絶賛&好評につき、早くもパート2の製作が決定!
その部屋は、事故物件というより“地獄”だった。脚本段階で映倫審査拒否!?
ゴア表現と残虐描写の限界に挑んだ超過激なバイオレンス描写で圧倒!
オカルトメディア「TOCANA」によるホラー映画製作プロジェクト第一弾で、TOCANA 編集長・角由紀子が原案を手掛けるバイオレンス・スプラッタ・ホラー映画『真・事故物件/本当に怖い住人たち』が、TOCANA 配給で、いよいよ2月18日(金)より ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ他にて全国公開中だ。
先ごろおこなわれた舞台挨拶では、パート2の製作決定が発表され、ますます注目度が上がる本作。「cowai」でも絶賛の本作の公開を記念し、主演の海老野心、幽霊役の竹内花、マネージャー・安藤役の小野健斗のインタビューに続いて、いよいよ佐々木勝己監督が登場!単独インタビューを敢行する。
注目のホラー監督にしか生み出せない驚愕の舞台裏を紹介する。
さらに、海老名心、小野健斗、竹内花、佐々木勝己監督のサイン入り特製ポスターを抽選で3名様にプレゼントします。
すみません、プレゼントの応募締め切りは当初、本日2/27(日)中でしたが、記事掲載に合わせて、締め切りを一週間延長します。
2022年3月6日(日)締め切りとしますのでよろしくお願いします!(応募方法は記事の後半に掲載)
『真・事故物件/本当に怖い住民たち』予告編
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映画『真・事故物件/本当は怖い』公開記念④佐々木勝己監督インタビュー
「だいぶみんなに無茶をしてもらって」
――鑑賞しました。素晴らしい作品でした。
佐々木勝己監督: ありがとうございます
――撮影日数は
佐々木: 5日間です。
――かなり頑張って撮られたんじゃないかと
佐々木: だいぶみんなに無茶をしてもらって(笑)。
特に撮照(※撮影部・照明部)が、無理を承知で(採算)度外視でめちゃくちゃやって下さいました。
ただ脚本的にはもっとゴアゴアにはやろうとはしていたんですけどね(笑)。
でも、そのゴア映画自体、イタリアン・ホラーみたいな、ああいうものがもう日本ではほとんど作られない。グロテスクとかゴアに焦点当てたものが作られないのはちょっと寂しいし、「まだそういうのがあるよ」っていうのを日本でも見せたかった。だから相反するかもしれないけど、グロでも見やすさというか、グロテスクでゴアでありつつも、画の方でちょっとマイルドにできないかなみたいな部分はありましたね。
――単にゴアを極めるのではなく、より多くの人に楽しんでもらうため、衝撃を高めながら、バランスを考えて撮られていたんですね。まあ、マイルドとは言っても、かなりのゴア描写ですが。
佐々木: 撮照とうまくすり合わせて、相談しながら撮りました。
本当はグロ映画ってなると、ビデオ撮りで荒々しいのもめっちゃ好きなんですけど(笑)。それって、ある程度グロとかホラーに、慣れ親しんだ人とか、その次とかにこう、味変えを楽しむ過程でハマっていくものだから、そこの入口ぐらいを何とか日本で続けられないかなあって思いはあります。
――もっとマニアックに先鋭的にできるけど、まずはここからスタートという意識があった?
佐々木: そうですね、なるべくグロさと、見せ方にはこだわって、ワンショットワンショットどこを切り取っても画になるよう、安さを感じさせない画を作りたいと思っていました。
――なるほど。だからグログロなのに、カット自体は非常に構図やライティングも決まっていて、鮮烈と言うかカッコよさすら感じます。そういう意味では、単なる過去のゴアホラーの焼き直しとも違う。
佐々木: まあ、あれがVHS画質とかだと、たぶん見え方って全然違ってて、70年代から80’sぐらいの、こうトラッシュな感じ、今だとカメラとかも、きれいだし。
――きれいすぎる?
佐々木: そう、どうしても鮮明になっちゃうんで、どうやってそのダミー(手足などの特殊造形物)を実写に馴染ませるか、みたいなのはすごいカメラマンと苦労しました。
――荒いVHS画質というだけできわどい感じにはなりますよね
佐々木: そう、いかがわしさが出たりとか、あと単純にホラーファンだと、VHS画質のノイズ感とかエッジ感とか、それだけでちょっといいものを見てる感じがする(笑)。
スプラッターシーンの撮影の裏側
日本でホラーが作られなくなる危機感はありますね
――ご存知の通り、スプラッターシーンは準備にも撮影にも、さらに後始末も含めて非常に手間がかかります。日本のホラーはその辺りが慣れていない作品が多いのですが、この作品は限られた予算の中で、非常にうまく行っていると思います。
佐々木: やっぱりスプラッターシーンはコストも時間も普通のシーンの3倍くらいは考えておかないと、やばいなと思いますね。
――そこが中途半端だと映画の評価も変わってしまう
佐々木: 今までの経験もあって、どうしてもドラマ・パートを撮っているうちに時間がなくなっていって、最後、俳優部(※出演俳優)を返した後に物撮りだけで造形撮るとか、もしくはそれすらもオミットすることって、ざらにあるので。やっぱある程度の取捨選択はあったんですけど、それでも確実に押さえたいものだけは、だいぶわがままを言わせて撮ってもらいましたね。
――大事なスプラッタのシーンはとにかく時間を割くというような感じですか?
佐々木: そうですね、時間がないとはいえ、なるべく特殊メイクの時間とかは長めに割けるように時間割みたいなものは作りました。
――ドラマパートよりも、早めに撮っておこうとか
佐々木: でもやっぱ、終盤ですね、どうしても。美術の建て込みとかも平行しながらなので。
――過去のビデオ作品だと美術にもお名前出てますよね
佐々木: あ、そうですそうです、出てるやつとかもチラホラ。
――壁に新聞紙をびっしり貼ったり、血まみれの部屋のゴミ袋やビニールとか、限られた予算の中で雰囲気作りが巧みです。
佐々木: ビニールは、廃墟っぽいかなみたいなと思って。カメラワーク的にも、なめるものとか生かしやすい。あと、もちろん血のり対策も(笑)。美術を一人でダラダラ建て込むのがけっこう好きで、低予算だとよく演出部兼美術みたいな、美術部もやったりはするんですけど、建て込み自体はすごい好きですね。
――オリジナルビデオなどの超低予算ホラーの経験が生かされている?
佐々木: やっぱりお金が無さすぎる現場が多いので。
ぶっちゃけ、ある案件だと「(製作費)45万円でスプラッターやってくれ」みたいな(笑)。もう何もできないじゃん、って思って。で、そういう時とかに、手弁当でたまたまうちにあった等身大の標本みたいなドクロとかを造形屋さんに加工してもらって材料を少しでも浮かせたとか、それこそエクスプロテーション映画の作り方みたいに、会話シーンでなるべく(尺と予算を)稼いで最後の最後に血とか肉を詰め込む!みたいな、ずる賢くはなりましたよね(笑)。
――それでも最近はどんどん予算が削られている。
佐々木: 長編60分尺で(撮影)3日とか。たぶんピンク映画よりも短い、下手したら2日とか。それはそれでいい経験にはなってますね。
――撮影五日間が贅沢に感じられます。
佐々木: そうですね。ただなんかここ4、5年、自分の体感ですけど、ひと昔前は定期的に作られていた低予算の(オリジナル)ビデオ・ホラーが最近はもう全然なくなって。作られないし、依頼もなくて、便乗タイトルとかも全く消えてしまった。なんやかんや言っても劇場映画に比べてあっちの方が、映倫さん通さない、劇場公開もしないから規制もゆるかった。このままでは、日本でホラーってマジで作られなくなっちゃうのかなっていう危機感はあります。
――ビデオメーカーさんと話しても、もはや投稿系の心霊動画すら厳しくなっているという。
佐々木: ○○○○が終わるって噂を聞くと、けっこう衝撃ですよね。一つの時代が終わっちゃうんじゃないの、みたいな。
TOCANAの角編集長からの注文
めちゃくちゃ攻めている人たちだなって(笑)
――そんな厳しさを増す業界の中で、オカルトメディアの「TOCANA」が、今回の作品でホラー映画の製作に乗り出したというのは、日本のホラーファンにとって朗報だったと思います。企画はどういう形で生まれたのですか。
佐々木: もともとTOCANAの(編集長、)角(由紀子)さんにお話を頂いて、けっこう自由に好き勝手にやらせていただいたんです。
――TOCANAの関係者が現場で意見を言うとかはなかったんですか
佐々木: ほぼなかったですね。いいのかな、こんな勝手にやらせてもらって。めちゃくちゃ、めちゃくちゃ攻めている人たちだなって(笑)。
――監督を信頼しているんでしょうね。まあ、ホラーって、なかなか企画の立ち上げから完成まで、スムースに行くことの方が珍しいジャンルですから。
佐々木: 確かに、実現しなくなっちゃう企画とかはしょっちゅうあって。
ホラーで企画を始めたのにいつの間にか「スリラーにしてくれ」って言われたりとか、ホラーの脚本なのに「ちょっと怖すぎるから、もうちょっと怖くなくしてくれ」とか(笑)。え?ホラーの企画でしょ。「怖くないようにしてくれ」って言われた時はびっくりしましたね。結局その話もうやむやになっちゃって。
――角さんからどんなコンセプトで依頼されたのですか
佐々木: まず「事故物件もの」で、「Jホラーがこう」とか、あとは「YouTuberを出してほしい」と。「そこがマストであれば、それ以外は自由。グロもOK。最大R18くらいまではいいですよ」と言われました。
――なかなか度量が大きいですね(笑)。ではプロットや脚本も自由に作れた?
佐々木: 脚本が一番時間がかかったというか。なんか二転三転して、一瞬だけPOVでやろとした時もあって。
――最初はPOVだったんですか?
佐々木: YouTuberってことで、ファウンド・フッテージが一番それっぽいというか、“らしさ”をいけるんじゃないかと思ったり、ほんとに二転三転したんですけど、最終的に今のような劇映画の形で撮らせていただきました。個人的にはよかったな。憧れていたんですよ、フルチとかアルジェントみたいなの。
あの体のちぎれ方はトム・サヴィー二。
生涯のベスト・ホラーは……
――最初にも触れましたが、イタリアン・ホラーは好きなんですか
佐々木: 大好きです。
――口から内蔵が出てくるとか、(フルチの)『地獄の門』(1980)ですか?
佐々木: そうです、『地獄の門』と、あとブルーノ・マッティの『ヘル・オブ・ザ・リビングデッド 死霊の魔窟』(1980)、あれがめちゃくちゃ好きで、完全にあれのオマージュです。ヒロインの名前忘れちゃった(笑)。
『ヘル・オブ・ザ・リビングデッド 死霊の魔窟』(廃盤)
――アパートにいる、『悪魔のいけにえ』(1974)風の“お父さん”とか、あえて確信犯的にやっていますよね?
佐々木: そうです、あの“お父さん”は、(フルチの)『ビヨンド』(1981)の最初の画家と、『悪魔のいけにえ』のおじいちゃんのあいのこみたいなのにしたいなっていうのがありましたね。
――おお、『ビヨンド』も混ざっていたとは。
佐々木: やっぱり好きな映画を撮ってる動機の一つが、自分が昔観てハマった映画とか、衝撃を受けた映画を「これ、いいでしょ」みたいにやって見せて、元(ネタの作品)を観て欲しいみたいなところがありますね。
――クライマックスも『マニアック』(1980)とか、ロメロとか?
佐々木: そうです、ネタバレになっちゃうので詳しくは話せませんが、『デス・プルーフin グラインドハウス』(2007)とか、ドラマ「ザ・ボーイズ シーズン2」のパロディ。今仰っていただいた『マニアック』、ジョー・スピネルのオリジナル版とイライジャ・ウッドの新しい方(2012)も意識しました。
あの体のちぎれ方は『プラネット・テラー in グラインドハウス』(2007)のトム・サヴィーニ。
――ああ、なるほど。
佐々木: あのトム・サヴィーニの死ぬ時の雑な感じ(笑)、直角にこうちぎれる感じ。
――言われてみれば(笑)。
佐々木: アングルもたぶんほぼまんま、俯瞰の、あれはどうあがいても俯瞰でしか撮り様がないっちゃないんですけど(笑)。
――あと、時空が歪むというか、つながるのは『ビヨンド』ですか?
佐々木: もう仰る通り(笑)。ボツになったプロットには『ビヨンド』まんまの導入案もありましたね。
――なんであんなにみんな『ビヨンド』にハマるんでしょうね
佐々木: 面白いですよね。
――ほんと不思議です、話は破綻しているのに
佐々木: それこそ映画のパワーというか、画と音楽で全部押し切られちゃう。
――監督はおいくつなんですか
佐々木: 33です。
――ビデオバブル、DVDバブルと共に思春期というか、人生を歩んできた感じですね。
佐々木: そうですそうです。
――子供のころから、レンタル店に行くと、棚に怪しい胡散臭いタイトルが並んで
佐々木: そう、いっぱいあって……。もったいないなあ、その、いかがわしいものがなくなっちゃうのは。
――ホラーはかなりご覧になっていると思いますので、せっかくなのでホラーの生涯のベスト3をおしえていただけますか?
佐々木: まず『デモンズ’95』(1994)。あれが一番好きで、3本っていうなら、次は『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学-』(2009)。ギリシャ人の監督のリメイク版の方。あとは、厳密にはホラーじゃないんですけど、『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』(2015)。ホラーを題材にしたドラマで、ホラー映画のカテゴリーに入っちゃう位、すごい良くできています。
脚本段階で映倫からの審査拒否
清水崇に指摘された独特の音楽の使い方
――『真・事故物件』では、スプラッタと共に、事故物件という心霊ホラーの要素も大きな魅力です。その辺りの見せ場はどうバランスを取っていますか?
佐々木: 心霊ホラーはわりと(オリジナルビデオなどで)ライフワークでずっとやってはきているっていうのがあって、心霊描写の部分はそんなに苦労した記憶がないんです。(演出の)タイミングとかは普段より気を付けたんですけど、心霊描写自体はドラマ・パートを撮る感覚ですね。だから分け方としては、スプラッターの箇所か、それ以外か(笑)みたいな感じです。
――映倫から脚本段階で審査拒否になったと宣伝されています
佐々木: 事実です。やっぱ(脚本で)文字にするとエグイなあと思って。悲惨さとか憂鬱さが前面に出すぎると、たぶんレイティングって上がると思います。
――映倫の脚本段階のチェックって予防線みたいなものですよね。このままやったら、こうなる可能性が高い、みたいな。「映倫の審査拒否」自体はそれはそれでホラーとして勲章ですが、完成した作品も審査拒否レベルだと普通の映画館では上映できなくなります。レイティングを下げるために脚本の描写をカットしたりしたんですか。
佐々木: いや、特には。たぶんその辺って、実際に音楽とかお芝居とか作品のトーンでいくらでも緩和できると思うんです。スプラッターで嫌な気持ちにさせる、させないだと、今回はさせない方。作品だと、だいぶ『スナッフ/SNUFF』(1976)寄り。こういうジャンルでも、『ギニーピッグ/悪魔の実験』(1985)とか『オールナイトロング』(1992)みたいに、ある意味で面白い、楽しい作品はあるんですよ。だから、完成した時の審査ではR15+でした。たぶん感覚的なものだと思いますが、こればかりはある程度やってみないとわからないですね。
――音楽もハリウッドホラーの定番ではなく、ちょっと変な間とか入ってますよね
佐々木: 音楽はすごい好きで、例えば、『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005)とかって、あれたぶんほとんどずっと音楽が鳴っていた気がするんですよ。本編尺がたぶん90分くらいで、サントラが72分、ぎりぎりまでパンパンに詰まっていて(笑)。(クリストファー・)ノーランの映画とかだと、劇中でかかってるスコアと若干違うじゃないですか。アレンジとか、アルバム用に調整されていて。でも『ランド・オブ・ザ・デッド』って、けっこうまんまで、僕もそれぐらい入れたがりのくせがあって。
以前に「スマホラー」っていう縦型のスマホ画面用のホラードラマを清水(崇)監督がプロデュースして、(監督を)やらせて頂いた時、一番最初に編集のチェックで言われたのが、「もう、音楽に頼りすぎ。ここも音楽切って、ここも切って、ここも切って」って。その反省を踏まえて、今回は自分なりに抑えているんですけど、それでもずいぶん多いと思います、今も。(見せ場で)音を無くすっていうのは、今まであんまりやってこなかったので、神経を使いますね」
――音の使い方も独特ですね。殺戮シーンで急に明るい曲が流れて、逆に怖いです。
佐々木: ああ、あるかも。音の力ってめちゃくちゃ強いなって思ってて
いわくつきの撮影現場。
海老野(心)さんもクタクタで、だいぶ負担はかけたとは思います
――監督はオリジナルビデオで心霊ドキュメンタリーも手掛けていますが、ぶっちゃけ霊感はあるんですか?
佐々木: 残念なことに全く感じなくて。ただ、霊感あるタレントさんに「髪の長い女性が憑いてる」みたいなことは言われました。現場中に、「それって誰なんですか」って聞いたら教えてもらえなくて(笑)、「ふふっ」て言うだけ。結局、撮影終わっても、何が憑いているかわからずでしたね。あと、タレントさんじゃなくて、霊視されてる方の撮影にADで参加した時は「マイペースな霊が憑いてる」って言われて。「だから他の霊が立ち寄れないっていうか認知しないみたい」って。はあ…と思って、それが髪の長い女性の霊と同一人物かどうかまではわからなくて、最大二体憑いてる可能性があります。
――本人が自覚がないだけで憑かれやすい体質かもしれませんね。
佐々木: できればそういう経験はしたいですね。信じてないとかではなくてむしろ信じたい側というか、もし霊や霊魂が存在するのであれば、死後に希望が持てるなっていう。
――今回、撮影でのトラブルとかはありましたか。いわくつきの撮影現場で出演者からも様々な証言が出ていますが。
佐々木: 個人的には、特にないですね。だから、おかげで5日間で何とか。
――監督にトラブルが続出したら撮り切れないですもんね。
佐々木: 霊感の話と同じで、自覚がないだけかもしれませんが。
――それにしても、この盛りだくさんの内容をよく5日間で撮ろうとしたというか、かなり攻めていますよね。
佐々木: (忙しすぎて)あんまもう現場(のことを)覚えてなくて、ほんとに5日間でよく撮れたなあって。
――(主演の)海老野(心)さんも、夜中まで撮って、朝、大学へ行っていたそうです
佐々木: クタクタですよね、海老野さん。
――その甲斐あってか、海老野さん、血まみれなのに、非常にきれいに撮れていました。
佐々木: 海老野さん、メインストリームなお芝居というか、美しい役だったり可愛らしい役はたぶん今後いっぱいやるし、絶対得意だと思うんです。逆に、今回のようなゴアとかホラーとかの作品を続ける可能性はすごい低いとは思うので(笑)。これが最初で最後の出演だから、せっかくの変わり種っていうか、普段やらないタイプの作品だったり、演技とか方向性になるんだから、そこはちゃんと撮ってあげたいなって。彼女のファンも違う面や、違う魅力、汚れてもカッコいいとか、かわいいとか、そういうところを見せたかったですね。
――演技指導はしたんですか?
佐々木: わりとホン(脚本)とか演出もなんですけど、1回、自分の中で(役のキャラクターを)作ってから、本人と会って以降は、なるべくその本人のパーソナリティに委ねていく作り方をしています。演技論じゃないですけど、(芝居を)本人に寄せるとそれは役じゃないとか、そういう演出家さんの意見もあったりはするんですけど、僕はわりとその本人のポテンシャルとか持ち味っていうのを信じがちというか、そういうの(を委ねる)が好きなので。逆に海老野さんにはだいぶ負担はかけたとは思います。
――海老野さんはホラー好きで、インタビューでも「不思議な体験だけど楽しかった」と言っています。
佐々木: 映像とかクリエイティブの醍醐味ですよね。死ぬこととか殺すこととかやっちゃダメだし、体験できないんだけど、創作の場においては、それが時にやってよかったり、あるいは仕事としてやらなきゃいけなかったりっていうのがあって、その非日常を演じる側も楽しんでもらえたのは、すごい有難い。
『牛首村』とグラインドハウス二本立て!やってみたい(笑)
あと、和製リメイクしたい西洋ホラーもあります
――昨年は洋画のホラーが凄かったじゃないですか。今年は、『真・事故物件』が新しい日本のホラーの可能性を示せた気がします。
佐々木: ありがとうございます。たしかに洋画のホラーって、僕はここ数年、ずっと名作揃いだと思ってて、それこそ今年は『マリグナント 狂暴な悪夢』(2021)に『ハロウィンKILLS』(2021)、あと、『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)もむちゃくちゃ良くて。そう『サイコ・ゴアマン』(2020)とかもホラーって言っていいかわからないけど、ありましたし。邦画ホラーもね、ちょっとこう何とか対抗したいなって。
――海外のレベルが上がっているので日本も負けてられない。
佐々木: そう、負けてられないです。なんかやりたいですよね、一時期あったJホラープロジェクトみたいなのを。
――いいですね。佐々木監督自身は今後やってみたい企画は?
佐々木: 一つは『ゆれる人魚』(2015)みたいなスプラッター・ミュージカルがやりたいですね。残酷描写とミュージカル。音楽もこだわれるし。ただ、金食う企画と思われそう(笑)
――スピルバーグの『ウェスト・サイド・ストーリー』も話題になっているから、今ならホラー・ミュージカルもありかもしれないですね。
佐々木: あと、版権が取れるのか、どこに版権があるのかわからないんですけど、ショット・オン・ビデオ(Shot on Video)の『ヘルローラー』っていう車椅子のホームレスの映画があって、あれを和製リメイクしたいですね。『ヘルローラー』くらいだったらなんか2、300万円でできるんじゃないかな(笑)。
――では最後にホラーファンに一言。
佐々木: またビデオバブルが来るといいな、ビデオバブルまで生き延びましょう(笑)。
ほんと(B級映画の)二本立てとか、僕は経験できなかったので。『ゾンビ』と『ブルー・スリー 電光石火』みたいな(笑)。※
グラインドハウス・カルチャーが憧れで、なんとか《和製ホラーの二本立て》みたいな企画を頑張れるまでは、応援よろしくお願いします!
――『真・事故物件』は2本立てで観たら、さらに絶対に楽しいですよね
佐々木: そうそう、『牛首村』と公開一緒だから(笑)。なんかすでにネットとかでも「はしごする」って言って下さっている方がいるんですよ。
『牛首村』と二本立て!清水さんと!どうですかね、イベントとか(笑)
――清水さんは『真・事故物件』は?
佐々木: いや、たぶんまだ観られてないと思います。
――この二作品、同じ週に公開、同じ邦画ホラーでも雰囲気は全然違いますね。
佐々木: 片や正統派のJホラー、片やイタリアンホラーみたいな変な間の不思議なホラー(笑)。
――全然変じゃないじゃないですか(笑)。
佐々木: グラインドハウスがあるの、アメリカと日本だけじゃないですか。
ぜひ大阪の映画館みたいに、手描き看板とかで二本立てやってみたいですね(笑)
――今日は楽しいお話、ありがとうございました。
佐々木勝己(監督・脚本)
低予算ホラーの現場で活躍し、数々の短編スプラッター・ホラーを発表。
2019年、『星に願いを』で長編劇場用映画デビュー。ゆうばり映画祭を震撼させ、内外で注目される。
他に、監督作として『骸 MUKURO』(2015)など。
脚注※『ゾンビ』は日本初公開時、『ブルース・リー 電光石火』と二本立て興行だった。
【読者プレゼント】
『真・事故物件/本当に怖い住人たち』公開記念!
海老名心、小野健斗、竹内花、佐々木勝己監督のサイン入りスターを抽選で3名様にプレゼント!
<応募方法>
応募締め切りは2022年3月6日(日)。諸般の事情から記事の掲載が遅れましたので、締め切りを延長します。
応募方法は、WEB映画マガジン「cowai」twitter公式アカウント(@cowai_movie)をフォローし、該当するプレゼント記事ツイート( https://twitter.com/cowai_movie/status/1493960712263471107 )をRTしてください(すでにフォローされている方は、ツイートのRTのみで結構です)。
<抽選結果>
翌日以降に抽選を行い、当選された方に「cowai」公式TwitterアカウントよりDMで通知させていただきます。
当選品のポスターは宅急便で発送する予定です。(諸般の事情や、災害等やむを得ぬ事情で遅れる場合があります)
皆様のご応募お待ちしています!
【応募の注意点】
〇当選後に住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
〇当選品のポスターは映画配給会社よりご提供いただいたプロモーション目的の非売品扱いとなります。このため、傷や汚れ等があっても交換はできませんので、ご了承ください。
※非売品につき転売目的のご応募は禁止とさせていただきます。
〇抽選結果や抽選経過に関して個別のお問い合わせには応じられませんので、あらかじめご了承ください。
次回・佐々木勝巳監督への単独インタビュー記事を掲載予定!
ホラー・マニアの監督が明かす、スプラッター撮影の怒濤の舞台裏とは!?
【映画公開記念インタビュー・バックナンバー】
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『真・事故物件/本当に怖い住民たち』
監督・脚本:佐々木勝己 原案・エクゼクティブプロデューサー:角由紀子
プロデューサー:叶井俊太郎/千葉善紀
出演:海老野心/小野健斗/小島みゆ/RaMu/竹内花/御法川イヴ/とももともも/
渋江譲二/岸端正浩/島田秀平(友情出演)
©TOCANA映画製作プロジェクト
2021年/日本/カラー/DCP/79分
制作プロダクション:シャイカー 配給:TOCANA
公式サイト:shin-jiko.com
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