フジテレビ系にて、本日10月31日(土)21時~23時10分に放送された土曜プレミアム『ほんとにあった怖い話 2020特別編』(通称:ほん怖)。※サムネイルは公式サイトより。
“夏の風物詩”『ほん怖』が史上初めてハロウィーンの夜に放送されたことでも話題を集めた。
今回は『あかずの間を造った話』『訳ありのカラオケ店』の新作二本と、視聴者からリクエストが多かった過去作8本(『顔の道』『タクシードライバーは語る』『もう一人のエレベーター』『深夜の鏡像』『うしろの女』『本が招く幽霊』『断崖の下にて』『腕をちょうだい』)の計10作品が一挙放送された。
中でも過去作品はいずれも伝説的な人気作ばかり。そのすべてを監督したのが、“Jホラーの父”として『リング0』など数々のホラー作品を手掛けた鶴田法男監督だ。
彼にとっても、“ほん怖”は、オリジナルビデオ版も含めて、自らの原点にして、最も本領が発揮された特別なタイトルといえる。
残念ながら、近年の『ほん怖』では自身の監督作が減っている鶴田監督だが、こうして視聴者の記憶に残る傑作がすべて彼の作品であることは決して偶然ではないだろう。
[cowai]では、まさに“ミスターほん怖”というべき偉業に敬意を表して、鶴田監督にインタビューを決行。今回放送された過去作の舞台裏を明かしてもらった。(今回は前編。後編は明日11/1掲載予定です)
なお、cowaiでは、11月3日(祝・火)より、鶴田監督へのロング・インタビューによる連載企画「Jホラーのすべて」をスタートする(予定)。
こちらでも、オリジナルビデオ版からテレビ版に至る「ほんとにあった怖い話」の誕生秘話を明らかにしていく予定だ。
※タイトル・ロゴは仮イメージです
“ミスターほん怖”鶴田法男監督インタビュー
『ほんとにあった怖い話 2020特別編』選ばれた過去作の舞台裏(前編)
福谷修(聞き手・以下、福谷)「今回選ばれた作品の中で、一番人気は『顔の道』ですか?」
鶴田法男(以下、鶴田)「一位かどうかはともかく、異常に人気が高いですね。なんか伝説的になってきていますね(笑)。
キャメラマンが川村明弘さんという方で、川村さんが2000年から『ほん怖』の多くを撮って下さっていて。仕事も早いし、僕の演出を理解してくれている。僕は何も言っていないんだけど、冒頭で車が走っているのを、手前に木の葉っぱをばっと持ってきて、葉っぱが黒く見えるようになめて撮っている。これって意外に難しいんですよ。葉っぱをなめて黒く見えるかっていったら、黒く見えないんですよ。夜だったらいいんですけど、葉っぱの緑が透けて見えちゃう。僕はカメラから離れた所にあるモニターを見ているので、最初は『あれ?』っと思ったけど、いい感じなんですよね。これいいなあと思って。川村さんが、ある意味手慣れたというか、僕と何本か『ほん怖』やってきて、僕がだいたい何を求めているかわかってらっしゃった。何も言わなくても、そういうショットを撮ってくれる」
福谷「佐藤健さんはどうでしたか?」
鶴田「よく覚えているのは、佐藤さんが、階段から“首のない巨大な女”が下りてきた時、『監督、怖いからもう逃げたいんですけど……』っておっしゃるんですね(笑)。でも、直ぐに逃げたら怖くなくなってしまうので、僕が『もう少し(その場で)我慢していてください、ドラマなんで』ってお願いをしたら、佐藤さんがうまく芝居を引っ張ってくれました。
あと、家の中を走って玄関にたどり着いた時も、後ろを1回振り返って、逃げ出す芝居があったんですけど、佐藤さんの振り向く芝居がリアルだけどちょっと早い。怖いから直ぐに逃げたいのが当たり前ですからね。それで、『じわって振り向いて確認して、そこから駆けてください』って言いました。佐藤さんも「わかりました」と言って、しっかりやってもらいました」
福谷「間の取り方が大事ですよね」
鶴田「ホラーはリアルにしないといけないんだけど、ほんとにリアルにやっちゃうと怖くならないんですよ。やっぱり怖くするためには、リアルなだけじゃなくて、リアリティを構築しなければいけない。うまい役者さんだとそこを理解してやってくれるんだけど、下手な役者さんってそれがリアリティにならない。嘘っぽい芝居になってしまう。
あのシーンも、逃げ出したいのに、振り向いて『えっ』てなる。本来だったら、逃げるじゃないですか。でも、そこで、『えっ』と思って振り向く。そういう芝居をした時に無理のない芝居を構築できるかどうか、それが役者さんの力量なので、佐藤健さんみたいな優秀な方が来ていただけると非常に怖く撮れるという好例ですね」
福谷「撮影期間は?」
鶴田「実は短かった。二日撮りじゃないかな。合宿したんですよ」
福谷「電話ボックスは現地の物?」
鶴田「あれは美術部が持ってきたものです」
福谷「一番大変だったシーンは」
鶴田「撮影はスムースだったんですけど、一つだけ手間がかかったのが、車の前にあるでかい顔。あの顔、本当に作ったんですよ。単なる合成じゃないんです、実は。動いているのは合成しているんだけど、基本的には巨大な顔を作って、それを目で追って芝居をしてもらって。実際、その場で見ているんです。ほんとにびっくりした表情を撮影しているから、すごく説得力がある芝居になっていると思います。それと、やっぱり合成だと、何もない所に大きな顔を置いたら質量感みたいなものが出せないですよね。リアクションも違うし、画的にも単なる安っぽい合成になりかねない。そういうところは、『ほん怖』はこだわってやらせてくれる。
撮影スタッフも僕のスタイルがわかっているし、いろんな意味で一番脂が乗っていたかもしれないですね」
後編に続く。後編は11月1日(日)掲載予定。
『ほんとにあった怖い話』
制作・著作:フジテレビ
公式HP:https://www.fujitv.co.jp/honkowa/
公式Instagram:https://www.instagram.com/honkowa_fujitv/
(佐藤健・関連作品)
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【連載企画予告】
連載企画「Jホラーのすべて 鶴田法男」が11月1日(日)スタート予定!
“Jホラーの父”鶴田法男がJホラー誕生から今日に至る舞台裏を明らかにする大型連載企画「Jホラーのすべて」が11月3日(祝・火)スタートします(予定)。
ご期待ください!
※タイトルロゴは仮イメージです。
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