どんどん混乱させて、かき回してほしいという気持ちがあります。

――ホラー映画で若い女性が久しぶりに田舎に帰って怖い体験をする…というストーリーで誰しも考えるのは、特別なお祭りであったり、昔話や因習があったりとか、そういうことを想像しちゃうんですけど、いい意味での裏切りで、とんでもないものが待っていたというのが見事だと思いますが、それは意識されましたか?

下津 はい。どこまで伝わっているかわからないですけど、初めの(物語の)入りはこの村の出来事なのか、家族の出来事なのかって思うんですけど、一応設定としては、こういうことがもう世界中で起きている…という比喩表現なんです。この村に限らず、実は世界中で起きていることを、この一家の孫の視点で見せていくという。

――なるほど。あえて、核心の部分をにおわせないように?

下津 まあ、厳密に説明してしまうと、「“いけにえ”はどこから連れてきたの?」だとか、「いったい誰なんだ」とか、その辺まで深堀りすると、いろいろ複雑だったので、説明しないところは省きつつ押し切りましたね。

清水 僕も最初は同じように突っ込んで、指摘してました。が、下津監督と話しているうちに、そこは映画の力で貫き通せれば…と理解しました。正直、何の矛盾もない映画なんて見たことないですしね。皆気付いてないだけで。ツッコミも当然出ると思うんですけど、それでいい作品だと思います。世の中自体が不条理だし、おかしいし、この題材は現実と繋がって結びつけて考えてもらえると思います。たとえ全部説明したとしても納得できるわけでもないですから。


©2023「みなに幸あれ」製作委員会








清水「下津監督は画というか、世界観がきっちり構築できている人」
下津「正直、割とイメージ通りに撮れました」

©2023「みなに幸あれ」製作委員会


――タイトルもそうですけど、言葉の怖さみたいなものも感じました。祖母の言う「今幸せかい」っていう問いかけも、呪いの言葉みたいに聞こえます。

下津 やっぱり「普通の言葉が怖く聞こえる」、あるいは「普通の状態が怖く見える」っていうのが、ホラーとしてベストな気がします。あのセリフも実は4回ぐらい出てくるんですよね。冒頭の(孫の)幼少期、次に大人になってから、あと、逆に孫が中学生に問いかける、そして最後に、孫と関わりのある人物から、言葉は少し違いますけど、聞かれる。その4回でだんだんと言葉の意味が変わってくるといいますか、その辺も楽しんでいただければ。

清水 通常ポジティブな言葉が、世界観とか受け手のリアクションや描きようによって、うら寂しく、さらには怖く感じてくるっていう感覚、僕も大好きなんです。そんな捻くれた違和感の掴み方に関しては、下津監督とは趣味が合うというか、そうした皮肉なニュアンスを、ちゃんと捉えたセンスを持っている。

©2023「みなに幸あれ」製作委員会




――下津監督は初めての長編映画ですが、撮影で苦労された点、大変だったシーンはありますか。

下津 正直、割とイメージ通りに撮れましたね。大変と言えば、時間(のやりくり)かな。

清水 予算と時間じゃないですか。

下津 時間がないのはわかっていたので、事前にカット割りを全て写真で撮って、写真コンテにして進めていきました。それがなかったらちょっときつかったかもしれないですね。

――撮影は何日ですか?

下津 8日間です。

――あの脚本のボリュームで8日間はけっこうハードですね。

清水 でも、Vシネの『呪怨』なんか、二本で9日だから(笑)。

下津 そうなんですか。

清水 ワンツー同時に9日間、やばかったっすね。

――まあ、手抜きすれば可能ですけど、『呪怨』ですからね。

清水 手抜きも何も初挑戦なんでわからない。コンテなんて時間もなかったし、とにかく大変でした。美術とかも、一応頼んでるけど、担当スタッフは素人で(予算の都合もあって)結局、自宅で徹夜して作って、持ち込んでいた。

――長編デビューの苦労をわかっている清水さんだけに、撮りきれるかどうか、って心配だったんじゃないですか。

清水 そうですね。心配だから、僕(の作品)によくついていただいているベテランの演出部に入ってもらいました(助監督の毛利安孝、川松尚良)。各々、監督作もある彼らが現場を支えて頑張ってくれた。もちろん下津監督は画というか、世界観がきっちり構築できている人なんで、あとは監督のセンスと乗り切る力を信じるしかなかったですね。

――新人監督の現場だと、良かれと思って周りがいろんなことを言い出します。

清水 意見に左右されて、結局何がしたかったかわかんなくなっちゃった、みたいな作品はけっこうありますからね。

――そういう意味では下津監督は今も新人らしからぬ雰囲気で堂々としていますし、やりたいことは押し切るみたいな強さが感じられますが、出来上がった作品への手応えみたいなものありますか。

下津 一般の方がどう思うのかっていうのが一番ですけども、自分としては、自分の世界観は出し切れたのかなと思っています。


メイキング写真 ©2023「みなに幸あれ」製作委員会







清水「主演が決まった時、僕は単純に「いいな!悔しい!」って(笑)」
下津「最後のクライマックスシーンだけはテイク20テイクぐらい撮って。芝居的に(古川琴音さんを)追い詰めたりとかしました」

©2023「みなに幸あれ」製作委員会



――キャスティングはどこまで監督の希望が叶ったんですか。

下津 全部ですかね。

――主演の古川琴音さんも?

下津 そうです。僕が希望しました。あと、主要なキャスト以外は、撮影地の福岡の皆さんで、全部オーディションで決めさせていただきました。

――古川さんには演技指導は?

下津 現場でもほとんど何も言っていないですね。彼女の方が業界では先輩ですし、経験値もあるし、演技力は間違いないと思っていたので。

――清水さんは、古川さんの印象は?

清水 主演が決まった時、僕は単純に「いいな!悔しい!」って(笑)。初の長編を琴音ちゃんで撮れるんだから、幸運ですよ。これまでも作品を拝見していたし、あの年にして本当にいろんな役柄をこなしている。僕自身も仕上がりが楽しみでしたね。

――日程的に順撮り(台本の順番通りに撮影する)でしょうか。

下津 大枠で順撮りですね。

――やっぱりヒロインが心情的に追い詰められていくプロセスのため?

下津 そうですね。心情の変化に沿って撮っていくことを重視していました。

――撮影は順調でした?

下津 はい。ただ、最後のクライマックスシーン、あそこだけはテイク20テイクぐらい撮って。けっこう回して、芝居的に(彼女を)追い詰めたりとかしました。

©2023「みなに幸あれ」製作委員会




ーー清水さんは最初から現場に入られたんですか。

清水 僕は現場に行けなかったんですよ。

――えっ、そうなんですか。

清水 予算のこともあって。僕も「えっ、俺が行けないの!?」って驚いたけど、プロダクション(弊社)のP(社長)から「あんたが現場行って何すんねん?行かせる予算無いで!」って言われて(笑)。行きたかったんですけどね。

ただ、古川琴音ちゃんとは撮影前に挨拶できて、「ごめんね、現場行けないんですけど」って謝って、でも「明らかに新しい才能を持っている監督だから、そこはどっぷり浸かって楽しんでもらえれば」と言いました。

――清水さんは、受賞した短編『みなに幸あれ』から、今回の長編映画をイメージできましたか?

清水 正直できなかったですね。言い方は悪いけど、もし (短編から長編に) ただダラダラ引き伸ばすだけの作品になっていたら、見た人から「短編の方が良かったじゃん」って必ず言われる。そうなったら下津監督が一番悔しいと思うんですよ。だから、そうならないようにしたいなっていう思いはありました。結果…とんでもない展開、予想もつかない作品にしてくれた(笑)。誰にもわかり易く、説明的な邦画も多い中で、誰にも媚びず、何の忖度も無しに、観客の気持ちへ投げ出し突きつけるような表現にも感銘しました。

――『呪怨』も最初は斬新すぎて、シーンによっては、高橋洋さんのように「わからない」といった反応があったと思います。

清水 やっぱり作ったもん勝ちというか。『みなに幸あれ』も、新しいセンスの誕生だと思います。

――そういう意味では、第1回の日本ホラー映画大賞に、清水さんが下津監督を選んだのはすごく象徴的だったような気がします。

清水 もちろん下津監督を選んだのは僕の一存ではありません。でも、いろんな選考委員の方々も同じ意見だったし、賞を主催しているKADOKAWAの小林プロデューサーも「納得」って感じだった。決まった時はね、タイトルじゃないけど、本当に「幸あれ」だった(笑)。ただ、下津監督の意図ではないと思うんですけど、これが公開された時、真っ先に悔しがるのは、第1回から応募してくれつつ、選ばれなかった監督たち。まさに大賞を取って“幸”を手に入れた下津監督が満を持して出す長編のタイトルが「みなに幸あれ」ドーン(笑)って。「てめえ、ふざけんなよ!」って彼らは絶対思いますよ。いや、思って欲しい。第2回の大賞を受賞した近藤(亮太)監督も、実は第1回にも応募して大賞は取りそこねているんです。別の賞だった。でも次も挑戦してくれて、2回目で大賞を取った。そっちはどういう題材になるかはまだ言えないですけど、撮影は既に終えています。だから、過去に選ばれなかった方も含め、今夏に応募を始める第3回で多くの方に挑戦してほしいですね。

ーーでは、最後にメッセージをお願いします。

下津 この映画を見ていただいて、自分の価値観だったり、既存の概念をちょっとぶっ壊していただきたいなというのが一点。あと、大それたことは言えないですけど、今ってオリジナル(作品)がほとんどないじゃないですか。そんな中でこういった形で、オリジナルの映画を撮らせてもらえたことは、すごく幸せなことだと思うし、もっとこういう流れがホラーだけに限らずできていくといいのかなと思っています。『みなに幸あれ』、よかったら見て下さい。

清水 いやまさに第1回のホラー映画大賞で、僕も選考委員長として名前を連ねた限り…「新しいホラーの世界観やセンスを探すんだ」っていう目的があったので、下津監督を選んだ時点で、妙な責務を感じていた。しかし、見事に応えてくれる作品が出来上がったと思います。

この作品を観て、日本ホラー映画大賞を知り、今後応募してくれる方が増えたり、たとえ賞に届かなかったとしても、「何くそ、もっと」って気持ちで、今までと全く違った独自のホラーの表現形体や世界観を模索してもらえたらな、と思います。公開された『みなに幸あれ』の影響と本作にどう続いて、どんな真新しい方が出てきてくれるか?とても楽しみです。

――ありがとうございました。










【読者プレゼント】『みなに幸あれ』ヒット記念清水崇総合プロデューサー&下津優太監督
サイン入りポスターを抽選で1名様にプレゼント!



<応募方法>


応募締め切りは2023年2月10日(土)
応募方法は、WEB映画マガジン「cowai」twitter公式アカウント(@cowai_movie)をフォローし、該当するプレゼント記事ツイート( https://twitter.com/cowai_movie/status/1753425093345370569 )をリポスト(RT)してください。



<抽選結果>

締め切り後に抽選を行い、当選された方に「cowai」公式TwitterアカウントよりDMで通知させていただきます。当選品は郵送する予定です。(諸般の事情や、災害、キャンセル発生等やむを得ぬ事情で遅れる場合があります)



皆様のご応募お待ちしています!



【応募の注意点】

〇当選後に住所の送付が可能な方のみご応募ください(日本国内のみ有効)。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
〇当選品は映画配給会社よりご提供いただいたプロモーション目的の非売品扱いとなります。このため、傷や汚れ等があっても交換はできませんので、ご了承ください。
※非売品につき転売目的のご応募は禁止とさせていただきます。
〇当選のキャンセルが発生した場合は再度抽選を行う場合があります。
〇抽選結果や抽選経過に関して個別のお問い合わせには応じられませんので、あらかじめご了承ください。






著名人コメント(敬称略、順不同)


©2023「みなに幸あれ」製作委員会




謎のような人たちが住む謎のような村の物語だが、古川琴音の迫真の恐怖表現が、この映画のリアリティを強力に押し上げていた。見事と言う他ない。我々はついに本物のホラー映画女優に出会った。

黒沢清(映画監督)



新しい世界観を生み出し続けるA24のような現代ホラー。
この映画は、明らかにそこに参戦している。
幸福ということが、どんな犠牲によって維持されているのか。
目を背けてきたものを見せつけられる怖さ。

瀬々敬久(映画監督)



「実際に現実に起こりそうなこと」に近ければ近いほどホラーは怖い。
その観点で考えると、この作品に勝るものはないのかもしれない。
だって画面の中で起きていることは「実際に現実で起きていること」だから。

オカモトコウキ(OKAMOTO‘S)



なんだこれは!心霊現象も殺人鬼も登場もしない、理解不能で常識を超えた新感覚の恐怖と嫌悪感。
監督・下津優太、日本ホラー界に新しい才能が誕生した瞬間をシェアすべし。
古川琴音、あなたは一体、どうしてこんな…

笠井信輔(アナウンサー)



動揺し、戦慄した。和製ホラーのゲームチェンジャーが来た…。
超高齢化社会に同調圧力、食糧難…狂的な現実に基づいた恐怖。
この異常な時代にふさわしい1本に、ついに出合えた気がする。

SYO(物書き)



こんなに不気味な映画は観たことがない。自分で閉じていた蓋をこじ開けられた感覚です。
幸せとは、一体なんなんだろう。

浜島直子(モデル)








<海外映画祭コメント>



強力なストーリー、独創的なアイデア、ダークユーモア、田舎暮らしという要素が、暗いホラー映画のレシピを完璧に完成させている。
(プチョン国際ファンタスティック映画祭 最優秀アジア映画賞 受賞)


コントロールされた演出力をもつ下津優太は、Jホラーの伝統を受け継ぐにふさわしい監督である
(Monsters Taranto Horror Film Festival最優秀監督賞 受賞)





【ストーリー】

©2023「みなに幸あれ」製作委員会



看護学生の“孫”は、ひょんなことから田舎に住む祖父母に会いに行く。久しぶりの再会、家族水入らずで幸せな時間を過ごす。しかし、どこか違和感を覚える孫。祖父母の家には「何か」がいる。そしてある時から、人間の存在自体を揺るがすような根源的な恐怖が迫って来る…。










映画『みなに幸あれ』
出演:古川琴音 松大航也
原案・監督:下津優太 総合プロデュース:清水崇 脚本:角田ルミ 音楽:香田悠真
主題歌:「Endless Etude (BEST WISHES TO ALL ver.)」 Base Ball Bear ※レーベルロゴ
製作:菊池剛 五十嵐淳之 企画:工藤大丈 プロデューサー:小林剛 中林千賀子 下田桃子
助監督:毛利安孝 川松尚良 統括:古賀芳彦 撮影:岩渕隆斗 照明:中嶋裕人 録音:紙谷英司 美術:松本慎太朗 
スタイリスト:上野圭助 メイク:木戸友子 CG:橘剛史
製作:KADOKAWA ムービーウォーカー PEEK A BOO 
制作プロダクション:ブースタープロジェクト 
配給:KADOKAWA
©2023「みなに幸あれ」製作委員会

■公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/minasachi/
■公式Twitter:@minasachi_movie




2024 年 1 月 19 日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開





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