第2回日本ホラー映画大賞・大賞受賞監督作品
総合プロデューサー 清水崇
監督 近藤亮太(「イシナガキクエ」) 長編映画デビュー/主演 杉田雷麟
2022年の年末に行われた、日本で唯一のホラージャンルに絞った一般公募フィルムコンペティション「第2回日本ホラー映画大賞」(主催:KADOKAWA)にて大賞を受賞した、近藤亮太監督の短編映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が、主演に杉田雷麟を迎え長編映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』として、2025年1月24日(金)より全国公開中だ。
作品の高評価が続出すると共に、公開劇場も増え続け、新時代のJホラー作品への注目度がさらに高まっている。
そんな本作のヒットを記念し、「cowai」では、総合プロデューサーを務めたJホラーの巨匠、清水崇と、本作で商業映画デビューを果たした近藤亮太監督の単独対談インタビューを敢行。作品の見所、魅力、撮影の舞台裏、Jホラーの未来について語ってもらった。
また、二人のサイン色紙を抽選で一名様にプレゼントする。(応募方法は記事の後半で紹介)
本作は、弟の失踪にまつわる一本のビデオテープに閉じ込められた、粗く不穏な映像に心底ぞっとするような、真の恐怖を体感できる、ホラーファン待望の、“新次元Jホラー”。
近藤監督は、『リング』シリーズの脚本家・高橋洋氏に師事。高橋氏の監督作品やNetflixドラマ「呪怨:呪いの家」でも助監督を務め、今年話題のテレビ東京ドラマTXQ FICTION「イシナガキクエを探しています」や新作「飯沼一家に謝罪します」で演出を務めるなど、ホラー界に彗星の如く現れた俊才として、今、最も熱い注目を集めている。主演は、近年話題の数々の映画・ドラマに出演し、今年公開の映画『プロミスト・ランド』に主演するなど若手注目俳優の筆頭の杉田雷麟。
Jホラーの全てを体に染み込ませて来た正統派継承者が、新たなステージに押し上げた“新次元Jホラー”に期待したい。
【特集「Jホラー新時代」】
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』ヒット記念!
清水崇 総合プロデューサー×近藤亮太監督対談インタビュー!《前編》
――『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』大変面白かったです。一見地味な作品ですが、スクリーンで観ると、その濃密な闇の深さや、繊細かつ巧みな音響効果で、久々にJホラー的な怖さと可能性を感じました。
近藤亮太監督 ありがとうございます。
――前作『みなに幸あれ』に続いて総合プロデューサーを務めた清水さんはいかがですか。
清水崇 総合プロデューサー 編集ラッシュの段階で一度見せてもらって、不安はなくなりましたね。(近藤監督を見て)あの時は音楽ついてなかった?
近藤監督 仮の音楽がついてましたね。
清水 仮の音楽だったんだ。でも全然違和感がなかった。ラッシュでも「あっ、これはいける」「よくこの低予算で、ちゃんと見応えあるものにしてくれたな」と思いましたね。
――絶賛ですね。
清水 僕もクレジットされてるんで、あんまり褒(ほ)めるのも身内贔屓(びいき)みたいでくすぐったいところはあるんですけど、でもやっぱりさすがだなと思いました。
――ホラーファンの間では、キャッチコピーの「ノーCG、ノー特殊メイク、ノージャンプスケア」が注目されましたよね。
近藤監督 コピーというか、僕が個人のSNSで勝手につぶやいただけなんですけど。
清水 こういうのって、作り手側が言わないと、宣伝が気づいてくれないんですよ(笑)。
近藤監督 本当は特殊メイクもジャンプスケアもCGも、見る分にはすごく好きなんですけど。自分が(映画を)作る上では、メジャー作品がそっちにいるのであれば、同じことをやっても意味がないなと思うし、自分が怖いと思う表現の仕方って、どちらかというと、もう少しアナログで、不鮮明なものだったりとか、静かなものだったりするので、あまり派手に盛り上げて、フィクション度を上げるより、多少地味と言われようとも、なるべくリアルに感じられるような表現にしたいなと考えて、結果的にそうなりました。最初からそれがコンセプトだったわけではありませんね。
近藤監督「本当に怖いものを作るために必要なこと」
――本作は、第2二回日本ホラー映画大賞で大賞を受賞した同名の短編を長編映画化したものですが、雰囲気的には大きな変更はありません。近藤監督が短編、長編を通して、この題材を選んだ理由を教えて下さい。
近藤監督 まず映画美学校時代を含めて5年ぐらい、高橋(洋『リング』脚本家)さんらに教わりながら、「本当に怖いものを作るには、どうやったらいいか」を考え続けていたのですが、なかなかうまくいかないかったんです。どうしても既存のJホラーや、自分が好きなジェームズ・ワンの映画とか、そういうものの影響下から抜け出せない。マネをしているだけじゃないか、というジレンマはありました。手探りの中で、まず『その音がきこえたら』という短編を撮って、こちらは第1回日本ホラー映画大賞のMOVIE WALKER PRESS賞を受賞させていただきました。でも、この時はもう(自分の引き出しが)すっからかんというか、他にできることはない、という状態でした。
そんな時「神隠し」という題材と出会ったんです。
そういえば、「神隠し」って、子供の頃からずっと関心のある「怖い」題材だったなと思い出し、ふと「神隠し」に、同じように子供の頃から怖いと思っていた「心霊ドキュメンタリー」の想像力や表現を掛け合わせたら、ちょっと今までにないものが作れるんじゃないかって考えたんです。これが『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を作ろうと思った原点ですね。
――そこから短編が生まれ、今回の長編映画につながったということですね。
近藤監督 そうですね。
――映画が完成した今、手ごたえはいかがですか。
近藤監督 短編にあった「良さ」みたいなものを残したまま、それほど無理なく長編に膨らませることができたと思います。その上で、例えば廃墟が出てくるとか、短編の時には、予算などの様々な事情から不可能だったことにも挑戦できましたから、そういう意味では、すごく手応えを感じています。
――作品の印象としては、やはりビデオテープの荒れた画像の質感が、独特の恐怖感を醸し出していました。これは近藤監督も参加した「イシナガキクエを探しています」や「行方不明展」「飯沼一家に謝罪します」などにも通じるものがあります。
近藤監督 『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』に関して言うと、自分なりに「こうすると、どうも怖くなるっぽいぞ」っていうことを繰り返し洗練させてきた感じですね。
一方、「イシナガキクエを探しています」にしろ、「飯沼一家に謝罪します」にしろ、「行方不明展」にしろ、僕一人が監督をやっているというよりは、やっぱりチームのものですし、僕が関わっている部分は本当にごく一部だったりします。だから、必ずしも同じ意図とは言いづらいんですけど、同世代というか、20代後半から30代が多く、「フェイクドキュメンタリーQ」の寺内さん(寺内康太郎監督)は監督としても先輩です。だいたい「VHSとかの画質が怖いよね」って言われたのが、90年代の終わりぐらいで、それこそビデオ版の「呪怨」とか、「ほんとにあった!呪いのビデオ」の初期の作品とか、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』とか、そのあたりの自分が本当に怖かったと感じたものを、改めて今、リバイバルというか、自分の手で見直して、新しく作り直しているという意味では、おそらく他の方々もみんな近いことをしているんじゃないかなと思います。
清水「ホラーセンスを、完全に自分のものにしている」
――清水さんは近藤監督のどんな所に才気を感じられましたか。
清水 一作目の『その音がきこえたら』を見た時、感心したんですよ。
ある人物がフィルター越しに長々と淡々と喋るシーンがあるんです。フィルター越しの映像って、つまり画面を挟んでしまうと、怖さがちょっとマイルドになってしまうんですよ。僕も、インターホン越しとかネットのモニター越しとか、いろんな映画でやっているからよくわかる。唯一の例外が『リング』で、モニター越しに霊が現れることで恐怖が生まれるという荒技をやってのけた。あれは原作の「リング」ですら無かった、(脚本の)高橋洋さんの幼少期のトラウマから派生している技だけに、同じことはみんなできない。でも、『その音がきこえたら』を見たら、別の手立てで恐怖たらしめていた。フィルター越しの画面で、じっと緊張感を漂わせてしまっていたんです。ただ、これがどこまで狙いなのか?偶発的なものなのか?っていうのが、一作だけの時には正直まだ判別つかなかった。
――まだ確信ではなかった。
清水 えぇ。それが第2回(日本ホラー映画大賞)にも応募してくれた短編『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で「この人凄い」「全て狙いの演出とセンスだったのか!」ってなった。不気味な空気を醸し出すホラーセンスを完全に自分のものにしてると思えたので、第2回の選考では「第1回の時すみませんでした」ぐらいの気持ちで、大賞に選ばせてもらった。選考委員の皆さんも納得でしたね。
――ただ、短編として優れている分、長編化する際には不安はなかったんですか。
清水 ありました。
それは下津(優太)監督の『みなに幸あれ』もそうなんですけど、「これって、もう短編で完結してんじゃん。長編化できるの?」って。特に“みな幸”の時には心配でした。商業ベースに乗せて、お客さんからお金を取って劇場まで足を運んでもらうっていう意味でのエンタメ性も含めて、本当に成立するのかって。それは僕が監督デビューした頃にもプロデューサーから散々言われてきた事で、逆に今度は言わなきゃいけない立場になるんだってことに気づいた。下津組の時は、僕も短編制作経験しかない監督と一緒に長編を担うのは初めてだったし、短編を一作しか見ていないこともあったから、かつての自分がPに感じられていた不安要素もあった。
でも、近藤監督の場合は、短編とは言え、すでに2作見せてもらっている上での、力量もすでにある程度把握出来ていたので、大賞に選んだ自分たちの目利きと、監督当人のセンスとを信じるしかない覚悟で臨めたんですよね。ですから、僕も“みな幸”で経験したことが糧になっていると思います。
各監督によって当然全員違う面もあるし、そんな癖ある個性と、どう寄り添い、付き添って作品づくりを出来るか?は、毎回とても刺激的で僕自身また自分の今後の作品への取り組み方や意欲にも影響を与えてもらえてます。
――長編化する際のエンタメ性とのバランスの難しさもあると思います。
清水 仰る通りです。ベースとしては『みなに幸あれ』も『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』も、目の肥えたホラーの玄人や、映画偏差値が高い人を中心に向けている作品ではあると思います。日本ホラー映画大賞自体が、新たなセンスの発掘を目的に行われているものなので。ただ、商業畑で長編デビューする/させるという意味で、不特定多数へ向けられる作品に出来るか否か?のバランス感覚も、僕や他のP陣がサポートしていかねばならない重要な点です。
――ビデオ版『呪怨』もまずはマニアから称賛された。
清水 新しい才能を発掘するには、ある意味でマニアックにならざるを得ない部分はあります。過去全ての名作、傑作、駄作がそういうところから生まれてきているし……そもそも映画そのものが、マニアックな趣味や拘り、狭く個人的な世界から発生した文化ですしね。今も作り手は、過去に“世に出てないもの”、“観た事も無い世界観”、“観てみたい/作ってみたい感覚”を世に問うてみたい想いから斬新で新しい作品を生み続けているのでしょうし、マニアックさ全てを否定しては万人に受ける作品も生まれないし、衰退してしまうのみですから。
とは言え、「お金を払って観てもらうんだぞ!」「楽しんでもらわないと!」「もうちょいエンタメ性を保たないと!」といった葛藤は常にあります。一般のお客さんに届き、響かないと広がりや進化も無くなってしまいますからね。
インタビュー《後編》に続きます。
《後編》では衝撃の撮影秘話が。
近藤監督「全スタッフから「本当にやるつもりなんですか」って何度も問われて」
【読者プレゼント】
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』ヒット記念!
清水崇Pと近藤亮太監督のサイン色紙を抽選で一名様にプレゼント
<応募方法>
応募締め切りは2025年2月15日(土)
応募方法は、WEB映画マガジン「cowai」twitter公式アカウント(@cowai_movie)をフォローし、該当するプレゼント記事ポスト( https://x.com/cowai_movie/status/1884954809197043956 )をリポスト(RT)してください。
<抽選結果>
締め切り後に抽選を行い、当選された方に「cowai」公式TwitterアカウントよりDMで通知させていただきます。当選品は郵送する予定です。(諸般の事情や、災害、キャンセル発生等やむを得ぬ事情で遅れる場合があります)
皆様のご応募お待ちしています!
【応募の注意点】
〇当選後に住所の送付が可能な方のみご応募ください(日本国内のみ有効)。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
〇当選品は映画配給会社よりご提供いただいたプロモーション目的の非売品扱いとなります。このため、傷や汚れ等があっても交換はできませんので、ご了承ください。
※非売品につき転売目的のご応募は禁止とさせていただきます。
〇当選のキャンセルが発生した場合は再度抽選を行う場合があります。
〇抽選結果や抽選経過に関して個別のお問い合わせには応じられませんので、あらかじめご了承ください。
イベント最新情報
【『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』 もっとJホラーを楽しもう!トークセッション決定!】
1月31日(金)
【場所】 テアトル新宿
【時間】 20:30の回(上映終了後舞台挨拶)
【登壇】 大森時生(テレビ東京プロデューサー)、近藤亮太監督(以上予定)
2月1日(土)
【場所】 ヒューマントラストシネマ渋谷 ※サイン会あり
【時間】 14:00の回(上映終了後舞台挨拶)
【登壇】 梨(作家)、近藤亮太監督(以上予定)
【場所】 グランドシネマサンシャイン池袋
【時間】 16:00の回(上映終了後舞台挨拶)
【登壇】 高橋洋(脚本/映画監督)、近藤亮太監督(以上予定)
2月7日(金)
【場所】 テアトル新宿
【時間】 20:30の回(上映終了後舞台挨拶)
【登壇】 西井紘輝(映像作家)、近藤亮太監督(以上予定)
2月8日(土)
【場所】 グランドシネマサンシャイン池袋
【時間】 15:00の回(上映終了後舞台挨拶)
【登壇】 金子鈴幸(『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』脚本)、近藤亮太監督(以上予定)
【場所】 ヒューマントラストシネマ渋谷 ※サイン会あり
【時間】 18:00の回(上映終了後舞台挨拶)
【登壇】 くるむあくむ(作家)、近藤亮太監督(以上予定)
※全公演、登壇者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
≪パンフレットサイン会について≫
ヒューマントラストシネマ渋谷では、登壇ゲストによるサイン会を行います。
※『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』パンフレット以外へのサインは行っておりません。予めご了承ください。
▼チケットのご購入や注意事項など、その他詳細は公式HPをご確認ください。
公式HP:https://mcv-movie.jp/event/index.html
【感想投稿キャンペーン実施中!】
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』公式Xアカウント(@mcv_movie)をフォローし、
ハッシュタグ「#ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」と「#かくれんぼしよう」の2つをつけて感想を投稿すると、ビデオテープシーンを収めたVHSや本日登壇したキャスト・監督全員のサイン入り台本などの映画グッズが抽選で合計10名様に当たるキャンペーンを実施中。
公式Xアカウント:https://x.com/mcv_movie
著名人20名 絶賛応援コメント
<敬称略・50音順>
綾辻行人(作家)
劇場デビュー作において「CGなし」「特殊メイクなし」「ジャンプスケアなし」という表現にこだわってみせたのは、考え抜いた末のひとつの「答え」であり「決意」でもあったのでしょう。そのことも含め、近藤亮太監督の「ホラー映画」に対する深い想いが、作品の至るところから伝わってきます。──良いです。
まずは心からのエールを。同時に、今後のさまざまな可能性にも大きな期待を寄せたいと思います。
伊藤潤二(ホラー漫画家)
Jホラーの遺伝子を受け継いだ新鋭の誕生は頼もしい限りです。幽霊の表現や不気味なエピソードもさることながら、会話のテンポや”間”に、異界へ迷い込む得体の知れない不気味さを感じました。
氏家譲寿(文筆/映画評論家)
我々の中にある思考力と創造力が物語と恐怖を生む。それを改めて実感した。
「これは何だ……?」
そう思った瞬間、自らが生み出す悪夢の災厄に囚われる。逃げ道はないのだ。
大森時生(テレビ東京プロデューサー)
私たちはなにを恐いと思うのだろう。そしてなんでそれを恐いと感じるのか。それらの問いに対する回答はどこまでも個人的なものだ。ただ、「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」はそれに対するひとつのアンサーとなりうる。それもとびきり強烈な。恐怖は、記憶と共鳴する。そしてノスタルジーと接続したとき、それは逃れられないものとなる。「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」は、その不気味さから逃れることを許してくれない。
小野不由美(小説家)
不安で不穏な正統ホラー。しんしんと怖い。監督のホラーに対するストイックな在り方に感服した。
かいばしら(俳優/YouTuber)
古き良き恐怖作品郡の風合いも漂わせしっとりと展開する品の良さ
油断しているとスクリーンからJホラーの新風が
ゴウゴウと吹き荒れ身体がキンキンに冷えていく
途方もない暗黒の濃さに末長く悪夢として顔をのぞかせてくれる予感が…
どうしてくれるんだ!!
川上十億(漫画家)
行方不明の弟を探す男と、霊感のある友達、そしてその二人を追う記者。
この3人が弟の失踪直前を映した古いビデオテープを元に真相を追っていくホラー作品。
登場人物の温度感が全体的に低く、大袈裟なリアクションやジャンプスケア・グロ表現などに頼らない、ファンタジー感を極力そぎ落とした画作りが素晴らしい。
作品全体に終始漂うじめじめとした嫌な空気感と、起こる出来事の妙な違和感の積み重ねでじわじわと闇に近づいていってるような感覚は、古き良きJホラーの気持ちよさを感じた。
木下龍也(歌人)
トンネルだと思った。スクリーンの光が出口に見えたから。もうすぐ辿り着けそうな希望に見えたから。
でも違った。104分後に出口は消えて、濃い闇に取り残される。
もういいかい?身体が呼んでいる。もういいかい?日常が呼んでいる。けれど、応答することができない。この映画は足を踏み入れた時点で手遅れの洞窟。
迷子になった僕の心は、まだそこを彷徨っている。
くるむあくむ(作家)
上映中はおわりのない不穏さがきっと貴方に付き纏う。存在の定かではない”何か”の輪郭が見え隠れし、こちらが見入ってしまう度に引きずり込まれそうになります。ひとつひとつの静寂が印象に残り続ける作品でした。
SYO(物書き)
ジャンプスケアに浸食され気味なJホラー界の新星にして救世主。
こんな静寂と余白の恐怖をずっと待っていた。猛烈に支持します。
田口翔太郎(漫画家)
静かで、ずっと、不穏。
たまに、今のセリフなんて言った?って思うくらい静か。
それでも問題無く観られるのは言葉に頼らなくてもいいから。
最低限の情報で恐怖を演出する手腕に脱帽しつつ震えて観てました。
それでいて、少し、哀しい。
寺内康太郎(「フェイクドキュメンタリーQ」)
ジャパニーズホラーには優劣はなく「陰」と「陽」を持つ作品が存在して、それはどちらもなくてはならない存在である。日本ホラー映画大賞作品では「みなに幸あれ」が「陽」で、今回の「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」は見事にまで「陰」。
「陰」が持つ特有の厭さが、張り詰めた恐怖として画面から音声からも溢れ出ている。
梨(作家)
恐怖や不快とは少し異なる、圧倒的な「異質」がそこにはあった。
「私は、ちゃんと帰れるのだろうか」
鑑賞後、そんなことを考えながら映画館を出る私の足取りが
やけに重かったのを、鮮明に覚えている。
南波志帆(アーティスト)
夜の山に足を踏み入れた時に感じたことのある、人間や動物以外の「何か」がいる気配。
その空間自体がしっとりとした特有の湿度と深く濃い香りを持っていて、まるで生と死の狭間にいるような、ある意味では神秘的で、だけども言葉では言い表せない畏怖の念を抱いてしまう、そんな感覚と鳥肌を強烈に思い出しました。
何気ない日常に、大きく口を開けているあちら側の世界。実は、境目は案外曖昧なのかもしれない。
終始静かなトーンで丁寧に紡がれる物語だからこそ、じわりじわりと沁みてくる恐怖と没入感が凄かったです。
人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
直接的なホラー演出は行わない。霊すらもほぼ出ない。こちらの想像を極限まで掻き立てさせ、映像だけでは辿り着けない恐怖を味わわせる。リアルなビデオ映像や異様に淡々とした語り口は、まるで実話怪談のよう。日本らしいホラーに立ち返りつつ、そのイメージを更新する作品が誕生した。
野水伊織(映画感想屋声優)
幽霊だとかヒトコワだとか、名前を付け定義することで安心しようとする我々を嘲笑うかのごとく、“わからない”恐怖が充満している。
そこかしこにちらばる違和が結びつき、それが確信に変わる“ある台詞”を聞いた瞬間には本当に背筋が冷え切った。はたと気がついたら、私もあの山にいるのかもしれないとすら思える。
これはもう、観る怪談だ。
外本ケンセイ(漫画家)
さざ波の様な違和感が確信に変わり底無しの絶望へと飲み込まれる。VHSの映像表現を含め全てがじめっとして、それが懐かしくて心地良くて恐ろしい。新たなJホラーのスタンダードになって欲しいと思える作品です。
的野アンジ(漫画家)
私たちはこの怪異の正体に
近づきたくないのに近づき、
見たくないのに目を凝らしてしまう。
何かに誘導されているようで不気味です。
皆口大地(「ゾゾゾ」「フェイクドキュメンタリーQ」)
この映画は恐怖を描いています。
それは遠くて小さい存在かもしれないし、大きくあなたのすぐそばにいるかもしれません。
この映画にモンスターや悪役、殺人鬼は登場しません。
しかしそれよりもあなたにとって怖い存在が登場しているかもしれません。
登場するキャラクターが丁寧に魅力的に織りなす湿度の高い恐怖をしっかりと感じ取って下さい。
恐怖の正体がどんな輪郭をしてどんな姿をしているのか?それはあなた次第かもしれません。
山森めぐみ(漫画家)
静かなストーリー展開から、徐々に増していく違和感と得体の知れない気持ち悪さ。
特にビデオテープの画質の粗さと音の使い方が巧妙でゾクゾクします。
ホラーとしての側面だけではなく、突然消えた弟を巡る家族間の言いようのない感情にも触れられていて気持ちが揺さぶられました。
含みを持たせたラストには色々な考察ができそうです。
続編があるのならば是非観たいです。
人気ホラー作家・背筋(「近畿地方のある場所について」)による
特別書き下ろしスピンオフの新作短編小説「未必の故意」を、
劇場入場者限定、数量限定にてプレゼント!劇場でのみ配布される超貴重な一冊!
背筋が描きだす、“「あったかもしれない物語」”。
24日(金)より全国公開を迎える『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』より、劇場入場者特典として、昨年9月に相次いで発売された近著「穢れた聖地巡礼について」、「口に関するアンケート」も好評を博している人気ホラー作家・背筋によるスピンオフ新作短編小説「未必の故意」を数量限定で配布される。
ホラー作家・背筋は2023年に「近畿地方のある場所について」でデビューすると、たちまち単行本の発行部数が30万部を突破。同作は『サユリ』を手掛けた鬼才・白石晃士監督による実写映画化が発表されるなど大きな話題を呼んでいる。この劇場入場者特典は、『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を観た背筋により、入場者特典のために書き下ろされたスピンオフ短編小説となる。ぜひ、本編とスピンオフ小説「未必の故意」を併せて堪能してほしい。
映画本編は、幼いころ山で遊んでいる時に弟が失踪するという辛い経験を持つ主人公・敬太(杉田雷麟)のもとに一本のビデオテープが届き、霊感を持つ同居人の司(平井亜門)は禍々しい雰囲気を感じながらも敬太とともに忌まわしい過去を辿るべく、敬太を追う記者の美琴(森田想)も加わり、再び弟が消えた山へ向かうというストーリー。
背筋による特別書き下ろしのスピンオフ短編小説「未必の故意」は、誰しもに「あったかもしれない物語」として、本編とのシンクロにより体温がさらに下がっていく感覚を味わえる、読みごたえ抜群の一冊となっている。
タイトル「未必の故意」の意味することとはーー。
今注目を集める人気ホラー作家・背筋のスピンオフ短編小説「未必の故意」と、Jホラーの正統派継承者・近藤亮太が手掛ける『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で今年最初の恐怖にどこまでも陥ってみるのはいかがだろうか。
劇場入場者特典は数量限定のため、ぜひ早めに劇場に足を運んで手に入れていただきたい。
背筋/著者コメント
『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が内包する恐ろしさは怪異によるものだけではありません。
登場人物が抱える暗い感情や後悔、やむにやまれぬ想いこそが、作品をより恐ろしいものにしていると感じます。
作中に登場するあの山、そしてあの場所は、たくさんの人のそんな想いが集積して作られた場所なのではないでしょうか。
私が作品を観て感じた不穏な空気。それを皆さんにも共有したいという思いから、「あったかもしれない物語」を書かせていただきました。
【背筋/プロフィール】
ホラー作家。小説投稿サイト「カクヨム」に掲載した「近畿地方のある場所について」がネットで話題となり、23年にKADOKAWAより書籍化されデビュー。同作は「このホラーがすごい! 2024年版」(宝島社)国内編第1位を獲得し、白石晃士監督による映画化(25年公開予定)も決定している。近著に「穢れた聖地巡礼について」(KADOKAWA)、「口に関するアンケート」(ポプラ社)がある。
【映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』 劇場入場者特典 概要】
タイトル:背筋書き下ろし短編小説「未必の故意」
著者:背筋
配布期間:公開劇場にて1月24日(金)~無くなり次第終了
※お1人様1冊の配布となります。
※数量限定のため、配布終了の際はご了承ください。
※非売品となります。お問い合わせ等はご遠慮ください。
[ストーリー]
「そのビデオテープには映ってはいけないものが映っている…」
敬太は昔、一緒に出かけた弟が失踪するという過去を持ち、今は行方不明となった⼈間を探すボランティア活動を続けていた。
そしてある⽇、突然⺟から敬太に1本の古いビデオテープが送られてくる。
それは、弟の⽇向がいなくなる瞬間を映したビデオテープだった。
霊感を持つ同居⼈の司はそのテープに禍々しい雰囲気を感じ、敬太に深⼊りしないよう助⾔するが、敬太はずっと⾃分についてまわる忌まわしい過去を辿るべく動き出す。そんな敬太を取材対象として追いかけていた記者の美琴も帯同し、3⼈は⽇向がいなくなった“⼭”に向かう…。
【作品概要】
作品名:『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ 』
出演:杉田雷麟 平井亜門 森田想 藤井隆
総合プロデューサー:清水崇
監督:近藤亮太
脚本:金子鈴幸
企画:KADOKAWA
製作:『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ 』製作委員会
配給:KADOKAWA
©︎2024「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」製作委員会
公式サイト:https://mcv-movie.jp
公式X:@mcv_movie
公式TikTok:missing_child_videotape
2025年1月24日(金)全国公開!
【関連記事】