黒沢清「Jホラーのゴッドファーザーって、海外でなぜか言われることがあって。いや、ゴッドファーザーは僕かもしれないけど、ゴッドは鶴田法男だって」黒沢清×鶴田法男トークショー!

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Jホラーの父・鶴田法男監督が仕掛けた、
ネット小説が洗脳する恐怖の深淵を描くAIサスペンス・スリラー



Jホラーの父と呼ばれるきっかけとなり、世界を席巻するJホラーの監督たちに多大なる影響を与えたデビュー監督作のオリジナルビデオ映画「ほんとにあった怖い話【新装版】」が10月26日にDVD発売され、ホラー・ファンの間で大きな話題となった、『リング0』『おろち』鶴田法男監督(当サイトでも「Jホラーのすべて 鶴田法男」を好評不定期連載中)。

12月14日には小説家として関連シリーズ80万部突破の「恐怖コレクター」の第20巻の発売や、2023年には舞台化が決定するなど、ますます注目が増している鬼才が、中国に招へいされて監督を務め、Jホラーのテイストをサスペンス・スリラーに盛り込んだ作品『戦慄のリンク』(原題・網路凶鈴)が12月23日(金)より新宿シネマカリテほかにて絶賛公開中だ(シネマカリテでの上映は1月19日(木)まで)。

今回は、先日、新宿シネマカリテで行われた黒沢清監督(『スパイの妻』『CURE』『回路』)と鶴田法男監督のトークショーの模様を紹介する。















「堂々とした娯楽映画ですよね。本当にうまい」(黒沢清)
黒沢清監督(『スパイの妻』『CURE』『回路』)×鶴田法男監督のトークショー・リポート




【トークショー概要】
場所: 新宿シネマカリテ(東京)
日時: 2023年1月12日(木)夜の回の上映後



MC (黒沢清監督と鶴田法男監督が登壇)
早速お一人ずつご挨拶をお願いいたします。まず黒沢監督お願いいたします。

黒沢 はい、どうもこんにちは……(鶴田監督を見て)最終日ですか?今日。

鶴田 いや、そうじゃないんです。(一週間)延びました。

黒沢 続くんだ、良かったですね。いや、トークショーに出よう出ようと思いながら、僕の都合がつかず、ちょっと遅れてしまったんですけど。まだ上映も続くようで、今日来れて、よかったです。





黒沢 鶴田さんとは何度もこれまでお会いしているんですけど、こうやって二人でトークするというのは今日初めてなので、楽しみにしております。今日はどうもありがとうございました。

MC ありがとうございます。鶴田監督どうぞ

鶴田 はい。今、黒沢監督からお話ありましたように、今まで何度もお話させていただいてるんですけど、たいてい高橋洋さんとかがいたりとか。

黒沢 そうですね。

鶴田 スリーショットになっちゃうことが多かったんですけど、こういった二人だけで話をさせていただくのは初めてなので、ちょっと今、僕ドキドキしてますんで。皆さんどうぞよろしくお願いいたします。

MC はい、ありがとうございます。それでは早速、お二人でのトークを始めさせていただきたいと思います。
まず一つだけ、私の方から黒沢監督に(質問です)。この作品でコメントもお寄せいただいてるんですけれども、実はさっきもう一回、スクリーンでご覧になられて。

黒沢 そうですね、たった今。

MC この作品をもう一回見直してみて、何かご感想等ありましたら、お聞きできればと思います。

黒沢 はい。堂々とした娯楽映画ですよね。怖いとこは見事に怖くて、最終的に「ああ、そうだったのか」と、なんとなく説明されつつ、「えっ、そうでもなかろう」っていう謎がちゃんと残り、そのあたりの全体のバランスというか塩梅が「これでいいんだよな」っていう。現代のホラー映画ってこういうことだよなっていう、一つのお手本のような。説明するとこはして、しないとこはもうぶっ飛ばすと。ギリギリこっちも何とか着いていきつつ、やはり救うとこで救ってくれて、突き放すとこでは十分突き放してくれて、このリズムに乗っていくのが、本当にホラー映画の醍醐味だなっていうようなことを感じました。最初から最後まで全く息もつけず、見させていただきました。本当にうまいですよね。

鶴田 ありがとうございます。


©2020伊梨大盛伝奇影業有限公司









「「霊のうごめく家」みたいな作品がやりたい気持ちもあったんですけど」(鶴田)


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黒沢 僕の方からいくつか聞きたいなと思うことがあるんですけども。劇中でも「幽霊」 という言葉が使われていて、実際、幽霊らしき白い(服の)女性が出てくるんですけど、最終的には幻覚だったのか、その辺はよくわからないところですが。これは鶴田さん、一応、幽霊ものと考えて、幽霊を撮っているんだという意識でいたんでしょうか?

鶴田 そうですね。なにしろ中国では「幽霊にしちゃあかん」っていうルールがありましてね。これは共産主義という何か唯物論というか、邪教や迷信を流布してはいけないというような、国の方針とかいろいろあってのことなんですけど。ただ、僕は最初にこの仕事のオファーをもらった時に「中国映画で本格的なJホラーを作ってください」という風に依頼をいただいたので……。でも“幽霊は描いていけない”という中で、どうしようかなと。自分も一応、<Jホラーの>>と、みんなが言ってくれているので、典型的なJホラーのオーソドックスな幽霊を出して、でも最終的には幽霊じゃないってオチになるんですけど、それでも僕は幽霊というつもりで撮っていました。

黒沢 なるほどね。多分そうなんだろうと思いつつ、中国の事情がどうあれ、物語的にもう少しモンスターというか怪物に寄ったような存在かなと思うんですけど。ある種の恨みのような形で、この世になんとなくぼんやりフワッとどっかに写ってるみたいなそれを……、それこそ鶴田さんの得意だと思うものより、もう少し積極的に向こうからぐんぐん近づいてくるような怪物めいたもの?幽霊から一歩怪物に近づいたような存在というか、表現みたいなものを、どんな風にして編み出してこられたんですかね?


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鶴田 中国でも実はホラーものは作られていて、大体ここに登場したような貞子っぽいものが出て来てるんですけど。基本おどかすことが多くて。いわゆる佇んでて怖いとか、そういう感じよりも、とにかく突然ばっと出てきて音がドーンとついておどかすみたいな感じのホラーが多いんですよね。まあ、それはそれでやらないといけないと思いながらも、でも中国の観客って、そういうわかりやすいものをすごい求めてるんだなっていうことはわかったので。僕としては、前に黒沢さんが評価してくださったビデオの「ほんとにあった怖い話」「霊のうごめく家」みたいな作品がやりたい気持ちもあったんですけど、それだと中国の方にどうも受けない感じだったんですね。やっぱりちょっと迫ってくるとか、モンスター的な感じとか、そういうこともひっくるめて中間地点を取った感じですかね。

黒沢 衣装も白っぽいわけですけど。よく見ると結構複雑な衣装着てますよね。なんか『貞子』とかよく見てないですけど、割にシンプルな、どちらかといえば和服に近いものを着ているのかもしれないですけど、(『戦慄のリンク』では)もう少しドレスめいた、重厚感があるって言うと変ですけども、そんな衣装にも見えたんです。あれはどういう衣装なんですか。

鶴田 まず僕の幽霊って大抵風が当たってひらひら揺れているんですね。髪の毛も含めて、そういうふうに描写をするので、なるたけ服が揺れるものにしたいなってことと、もう一点はロケハンをして、廃病院だけじゃなく、いろんなとこを回って歩いたんですけど、日本では見られない、独特の建築という、例えばマリオ・バーヴァの『呪いの館』とかに出てくるようなとこ(洋館)で撮れると思った時、何か貞子って実は白いんですけど、そのシンプルな衣装にもうちょっと何かこうデコレーションのついたものにした方が雰囲気があっていいのかなって思って、ああいう風にプラスしていったんです。


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黒沢 その白は鶴田さんが、やはり一周回って白にすると決めたんですか。まあ、いろんな色のバリエーションがあるとは思うんですが、これ考え出すと悩ましいところだと思うんですけど。

鶴田 実は最初、赤にしようかと思ったんです

黒沢 なるほど。

鶴田 黒沢さんの作品で、たくさん赤の(幽霊)が出てきて。

黒沢 そうですね。

鶴田 元々僕がやった「ほんとにあった怖い話」「夏の体育館」という。

黒沢 有名な。

鶴田 黒沢さんにもいろいろと応用していただき。

黒沢 いえいえ、もう何度も作らせていただいて。

鶴田 赤にしようと思ったんですけど、よくよく考えると中国の国旗、赤なんですよね。

黒沢 確かに。意味を持っちゃうってこと?

鶴田 そうなんですよ。あと、この月末に中国は旧正月になりますけど、この時期に行くと真っ赤っかなんですよね、中国って。だから赤をやるとまずいかもしれないと思って、赤を避けて。実は脚本上、最初は白はあまりにオーソドックス過ぎるんで、黄色だの緑だの、いろいろ書いてたんすけど、なんかね中国の当局の審査で駄目出しが出てくるんですよ。

黒沢 そういうものなんですかね。

鶴田 色の問題なんか、どこに問題があるんだかわかんないんですけど。ちょっと新しいことやろうとすると駄目だしが出るので。これはもうオーソドックスに貞子にしちゃうのが一番当局の審査の人たちも理解できるのかなって。それで結果的にこうなったっていう。

黒沢 幽霊は認めないけど、幽霊出すなら“白”にしろ、みたいな規制があるんですよね。

鶴田 よくわからないですけどね。



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「やっぱり鶴田さん、いつ見てもうまいというか、本当に怖いんですけど」(黒沢)





黒沢 ある種のわかりやすさというのはあるのかもしれませんね。だから、セリフで幽霊と言ってもいますし、これ幽霊なんだろうと見て、どこか安心しててって変ですけど、幽霊が出たっていうことで見ていけると言えばいけますよね。

鶴田 そうですね。評論家の樋口尚文さんが「ここに登場する幽霊は本当に幽霊なのか。我々が見たものが幻覚なのか、リアルなのか」って仰っていて、厳密に言うとわからないわけじゃないですか(笑)。僕は幽霊のつもりでやってたんですけど、実は幻覚かもしれないという流れにもしてあるから、そういう風に(幽霊だと)受け取らないだけの話であったってことですかね。

黒沢 僕も幻覚だからどうこうとは気にはならなかったですね。まあ幻覚っていうことに一応しといたんだなって。でも、本当はどうかわからないっていう。うまいレベルだなと感じましたね。
よく考えたらね、どういうこと?って追及されると、「いや幻覚だからしょうがないでしょ」ってことで、うまく逃げられたのかもしれませんけど、めちゃくちゃな設定ですよね。そもそもね。(場内から笑い)

鶴田 結末なんかも、僕は当初書いていた、ただハッピーエンドで終わるっていうものも撮ったんです。オールラッシュのときの審査で駄目出しが出るかもしれないと思ったんで。でもプロデューサーは「これじゃ面白くない」って。結局プロデューサーの指示を受けたこの結末で出したら審査を通っちゃって。だから中国の審査というか、そこの基準がよくわかんないんですよね。

黒沢 何かあるんでしょうね。微妙なコツというか、何かが通り、何かをするとうまく(通る)。日本でもそういうのがなくはないんですよね、日本は何やってもいいかというと全然そうではないので。

鶴田 はい(笑)。

黒沢 幽霊に関して何やってもいいでしょうけど。暴力とかそういうのはかなり厳しい審査があるんですけど。あの自慢じゃないですけど、僕の映画って、これまで日本で一切指定がかかってないんですよね。

鶴田 あ、そうですか。

黒沢 結構ひどい残酷な殺し方をしているような映画があるんですけど(場内笑)。R-15とかの一切の指定がなくて、小学校の生徒でも見ていいんです、僕の映画(場内笑)。

鶴田 この『戦慄のリンク』も日本の映倫ではG(指定)なんですよね。要するに日本では誰でも、子供でも見られるんですけど、中国では駄目なんですよ。そこら辺の基準がわかんないというか、本当微妙ですね。

黒沢 あんまり考えてもね、しょうがないし、うまくやるしかないんでしょうけど。多分こういうのは絶対にそういう基準に引っかからない、自由な表現なんでしょうけども、やっぱり鶴田さん、いつ見てもうまいというか、本当に怖いんですけど。なんかバーンと出てくる、出てこないところが、本当に怖い。

鶴田 ありがとうございます。

黒沢 まず、パソコンを見て集中していること自体はパソコンの中が怖いんですけど、撮ると“後ろ”が怖いんですよね。これ本当、映画の力があるんですけど、小説で書いてもあまりそういう効果って出ないんです。だけど、映画で撮ると、パソコンで怖いことが起こって、真剣になっている人を撮る時、「あんた、後ろ、隙だらけよ」っていう怖さが出てくるわけですよね。そういうとこは典型的なんですけど。実際に何かバーンと出てくる前までの、その怖さっていう、一言で簡単に言えないかもしれませんけど、どんな風にいつも構築されてらっしゃるんですか。

鶴田 えーっ(笑)、そんな質問を受けたの初めてだな。

黒沢 その辺がまさに映画の規制しようもないところですよね。単にパソコンやってたりするだけですからね。

鶴田 ええ、そうですね。でも、トビー・フーパーの『死霊伝説』ってあるじゃないですか

黒沢 “吸血鬼”ですよね。

鶴田 あれのクライマックスで、主人公の背後にいる、倒れていたはずの奴が蘇って近づいてくるところとか、カーペンターも『ハロウィン』でやってますけど、何かが背後からやってくるっていうのが当時すっげえ怖くて、あの感じをとにかくいっつも自分でやりたいなって思ってます。






黒沢 フォーカスが合ってる、合ってない、なんていうのも、気になりだすと気になりますよね。

鶴田 そうですね。

黒沢 フォーカスがどっかに合ってるとして、そこに出てくるのか、あるいはやっぱ合ってない方に突き出すのとか。いや、何も起こらなかったりするんですけど、なんであそこにフォーカスが合ってて、あっちはぼんやりしてるんだろうとか気になりだすと、いちいち嫌な感じになるんですけど。そういうのを感覚的にやってらっしゃる?それとも結構計算してカメラマンに「ここにフォーカスを合わせといてくれ」とか?(指示するんですか)。

鶴田 初期の頃それこそビデオの「ほんとにあった怖い話」を撮った時は感覚的だったんですけど、最近はもう計算になっちゃってるとこはありますね。たまにキャメラマンとそこが話が合わなくて、もめちゃうことがあるんですけど。

黒沢 ちゃんとそういうホラー映画の…、いや、ホラー映画というよりも、これほとんど映画のサスペンスの基本だとは思うんですけど。何でもないようなショットでも見てる方が妙に緊張して、「これなんか起こるんじゃないの」って感じを出すって、それが何を表現しようとしてるかわかっていないと、多分技術者もピンとこないんでしょうね。

鶴田 そうですね。



撮影風景(監督の左にリー隊長役のシャオ・ハン ©2020伊梨大盛传奇影业有限公司











「中国の人たちは(ホラーの)感覚みたいなところがなかなかつかめなくて。
結構、手間がかかりましたね」(鶴田)


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黒沢 あとそれに関連するのかもしれませんけど、俳優の方たちが、実際アクションしながらというか、何か対象になるものがあって“怖がる”っていう芝居はやれるとは思うんですけど、単にパソコンの何かこう小説を読みながら段々恐怖が押し寄せてくるって、これは言うは易しで、芝居として相当難しいですよね。実にうまくやっていたなと思いました。

鶴田 ありがとうございます。中国の人たちはやっぱりそういうお芝居はあんまり慣れてなくて。最初に犠牲になるタン・ジュンクンっていう女優はオーディションした時、そこら辺のことがすごくなんかわかっていて、いろいろ話を聞いたら、「実は私、ホラーものに主演してます」って。

黒沢 そうなんですか。

鶴田 それで彼女は第一の犠牲者にしようと思って、

黒沢 なるほど。

鶴田 それ以外の人たちは何か感覚みたいなところがなかなかつかめなくて。結構、手間がかかりましたね。

黒沢 ですよね。これも撮影現場でパソコン見てやってるだけでは怖くもなんともないわけですからね。実際(パソコン画面の文字の)中国語は日本人には読めなかったと思うんですけど、あれをちゃんと読んでると、怖いような感じのものが画面に出てくるわけですか。


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鶴田 一応そうですね。あれは助監督が中の文章を書いてくれたんですけど。僕も中国語は読めないので、翻訳してもらって、「これだったらいいんじゃない」かっていう内容にはなってますけど。

黒沢 あとは俳優のイマジネーションで、主演の女優が「ギャーッ」って叫ぶ、叫び方が素晴らしかったですよね。なかなかあれできないですよね。本当に怪物みたいなのをワーッと出すとできるんでしょうけど、パソコン見てるだけで、いきなり「ギャーッ」て叫べって、これ相当ハードル高い芝居だと思うんですけど、いや見事だと思いましたね。


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鶴田 あのスン・イハンは本業がモデルで、役者業はあんまりやってなかったんですよ。

黒沢 なるほど。

鶴田 彼女は主演って最初から言われちゃってたんで。だけど、本(※脚本)読みやってみたらあまりにも芝居ができない。

黒沢 そうだったんですか。

鶴田 だから、とにかくリハーサルやらしてくれって。撮影に入る前から三週間ぐらい。ほぼ毎日。
(相手役で)台湾からきてるフー・モンポーって男優とか、同じホテルにみんな泊める形になったので、ロケが終わって、ホテルに戻ってくると、夕方から夜にかけてはフー・モンポーとかその他もろもろの本人を相手にしてスン・イハンとの本読みを毎日毎日やってたんですよ。それで叫ぶなんかもリハーサルやっていましたね。


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「Jホラーのゴッドファーザーって、海外でなぜか言われることがあって。
いや、ゴッドファーザーは僕かもしれないけど、ゴッドは鶴田法男だって」(黒沢)





MC すいません、そろそろお時間が…。あと一つほど、鶴田監督から黒沢監督に何かございますか。お聞きしたいことがあれば。

鶴田 今日、『ダゲレオタイプの女』を観返してきたんですが、外国で映画を撮るっていうことの難しさや面白みみたいなことって、ちょっと伺ってみたかったんですけど。

黒沢 逆にそれは僕も(質問したい)。僕がフランスで撮った実感ですけど。理屈を言い出すと、ずいぶん日本人と違うことを言うんですが、“怖がる”とか、ほとんど同じようなとこで同じように怖がってるなって。「いや、幽霊なんていないとか、そんなの信じるのは馬鹿だ」とか言うんですけど。髪の毛の長い女がでてくると、「うわっ」て驚くんですよね。十分怖がってる。だからそれこそ“怖い”っていう映画表現に関しては、こっちだって西洋的な文化を映画からいろいろ学んでるわけですから世界共通だな、というのが実感でしたね。中国はいかがでした?怖い映画として怖いっていうことに関して最終的にはやっぱり似てるなと思われたか、やっぱりどっか違うとこがあったか。

鶴田 これ、最初にオールラッシュで繋いで、初めて見る人に見せた時に、やっぱみんな怖がってるんですよね。だからやっぱりそこは変わらないんだなって思いました。

黒沢 そうですよね。

MC ありがとうございます。黒沢監督、今後何か情報として出せるご予定とかあるんでしょうか?

黒沢 まだ内緒ですね

MC 何かが進んでいるとか。

黒沢 いや、進めようとしているぐらいですかね。今年長いですから、進むかもしれません。これから。

MC ありがとうございます。鶴田監督、一言最後何かございますか。

鶴田 宣伝になってしまうんですけど、まず『戦慄のリンク』のパンフレット600円でございます。そこで(ロビーで)売ってますんで。僕が中国からオファーを受けて完成させるまでの制作日誌というのを細かく書いてありまして、人によっては本編よりもこっちの方が面白いという失礼な人間がいるんですけど(笑)。実際僕も読み返してみて、確かにこれは面白い。ちょっと我々には理解しがたい世界のことをいっぱい書いてあるんで、ぜひよろしければ読んでください。それと本当にまたこれも宣伝になっちゃうんですけど。「ほんとにあった怖い話」(のDVD)、これ黒沢さんにコメントいただいてます。去年10月に発売されました。

黒沢 ご存知の方が多いといいます。ここからJホラーというのが始まったわけですね。

鶴田 はい。





黒沢 僕、海外でも一番年上だからなんでしょうけど、Jホラーのゴッドファーザーって、なぜか言われることがあって。いや、ゴッドファーザーは僕かもしれないけど、ゴッドは鶴田法男だっていう。

鶴田 ありがとうございます(笑)。でも、でもやっぱり黒沢さんなくしてはJホラーはありませんでした。あとちょっと持ってくの忘れちゃったんですけども、「恐怖コレクター」という作品が角川つばさ文庫から小説が出ていまして、それが今年舞台化されますので、ぜひそちらも。小中学生向けの作品ではあるんですけども、大人も十分怖い作品ですので、よろしければ読んでいただければと思います。よろしくお願いします。
















『戦慄のリンク』INTRODUCTION


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本映画は、中国の小説家マ・ボヨンの原作を基に、SNSなどを介して参加者を洗脳し自殺に扇動するなど、ロシアから世界を巻き込んで大問題となった青い鯨(ブルーホエール・チャレンジ)事件からインスピレーションを受け、ネット小説を読んだ人たちが無残な死を迎える事件を解明しようとする若者たちの無意識の世界に襲う恐怖。日本の映画ではなかなかできない、隠し絵的なギミック映像も今回、鶴田監督はチャレンジしている。


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主演は、台湾の人気男優で『返校~言葉の消えた日』やジャッキー・チェン製作の中国ドラマ「成化十四年〜都に咲く秘密〜」のフー・モンボーと、有名ブランドのモデルやNetflix「流星花園2018」ほか映像ドラマで活躍する中国若手期待の女優スン・イハン。


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スタッフには、撮影に「鎌倉殿の13人」『曇天に笑う』の神田創、編集を『クライマーズ・ハイ』の須永弘志、音響効果に『事故物件 恐い間取り』の大河原将、照明を『私はいったい何と闘っているのか』の丸山和志、そして音楽をアニメ「約束のネバーランド」の小畑貴裕と日本の敏腕スタッフたちが集結しています。資本100%の中国映画でありながらも、日本のスタッフと融合して作られた本作品、中国映画のイメージを覆す作品となっている。


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STORY


『戦慄のリンク』新規場面写真(シャオノアの目)



大学生のジョウ・シャオノア(スン・イハン)は、前日に電話で話した従姉のタン・ジンが自殺したことが信じられず、従姉の大学の同級生で犯罪心理学に詳しい記者志望のマー・ミン(フー・モンポー)に相談する。タン・ジンのパソコンを調べることにしたシャオノアは、ショウ・ナという女性とのチャットのやりとりと、貼られたリンクからネット小説「残星楼」の存在を知る。シャオノアはそのネット小説を読むが、突然、自分の名前を呼ぶ謎の声と“髪の長い女”が現れ、得体のしれない恐怖に襲われる。シャオノアはマー・ミンとともにネット小説の謎を探るが、やがて「残星楼」に関わっていたメンバーが次々に自殺していることを知る。そして二人にも死の恐怖が忍び寄る・・・




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『戦慄のリンク』作品情報





〇スタッフ
監督:鶴田法男 脚本:ヤン・ヤン 原作:マ・ボヨン「她死在QQ上」
撮影:神田創 編集:須永弘志 美術:リー・チア 音響効果:大河原将 照明:丸山和志 音楽:小畑貴裕

○キャスト
スン・イハン フー・モンポー 
シャオ・ハン チャン・ユンイン ウォン・マンディ ハン・チウチ ジョウ・ハオトン
提供:三鷹オスカー/フィールドワークス   
配給・宣伝:フリーマン・オフィス
BD・DCP アメリカンビスタ 音声:北京語   
映倫:G
原題:網路凶鈴 The Perilous Internet Ring  ©2020伊梨大盛传奇影业有限公司
製作:2020年 中国 96分  





絶賛上映中!










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